第5話  大鎧とは


「喧嘩っぽい人だと思ってたけど、まさかここまでとはね」


「いや、今回はアイツがいかにも「俺の方が上だ」みたいな態度で突っかかって来たから」


「おバカ!」


パシン!と葵に雑誌を丸めた棒で叩かれる。


 今は葵に最初に連れて来られた道士の事務所みたいな所で寝かされていた。どうやらヨウジとはダブルノックアウトしたようでその後研二さん。あ、研二さんは最初に尋問してた人ね。あの人に二人共回収されたそう。

 

「もう!所長も「今どき珍しい血の気の多さ!良きかな!」とか言ってるし……良い!大鎧ってのは使い方を間違えたら危険なシロモノなのよ!分かってるの?」


「あぁ、それは乗ってりゃ分かる。なかなかのパワーだ。」 


「分かって無いわね……良いわ大鎧の説明をしてあげるからよーく聞いておきなさい。」


「もともと日本の大鎧ってのは例えばがしゃどくろ、合戦で死んだ人の魂が一つにまとまって出来た巨大な骸骨。例えば海に引きずり込む海坊主、他にも巨大な妖怪は町中に表れる小さな妖怪に比べられてより強く恐れられたわ。それを見た昔の妖怪は思ったの“人間の恐怖”を煽るならある程度の大きさがあった方が良いと。」


「んまあ、デカい方がパッと見じゃ強そうに見えるわな」


「そう。そして妖怪は人間に恐れられる事で力を増すの。これは妖怪に限らず妖精や悪魔、天使等のスピリチュアルな存在はだいたい恐れられるか畏れられる事により自身をより強くする。だから巨大な……「たとえハリボテでもデカい身体になればハッタリは効くだろう」と言う考えの元、身体を大きくみせる妖怪が現れた時期があったの。」


「なるほど……高身長に憧れる様なモンか。160以下は人権無いらしいからなぁ」


「でそんな時に、比良 臥厳(ひら がげん)と言う1人の陰陽師が巨大な妖を相手にした時に自分が操る牛車にそういう妖怪を取り憑かせて「人が乗り込んで操る妖怪」が偶然誕生したわ。それが大鎧の始まり。」


「ん?待てよ。俺のガネーシャは出どころがインドみたいなんだがどういう事だ?大鎧は日本のモンじゃないのか?」


「一気に広まったのよ。それもものすごい勢いで。もともと海外でも強大な身体と力を持つドラゴンやモンスターを等身大の人間が打ち倒す事は何人もの人が死ぬ大変なことだったの。それが友好的な妖怪を憑依……取り憑かせた馬車や櫓を巨人に姿を変えて対抗する様になったの。あなたのガネーシャもそういったモノの一つね。」


 なるほど……大昔の人間が巨大な妖怪を倒す為に作った乗り物に取り憑かせる友好的な妖怪なのかアティシャは


「で、察するに悪い事にも使う不貞の輩が居て、そういうのをシバいて回るのがアンタ為ってワケだな。」


「そういう事。分かったら暴れ回らないでよ。よその道士に見つかったら悪い奴だと思われて攻撃されても文句は言えないんだから」


「ああ。あの土建屋をシバき終わったらアンタ達の言う事を素直に聞くからそうカリカリしないでくれ」


「分かってないじゃない!!!もう!!」



─────────



某所────


「なに?ガネーシャを回収しそこねただと?」


 薄暗い部屋で不機嫌そうな声が響く


「はい、オジキ。どうやら回収に向かった吉田がしくじったようで……どうやらその場にいたバイトの男がガネーシャを召喚したみたいでさぁ」


 別の男のダミ声が返ってくる。


「アレは古い持ち主を選ぶタイプのバケモンが入ってるハズだ。そのおかげで前の持ち主を殺るまでは出来たが、仕舞われた金庫の破壊の為に建物ごと壊すって手間をかけたんだ。必ず回収して、場合によればそのバイトもコッチに引き入れろ」


「はっ。しかしそのバイトは駆けつけた道士に連れてかれたそうです。もしアッチ側に着いてたらどうします?」


「聞くなよ。分かってンだろ?」


「ハハッ!あのインド人より安い仕事ですよ」




──────────



体調不良で1週間程空けてしまった……

いかん、コツコツ続けるつもりが(´;ω;`)ブワッ


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