第2話  嫌味ったらしいヤツ



 あの後、何か慌ててた女の人に連れられて小さな事務所に連行されて質問責めにされたけど、本当に全部知らなかったから「知らない」で通したら質問してたおじさんが頭を抱えていた。


「もう一度確認だけど、あの現場にはアルバイトで入ってた近所の高校生なんだね?賀菜一茶(がな いっさ)くんは」


 その台詞に頷く。こいつ等警察でもなさそうなのに、なんの権利があってこんな事してんだ鬱陶しいな


「で、キミは拾ったガネーシャの置物を使って、それを違法取引しようとしてた闇の人間を殴り倒して、あまつさえ大具足を召喚し反撃したと」


「あ、ああハイ。正直無我夢中で自分でも何がなんだかって感じなんですけど、何かやってみろって言われた気がしまして」


 おじさんは眉間にシワを寄せて何やら考えている。まあ、何かオカルトみたいなのを管理してる組織ってのは見て察するけども、やっぱ一般人に知られない様にしてるんやろか


「ええっと……一応現場に居た撃たれていた貴方の友人は救急車で搬送しました。バイト先の現場監督にも急用の旨をこちらから伝えて居ます。それで……」


 それで……何か嫌な予感がするな……ここの監視下の置かれるとかか?あんまり気分良くないなぁ


「ちょっと所長に決めてもらいましょうか。こちらに来てください」



─────



「いいよ」


 偉い人が居そうな部屋に通されるや自己紹介や説明も無く一言そう告げる角刈りのガタイの良い男。


「どうせ人が居ないから彼を雇おうってんだろ?いきなり木端とは言え道士をしばき回すなんざなかなか肝が据わってやがる。手伝って貰えよ。」


 この男、かなり強いんだろうな。オーラっての?ビシバシ感じる。


「俺は反対です」


 ガチャリとドアを開けて入って来たのはツーブロックの狐の様に目が細い男だった。と言うか反対賛成以前に俺の意見は?


「道士を倒したって?まぐれでしょタダの一般人が。そんなのが数合わせに入って来られても迷惑なんですよ」


 こちらに対する嫌悪感を隠そうともせずに嫌味ったらしく言って来る。むかつくぜ………


「まだ俺自身は入りたいとも嫌とも言って無いのに、話が早すぎない?そんなに焦ってんのかアンタら。特に後から来た目の細いK-POPかぶれみたいな奴。どういうヤツか確認せずに押さえつけようとするのは「余裕が無いです」って自己紹介しとる様なモンやないか」


 イラッと来たのでこちらも嫌味で返す。すると分かりやすく顔を真赤にしていた。煽り耐性無いなぁ


「このバカに道士の世界がどれほど過酷なモノか教えてやる!先生!訓練所を使って良いですか!」


「ああ、構わん。分を弁えず調子に乗る人間は危険だからね。イッサ君もそれで構わないかね?」


 所長……先生?がそう言うと狐目ツーブロ嫌味マンは部屋から出ていった。


「それで……俺になんの得が?確かに何やコイツとは思いましたが、それで殴り合いする程イカれてはいませんよ?友達の見舞いにも行きたいですし」


「まあまあ、彼に付き合ってくれたら口止め料を上乗せしようじゃないか。20万でどうだ?」


「20万で妖怪みたいなのに襲われたり撃たれたりケンカさせられる事を誰にも漏らすなと?」


「イヤ、“上乗せで20万”だ。ケンカ代だな」


「おっちゃん、随分アイツを買ってるんですね。ならグダグダ言うのもカッコ悪い。いっちょ殴り飛ばして来ますわ。恨まないで下さいよ?」


「ああ、イッサ君も気を付けてな」



──────



 広い、と言っても家一軒分ほどの空き地で棒を持って立っているツーブロ狐目マン。


「勢いだけの跳ね返りに現実を教えてやる」


 あー凄いその台詞がもう漫画とかで最初にやられる奴の台詞やねん


「ああ、すまない名前を聞くのを忘れてたな。俺は賀菜一茶、イッサと呼んでくれ」


「チッ、俺は葛葉二だ。まあ覚える必要は無いがな」


「ヨウジねヨロシクゥ!」


 あっ、取り調べしてたおじさんがレフリーするのね。


「それでは──────初め!」




 ブゥン!と眼の前を振り抜かれる棒。2〜3歩躱してもしつこく振り回して来る!……やっぱコイツ何か焦ってね?剣道的な技術?が見えないんだが。だからこうやって上着で巻き取られるんだ。


「クソッ!脱いだ服で?!」


 振り下ろされる棒に対してタイミング良く上着をぶつけて巻き取ると、そのままヨウジの腹にグーパンを叩き付ける。ついでに棒と上着を遠くに投げ捨てておこう。


「ホラ来いよ。それとも棒が無きゃ戦えないか?」


 煽ってやるとヨウジは飛び掛かって来たからそのまま引き倒す様にして後ろに放り投げる。なんちゃって巴投げ………あっ!打ちどころ悪かったりしないかな?!


投げられた先に棒があったのか、それを拾い再び振り回して来る。少しは頭が冷えたのか的確に呼吸をついて右、左、薙ぎ払い、と組み合わせて攻撃をしてきてだんだん両腕が痺れて来た……クッソいてぇ……


「分かったか!コレが実戦の厳しさだ!ただのケンカ野郎とはモノが違うんだよっ!」


 トドメとばかりに大きく振り上げる……今だっ!

俺は姿勢を低くして腰を掴み、全身のバネを使って足を伸ばす。一瞬、ヨウジを抱え上げた体制からそのまま仰向けに倒れる。

重力プラス俺の体重、コレは効くだろ!


尻の下のヨウジは目を回して気絶していた。




──────


お読みいただきありがとうございます(/・ω・)/


ライバル……になると良いなぁ

面白かったら☆や感想お待ちしてます!

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