04 元パーティが行方不明

 ボクは、苦労人くろうにん ミエルだ。

 パーティメンバーの武闘家ぶとうか みやびと中級ダンジョンに入った。


 モンスターのパーティがあらわれた。


ミエル

「ボクが、みやびに強化魔法をかけるから、そばにいてね。」


みやび

「わかったさ。

 できたら言ってほしいさ。」


ミエル

「【能力のうりょく向上こうじょう呪文じゅもん トゥート】

 できたよ。 みやび。」


みやび

「行ってくるさ。」


 みやびは、あっさりとモンスターをたおした。


ミエル

「すごいよ、みやび。」


みやび

「いつもの3倍くらい楽勝らくしょうだったさ。」


 こんなやりとりを20回くらいしただろうか、ボスの部屋にたどり着いた。


ボス

「たった二人か?

 わたしに勝てるかな?」


ミエル

「【能力のうりょく向上こうじょう呪文じゅもん トゥート】

 できたよ。 みやび。」


みやび

「行ってくるさ。」


ミエル

「さすがに苦戦(くせん)しているな。

 【能力のうりょく抑制よくせい呪文じゅもん ベルマイラ】」


みやび

「ボスの動きがおそくなったさ。

 ちからもよわくなった。

 かたさも少し、やわらかくなった気がする。」


ミエル

「みやび、こっちにもどってきて。」


みやび

「わかったさ。」


ミエル

「みやび、からだにさわるよ。」


みやび

「ミエルは、エッチさ。

 でも、ミエルならいいさ。」


 ボクは、みやびのかたに手をおいた。


ミエル

「【体力たいりょく回復かいふく呪文じゅもん トゥベルサ】

 どう元気が出たかな?」


みやび

「元気は出たさ。

 エッチしないのさ?」


ミエル

「いまは、ボスせんだよ。」


みやび

「じゃあ、あとでしようさ。」


 みやびは、とどめの一撃いちげきをはなった。

 ボスはたおれた。


みやび

「ミエル、やったさ。」


 みやびはミエルに抱きついてキスしてきた。


未来みらい知見ちけんの女神 ミサキ

「ミエル、おめでとう。

 あなたを好きになってくれる女性に出会ったから、苦労人から賢者けんじゃに転職させますね。

 ミエルは、【三点さんてん収束しゅうそく光点こうてん呪文じゅもん テグトス】をおぼえました。」


ミエル

「みやび、ボクを好きになってくれて、うれしいよ。」


みやび

「わたしと、なかよしになってくれて、うれしいさ。」


ミエル

「ボクは、賢者になったよ。」


みやび

「それは、すごいさ。

 ギルドに知らせようさ。」


ミエル

「うん、そうしよう。」



 ボクたちは、ギルドに行った。


ギルドの受付

「えっ? いま、なんて言いました?」


ミエル

「ボクは、賢者に転職しました。」


ギルドの受付

「それでは、この水晶玉すいしょうだまに手を当ててください。」


 水晶玉から、声が聞こえる。


水晶玉

「ミエルさんの職業は賢者です。」


ギルドの受付

「おめでとうございます。

 それで、どうやったんですか?」


ミエル

「よく分かりませんが、みやびと中級ダンジョンのボスを倒したら、

  「苦労人から賢者に転職させますね。」

という女神さまの声が聞こえました。」


ギルドの受付

「女神さまの声ですか?

 空耳そらみみでしょうと言いたいですが、ミエル様は賢者になられましたから、本当ですね。

 これからは、職業に【苦労人】を選ぶひとたちがえそうですね。」


ミエル

「かもしれませんね。」


 ボクとみやびは、ギルドを出て、スイーツを食べに行くことにした。

 そこで、うわさを聞いた。


お客A

「風のうわさで聞いたんだが、勇者パーティが上級ダンジョンで行方不明だそうだ。」


お客B

「勇者パーティは強者つわものぞろいだから、ダンジョンの深い階層にいるんじゃないか?」


お客C

「そうじゃなさそうなんだ。

 勇者パーティの武器や防具だけが残されていたんだ。

 それをひろって使っていたパーティがギルドに、報告義務違反ほうこくぎむいはんだって、しかられていたからな。」


 ボクは、それを聞いて、不思議に思った。


ミエル こころの声

『足手まといのボクがいなくなったのに、なぜなんだ?

 まあいいや、嫌な過去は忘れることにしよう。』

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