2019/12/18 15時52分 NEWS WEB 

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美術品保管のツケ 〇〇市、補正予算案に修復費500万円


地域の歴史資料を数多く収蔵し、これまで市民に愛されてきた〇〇市美術館が、財政難などを理由に1月に閉館が決定した。その後一部の資料が市役所の地下駐車場に放置されていたことで破損が発生した問題で、市は新たに修復費として500万円を計上した。


市は、美術館の使用中止に伴い、資料120点余りを「倉庫の確保費用がかかる」との理由で一時的に市の地下駐車場に保管していた。資料の受け入れを検討していた県内の博物館の担当者が現場で確認したところ「作品にシミやほこりなど保管環境が要因と思われる劣化がある」「美術作品に直接、識別用のステッカーが貼られているものもあった」と指摘があった。作品の適切な活用・保全は所有者である市の責務であり、資料の受け入れにあたっては事前の修復などの対応を市に求める要望書を出し市が応じた。市が公表した資料には、赤茶色にさびた作品の写真とともに、ずさんな管理で傷んだ資料の写真が並ぶ。


会見の場で市は、地下駐車場に保管した理由について「美術館はすでに利用を停止している。空調も止めており、新たに外部の倉庫を契約することも費用がかかる。妥当な対応だった」とし、判断の正当性を訴えた。


傷んだ資料の中には町民から寄贈された資料もあり、現状を知った市民から多数の怒りの声が上がっている。とある市議は「保管されている資料は市の貴重な財産であり、財政再建のために市の財産を傷つけては本末転倒ではないか」と憤る。また別の男性は「住民が資料を寄贈したのは市の安全のためであり、適切に保管しなければ大変な状態になる資料もある。すぐにでも適切な管理ができる場所に移さなければならない」と資料の破損に不安の声をあげた。


これまでも全国で美術品の破損や紛失が発生している、2023年には大阪府が地下駐車場に2億円超の美術品を保管し多数の破損を発生させた。2020年にはアーツ前橋(群馬県)で美術品を一時的に市内の廃校舎で保管したところ紛失し400万円の賠償金が発生している。

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