ガネーシャの置物

コトプロス

第1話 ガネーシャの置物

「なぁ、お前次のイベントのあの娘引く?確か限定だろ?」


「あー……回したいのはやまやまだが、今月はプラモがな?」


「んだよ爆死報告楽しみにしてるのに」


 友人の翔太がまた俺をガチャ廃人にしようとしてるのを尻目にナミチキバーガーにかぶりつく。

ナミリーマートの定番商品のナミチキは最高なんだが、最近タルタルソースを挟んだコッペパンをナミチキバーガーとして売っていてその2つを買って自分で挟むのが最高なんだ。


「ガチャの話は良いとして……俺さ、こないだくじごっじでまだ見ぬ面白そうな娘がいないかスコップしててさ、見つけたんだよ」


「どうせロリ系だろ?悪いとは言わないけど、俺は甲高いタイプの声が苦手だからなぁ(´・ω・`)ちょっとハスキーな感じの声の人のが落ち着いて聞いてられるから好き。でもなかなか居ないんだよなぁ」


「あ、あの娘は?にどぎり高校のフレディマーキュリーを自称してる人」


「あの娘良いけど、ちょっと隠し切れないメンヘラみがね……」


 俺達は昼休みに休憩所でクダを巻いていたが、そろそろ時間だ、と再び持ち場に戻る。眼の前には派手に崩れた建物だった瓦礫の山が存在していた。


「おーい!バイトくん!その辺のモノはまだ原型留めてたから事務所の方に持ってっちゃって!元の持ち主が欲しいって言うかもだしさ」


 主任が巧みに操り瓦礫を掻き分けている油圧ショベルの後ろには凹んでいるが潰れてはいないキャビネット棚が置かれていた。コレかな


「翔太、そっち持てよ」


「あいあい」


 2人でキャビネット棚を持ち上げて休憩所まで持って来る。


「何が入ってるんだろうな?クソ重い」


「そりゃあ、書類とかだろ?ここは会社が入ってたんだから」


「ちょっと何が入ってるのか見てみようぜ」


 翔太がニヤニヤしながらキャビネット棚を開くと中には乱雑に詰め込まれた書類と木彫りの置物が入っていた。ああ、文鎮か何かかな


「なんだコレ、木彫りの……ゾウの仏像?インドの店で見た事あるな。ガネーシャだっけ」


 キャビネットから取り出したガネーシャ?の置物はいかにも「手作りですよ!」と言った感じでボコボコしてたり色も塗りムラがあったりはするが不思議と何かをもたらしてくれそうな安心感があった。



「おやおや、それをこちらに渡してくれませんかね?」


 ハッとして振り返ると怪しげな黒いスーツに黒いサングラスの黒尽くめの男が立っており、こちらを見ている。


「あなたはこの崩れたビルの人ですか?失礼ですけど、そうじゃなかった場合に俺が横領したみたいになっちまうから、あっちで本人確認してください。事務所に案内しますよ」


「いいえ、それには及びません」


 黒尽くめの男はゆったりとした動作で翔太を指差す。すると次の瞬間、胸から血を流して倒れる翔太。アイツは何をした?!いや、何かヤバい!猛烈に嫌な予感がビンビンする!


 咄嗟にゾウの置物を拾いあげて主任がまだ作業している現場の方に走ろうとして……足に激痛が走り転倒する。



「君、大人しく渡したらこんな目に会わずに済んだんですよ?何も聞かず、素直にハイと言えば」


 男は俺の頭を踏み付けながらゾウの置物を回収する。クソッ!友達が撃たれて、俺も撃たれて、こんな状況普通じゃない!クソッ!なんで俺が撃たれなきゃいけないんだ!痛いだろうが!


 頭に来たから自分を踏みつけてる足にしがみついて、スネに思い切り噛み付く。


「ふんぎぎぎぎぎ!」


「ガッ!てめぇ下手に出てれば調子に乗りやがって!」


 撃たれる!と思って、全力で手を伸ばして黒尽くめの男のスーツの裾を掴み、身体を引き倒す。

よっしゃコイツ銃持ってる臭いけどケンカ慣れしてないぞ!引き倒した男に馬乗りになってグラサンをバキバキに割るつもりで拳を叩き込む!

おっ、ちょうど鈍器があるやん!このゾウの台座の角とか良い感じやんな!

懐から奪い返した置物の胴体部分を鷲掴みにして頭をガンガンと殴る!


「ふぅ………チッ!足が痛ェ。翔太は無事か?」


「武器を捨てて手を上げなさい!貴方ですね!術を撃ったのは!拘束しますからそのスーツの男性を解放しなさい!」


 え?コレ俺が悪いか?………いや俺が悪いかな?


「えっと……警察の方ですか?あの、向こうに1人銃で撃たれたっぽい人が居るから救急車をお願いします!あと銃を撃って来たのはコイツで俺は殺されたくないから反撃しました!」


 立ち上がり、両手を上に向ける。右手に掴んだゾウの置物の台座には血がベットリとついて……アレ?あんまり付いてない?さっきは付いてたのに



「と、とりあえずそのまま!そのままで居なさい!えっと応援を」




「クソクソクソクソクソクソ!このクソ野郎が!てめぇは今この俺がミンチにしてやる!」


 少し目を離したと思ったら、頭から血を流していた黒尽くめの男が立ち上がり、現場にあったトラックに乗り込む。


「来い!悪鬼ガドウ!」


 何かを取り出しトラックのハンドルに叩き付けると、車がみるみるうちにグニョグニョと変形して5メートル程の身長の鬼になる。な、なんだこれは!


「死ねェ!」


 近くにあった配管を掴み振り回すガドウ。いったいなんなんだコレは!ゲームじゃないんだぞ!


「いけません!結界を張ります!セツ!」


 後から来た女の人が何か石?みたいなのを地面に叩き付けるとそこから青い光がブワッと広がった。またファンタジーかよクソッ!ナニが起こってるってんだ!いや、ここで女を1人任せて逃げたら男が廃るってモンよォ!


「鬼がナンボのモンじゃい!油圧をナメんな!」


 幸い近くにあったユンボに乗り込み、バケットを振り回して鬼に叩き付ける!


「あなたは何なんですか!コチラ側の人じゃないなら手を出さないで下さい!」


「知るか!いきなり手を出してきたのはコイツなんや!それにこんなバケモンの前に女を1人立たせられんやろがい!」


「ふざけるなァ!一般人が選ばれたチカラを持つこの私に逆らうなど!許されないのだ!グチャグチャにしてやる!」


「こっちのセリフだバケモンが!ミンチにしたらぁ!」


 しかし、強がってみたもののこちらはウデ一本、バケモンは2本、押さえ付けてるバケットアームに巻き付いている油圧パイプを執拗に殴られ、ついにアームから力が抜ける。


「ハァ……ハァ………覚悟しろよクソ野郎!」


 キャビンに叩き付けられる悪鬼の拳。ガラスが弾け飛びこめかみを切ったのか血が勢い良く吹き出る。急いで脱……ドアが歪んで開かない?!ヤバイヤバイヤバイ、反撃の手が浮かば………ん?血が置物が血を吸ってる?え?もっと欲しい?頭に押し当てて……うおっ!吸われる?!ん?叫べ名を?

あぁ、分かった。まかせろ


「偽典ガネーシャ!行くぞっ!」


 俺は全力でユンボのレバーに置物を叩き付ける。グニョグニョとレバーの中に吸い込まれ、いや置物がレバーを吸い込んでる?!そしてキャビン、車体、アーム、キャタピラと全てを包み込んだ次の瞬間、ユンボは何処となくゾウと重機が合体した様なロボットに乗っていて俺はそのロボットのコクピットみたいな所に座っていた。ん、なるほど。ヨシ!


「お返しだ!覚悟しろよクソ野郎!」


 悪鬼の頭にストレートを叩き込み、そのままワンツー、身体が密着した瞬間に足を引っ掛け、悪鬼を引き倒す!


「これでくたばれ!」


仰向けになった悪鬼に全体重を乗せたパンチを打ち下ろす。すると悪鬼の姿が崩れて行きベコベコになったトラックが表れた。中のクソ野郎も気絶してるみたいだな。ヨシ!一件落着。解除方法は?え?あ、うん。ああ、オッケー。



 置物を取り出すとユンボも元の姿に戻った。


「あ、貴方は何者なの?」


 女の人が話かけてくる。たぶんこのファンタジーな出来事を知ってるんやろなぁ……どうしよ


「とりあえず、貴方は私と来てもらいます。」




──────────



えっ?コイツロボット系をエタらせてるのにまた書き始めてるってマジ?恥ずかしく無いの?


はい……ちょっとどうして良いか分からず、初めから複雑なのはアカンかったかなと思いシンプルな方向でひとつ……



面白かったらフォローや★、よろしくお願いします(/・ω・)/

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る