03 ダンジョンの攻略がスムーズだった

 ボク、苦労人くろうにん ミエルは、武闘家ぶとうか みやびとレベルが低いダンジョンに入った。

 ボスのレベルは、レベル5だ。

 これから、わかるように、初心者向けだ。


武闘家 みやび

「どうして、こんなひとりでもクリアできるダンジョンに入るのさ?」


苦労人 ミエル

「ボクたちは、おたがいのことを何も知らないからね。

 よゆうでクリアできるダンジョンの方が、ミスしても、おこらないですむからね。」


みやび

「いいアイデアさ。

 リーダーの思うとおりにしなかったとプンプンされると、やりにくいさ。」


ミエル

「みやびは、もしかして、かしこいんじゃないか?」


みやび

「はじめて言われたさ。

 どうして、そう思うさ。」


ミエル

「ボクのいうことを、すなおに聞いてくれるから。」


みやび

「わたしは、むずかしいことが分からないからさ。」


ミエル

「うーん、そうは思わないけれど。

 まあ、おたがいのことは少しずつ分かって行けばいいか。


 このダンジョンは、落とし穴やワナはないけれど、その代わりに、スタート地点にもどされるんだ。」


みやび

「いちから、やりなおしはイヤさ。」


ミエル

上級者向じょうきゅうしゃむけのダンジョンだったら、良くて大けが、悪いと死ぬからね。

 スタート地点に戻されたらダメと思ってほしい。」


みやび

「わかったさ。」


 ボクは、分かれ道になると、みやびに説明せつめいした。

 なぜ、こちらの道を選んだらダメか?

 どこに気を付けて歩くべきか?

 かなり、こまかいことを言ったけれど、みやびはイヤな顔しないで、言う通りにしてくれた。


ミエル

「みやびは、ボクの言うことを聞いてくれるかららくだよ。」


みやび

「ミエルは、1つずつ教えてくれるから、おぼえやすいさ。」


 ボクとみやびの相性あいしょうは良いのかもしれない。

 あっさりと、初心者用のダンジョンをクリアできた。


みやび

「おなかが、へったさ。」


ミエル

「そうだね。

 町にもどろうか?

 お昼ごはんを食べよう。」



 ボクたちは、良い気分で、お昼ごはんを食べた。


ミエル

「おつかれさま、みやび。」


みやび

「おつかれさまさ、ミエル。

 いままでで一番たのしいダンジョンだったさ。」


ミエル

「いままでで一番らくなダンジョンだったよ。

 ねえ、午後は、中級者用のダンジョンに行かないか?」


みやび

「いいねさ。」


ミエル

「よし、行こう。

 でも、その前に、みやびのてつのツメと防具にヒビが入っているよ。


 買い替えがイヤなら、修理した方がいいね。」


みやび

「わたしには分からないヒビがミエルには見えるのかさ?

 じゃあ、武器屋ぶきやってくれさ。」


 ボクたちは、武器屋に行った。


武器屋

「ミエル、元気だせよ。

 となりにいるのは、カモのみやびか。」


ミエル

「カモのみやび?

 ボクのパーティメンバーがカモって、どういうことですか?」


武器屋

「いや、そのな、いつも多めに払ってくれる気前が良い客だということさ。」


ミエル

「ああ、これからはボクがみやびの買い物につきそうよ。」


武器屋

「ああ、そうしてやってくれ。」


 武器屋は、気まずそうだ。

 みやびは、わかっていないようだ。


ミエル

「みやびの鉄のツメのココとココをなおしてやってほしい。」


武器屋

「どれどれ。」


 武器屋は、鉄のツメに工具こうぐを当てた。

 鉄のツメはポッキリと折れた。


みやび

「えっ、鉄のツメがもう寿命じゅみょうだったのさ。

 ミエルは、すごいさ。

 なぜ分かったさ。」


武器屋

「ミエルはな、武器屋よりも武器が見えているのさ。

 たたかいのときにヒビをねらえるモンスターに出会うことは少ない。

 しかし、もし、出会ったら、ゲームオーバー、すなわち、死ぬことになる。」


みやび

「ミエルのおかげで、命びろいしたさ。」


ミエル

「みやびは、武器をムダにこわしたと言わないんだな。」


みやび

「言うわけないさ。」


武器屋

「ミエル、良いメンバーに出会えたな。」


ミエル

「そうだね。 女神様に感謝かんしゃするよ。」


 みやびの防具も、武器屋がヒビを工具でたたいたら、ダメになった。


みやび

「ミエルのおかげで、命びろいしたさ。」


ミエル

「そう言ってくれると、うれしい。」


 ボクは、なみだを、こっそりとふいた。

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