第7話 王都ヴォルケーノの散策
リアンとアリスは火竜の巣から戻り、王都ヴォルケーノの賑わいに再び身を浸した。
「お兄ちゃん、今日はどこに行こうか?」
アリスは宿の窓から街を見下ろしながら尋ねた。
「まずは市場を見て回ろうか。その後、広場で何かイベントがあるかもしれない」
リアンは地図を広げて計画を立てた。
「楽しみだね。行こう!」
アリスは元気よく外に飛び出した。
二人は市場に向かって歩き始めた。ヴォルケーノの市場は活気に満ちており、色とりどりの屋台が並んでいた。
「見て、お兄ちゃん。あの果物、何だろう?」
アリスは一つの屋台を指差した。
「これは火の実だ。甘くてジューシーだけど、ちょっと辛いんだ」
屋台の店主が説明した。
「食べてみよう!」
アリスは興味津々で火の実を購入した。
「本当に美味しい!」
アリスは果実をかじり、満足そうに微笑んだ。
「本当だ、これは癖になる味だな」
リアンも一口食べて同意した。
市場を見て回りながら、二人は様々な商品に目を奪われた。
「お兄ちゃん、このアクセサリーも素敵だね」
アリスは綺麗な炎の模様が彫られたブレスレットを見つめた。
「うん、火の国ならではのデザインだな。買っておこうか」
リアンはブレスレットを購入し、アリスに渡した。
「ありがとう、お兄ちゃん!」
アリスは嬉しそうにブレスレットをつけた。
市場を楽しんだ後、二人は広場に向かった。広場では音楽が鳴り響き、ダンサーたちが情熱的な踊りを披露していた。
「すごい、迫力があるね!」
アリスは目を輝かせた。
「火の国の踊りは情熱的だな。見ているだけで元気が出る」
リアンは踊りに見入っていた。
広場を後にし、二人は王都の中心部にある巨大な噴水に向かった。
「この噴水もすごいね」
アリスは噴水の周りを走り回った。
「火山の力を利用しているんだろうな。温かい水が出ている」
リアンは噴水の水を手にすくいながら言った。
「ちょっとお湯みたいだね」
アリスは水を触って驚いた。
噴水を楽しんだ後、二人は街の奥へと進んでいった。次第に人影が少なくなり、静かな通りに入った。
「ここ、なんだか雰囲気が変わったね」
アリスは不安そうに言った。
「確かに。でも、気になることが多い場所だ。行ってみよう」
リアンは慎重に進んだ。
通りの奥には古びた建物が立ち並び、陰気な雰囲気が漂っていた。
「お兄ちゃん、ここは…」
アリスは周囲を見渡しながら言った。
「気をつけろ。何か良くないことが起きているかもしれない」
リアンは剣を手に構えた。
突然、背後から声が聞こえた。
「おい、お前たち!」
振り返ると、数人の警備兵が立っていた。
「何だ?俺たちはただ散策しているだけだ」
リアンは警戒しながら答えた。
「お前たちが火竜を王都に近づけたんだろう。そのせいで都が危険に晒された」
警備兵の一人が厳しい表情で言った。
「違う、僕たちはただ火竜の巣を探検していただけだ」
リアンは弁解した。
「言い訳は通用しない。王都の安全を脅かした罪で捕まえる」
警備兵はリアンとアリスを拘束しようとした。
「待って!僕たちはそんなつもりじゃなかったんだ!」
アリスは涙を浮かべて叫んだ。
「話は署で聞く。さあ、ついて来い」
警備兵は二人を引きずりながら歩き始めた。
リアンとアリスは抵抗することもできず、無言のまま連行された。
「お兄ちゃん…どうしよう…」
アリスは震えながらリアンに言った。
「大丈夫だ。何とかして抜け出す方法を考える」
リアンはアリスを安心させるように囁いた。
二人は警備兵に連れられて、王都の中心部にある警備署に到着した。
「ここで待て」
警備兵は二人を牢に閉じ込めた。
「何とかしないと…」
リアンは牢の中を見渡しながら言った。
「どうしよう、お兄ちゃん…」
アリスは不安そうにリアンを見つめた。
「必ず何とかする。安心して」
リアンはアリスの手を握りしめた。
二人は牢の中で次の一手を考えながら、不安な夜を過ごすことになった。
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