金竜王の情報共有
ノエルたちと温泉に入り、肌成分強めで最終的にヨミが限界を迎えて色んな意味でのぼせそうになったり、ほぼ二週間ぶりのノエルの本物の血を味わえてちょっと理性が飛びかけた次の日。
「やっと来たかお姉様! 待ちわびたぞ!」
ログインするなり、エマが周りにハートでも飛ばしているような雰囲気で飛びついてきた。
リトルナイトに向かったのは日曜日で、今日は当然月曜日。
きちんと学生としての本分である学業に従事し、放課後に男子の淡い恋心を砕いてから帰宅したヨミは、本日の課題を手早く済ませ夕飯をシズと食べてからログインした。
昨日ログアウトした場所は、自分の拠点であるフリーデン。リトルナイトのワープポイントを開放したのでいつでも向こうに行けるが、それはあくまでプレイヤーの話。
ではなぜエマがいるのかというと、本当にブランに集落のことを任せて付いてきてしまったのだ。
流石に完全放置するわけにはいかないので週一で帰るならという条件を出したが、彼女は一秒も間を開けずに了承。
ワープポイントを開放した後すぐにそれでフリーデンに戻るつもりだったのだが、こうしてNPCが付いてくることになったので、アーネストたちと一緒に乗って来た飛空艇で戻ることになった。
で、ログインしたら誰にもらったのかちょっと露出の多めなメイド服を着て飛びついてきた。
ヨミよりちょっと育っている胸元と背中が大きく開いていて、ノースリーブで見えている華奢な肩に、ロンググローブで覆われた両腕、メイドなら付けているホワイトブリム、そしてすらりと長い足を覆う白のニーソックス。
肌がアルビノ並みに白いこともあって似合っているが、これを着ているのが魔族の王族だと思うと、どうしてこうなったと疑問に感じざるを得ない。
「お姉様お姉様ぁ」
そしてヨミよりも年上なはずの吸血鬼のお姫様は、飛び込んだヨミの胸に顔をすりすりと擦り寄せて甘えてきている。
こうして甘えられることは嬉しいのだが、どうしてもエマからは少し危ない気配を感じてしまう。
最近学校で仲良くなりつつある女子から、友人としてという意味で好きと言って抱き着かれることがあり、女の子に抱き着かれることはまだ恥ずかしいが少しずつ耐性が尽きつつある。
しかしエマの場合は、マジで好意を寄せてきているのでどう反応してどう対応すればいいのか分からなさすぎる。
「なんというか、以前会った時からは想像も付かない姿だね」
「あ、マーリン。来てたんだ」
「ついさっきね。君以外の真祖吸血鬼がいるって報告を受けて、仕事を切り上げて来たんだ」
ぐりぐりと頭を押し付けてくるのでとりあえず撫で繰り回していると、少し呆れた様子でマーリンが客間から姿を見せた。
「以前会った時って、二人は知り合いなの?」
「うむ。あの頃はマーリンは私くらいのチビだったな。それがまあこんなにデカくなって、果てには国王か。はは、似合わんな」
「クロムにも言われたよ。そういう君は、あの集落で族長をやってたのに随分と、メイド服が様になっているじゃないか」
「ふふん。昨日からお姉様の専属メイドだ。どうだ、この美しいお姉様に存分に触れられる私が羨ましかろう?」
「メイドってのは自分からそうやって主に触れに行くようなものじゃないけどね。僕からすれば、二人とも結構似てるからどっちかというと姉妹でじゃれ合っているようにしか見えないよ」
「それだけ似ているということだな。嬉しいことだ」
「あはは……」
最初から好き好きモードになって全力で甘えてくるエマに、思わず笑いが零れる。
昨日彼女からゴルドフレイの情報を手に入れたので、奴の攻略のためにその情報を解禁して少しでも一回目で討伐できる確率を上げるために配信をするつもりなのだが、エマがこれなので確実にリスナーが暴走する。
「あぁ、そう言えば昨日ノーザンフロストの王子様から連絡があったよ。僕の空間凍結魔術を教えてほしいんだってね」
「あ、そうそう。マーリンのその魔術があれば、ゴルドフレイ戦が比較的楽になるだろうからって」
「む、何だ、マーリンお前そんな魔術を持っているのか。……あとで私にも教えてもらえないか?」
何か言い表せない悪寒を感じる。
「何か邪なこと考えてそうな目をしてるからダメ」
「何も変なことを考えてはおらんぞ? ただ、それを使って存分のお姉様を愛でようと思っているだけだ」
「それが変なことだって言ってるんだよ、エマ。第一この魔術は魔力消費が結構あるし、そんな長く持続しないから」
「なんだ、使えんな」
「戦いでは一秒の差が物を言うから」
「エマは何を考えていたのさ」
「お姉様のことを隅々まで愛でようとしただけだ」
「うん、やめてね?」
すすす、と手が太ももに向かってきたので引き剥がす。この世の終わりみたいな顔をされてちょっと胸が痛んだが、流石に太ももに触れられるのはダメだ。
もうそろそろノエルたちも来る頃だし、配信の準備をするために外に出る。エマもヨミの左腕にぎゅっと抱き着いて付いてきて、これをどうリスナーに説明するべきかと苦笑する。
どのへんで配信をしようかとフリーデンを歩き回っていると、外で遊んでいたアリアがヨミを見つけて走ってきてお腹に飛び込んできたのでみぞおちクリティカルしないように受け止め、左腕に抱き着くエマを見てちょっと不満気にもちもちほっぺを膨らませてから右腕に抱き着いてきた。
ちょっとジェラシーを感じている様子のアリアにきゅんとときめき、ではなく強烈な母性を感じ、もうこのままでいいやとベンチがある場所まで行って両腕に美少女と美幼女を抱き着かせたまま、配信の準備を行った。
♢
「ジークリーベ! 今日も配信に来てくれてありがとう! ギルド
”はい、無理です!”
”ヨミちゃんそっくりな吸血鬼ちゃんがいりゅうううううううううううう”
”左腕に銀髪紅眼の貧乳ロリ吸血鬼。お膝の上にフリーデンどころかFDO屈指の美幼女アリアちゃん。後ろにちょっと不満気なステラ王女様とにこにこなノエルお姉ちゃんと笑いそうなゼーレさんと……あと誰その女の子?”
”なんか開幕から情報量すごいなあ……”
”そしてなぜか移り込んでいるこの国の王様”
”なんで王様がそんなフットワーク軽いんですかねぇ……”
”親しみやすい王様だね! それはそうと開幕百合乱れ咲きのてぇてぇ瞬間をスクショしまくる!”
”ちょっと困り顔なヨミちゃんも最高”
”ヨミちゃんのそっくりさんのヨミちゃんを見る目が結構ガチなんですが、何かしたん?”
配信を始める前から待機人数が四桁を超えており、始めてから数字がどんどん増えていく。
アリアは何度か配信に飛び込んでくるので慣れており、流れていくコメントを面白そうに目で追っている。
「ほー、これがお姉様の言っていた『はいしん』という奴か。文字がすさまじい速度で流れて行っているな」
エマは初めてで興味津々に流れていくコメントを目で追う。
”お姉様、ですと!?”
”どういう経緯で銀髪ロリっ子吸血鬼にそう呼ばれるようになったのか説明求む”
”ロリっ子がロリっ子をお姉様って呼ぶのを見ると、ちょっと背伸びしている感じがあっていい”
”説明を……説明をおおおおおおおお”
エマが一体何者なのか、よりも先に何故お姉様呼びなのかが気になるらしいリスナー。
説明を求めるコメントを拾ったエマが話そうとするが、まずは先に話すべきことがあるからと、右手の人差し指をエマの唇に触れさせる。
「まず、この子が一体誰なのかの説明だけど、この子はエマ・ナイトレイド。詳しい場所は省くけど、リトルナイトっていう小さな集落の長をしてた……んだけど、別けあってなぜかボクのメイドになってます」
本当になんでメイドなのかがとにかく知りたいが、メイド服を提供したのは確実にシズなので後で問いただす。
「なぜかなんて酷いことを言うな、お姉様。昨日はあんなに激しく攻めてきて、私を押し倒したと言うのに……」
「ちょおおおおおおい!? 死ぬほど誤解を招くような発言はやめてくれるかなぁ!?」
”ガタッ”
”攻めて……押し倒した、だと……!?”
”キマシタワー!”
”てぇてぇ”
”あ゜(昇天)”
”えっちなことしたんですね? したんだよね? したって言え。していてくださいお願いします”
「ち、違うから! そんなリスナーたち変態が想像するようなことしてないから!」
「でも激しく
「それはっ、そう、だけどっ……!」
確かに攻撃するために激しく攻め込んだし、決着を着けるために押し倒しもした。言い方はともかく発言自体は一切間違っていないので、否定もしづらい。
「お姉様に負かされて私は心を奪われた。だからこうしてお姉様のことをお慕いしているし、この身も心もお姉様に奉げるためにメイドをすることにしたのだ」
うっとりと自分の頬に手を当てて上気させ、体をくねらせながら言うエマ。ますます加速するコメント欄。
「全ての発言がっ、うちのリスナーにキモい妄想をさせる燃料になるっ」
「ヨミちゃん、言い方が大分きついけどそれはそれで刺さるからね?」
「チクショウどうすりゃいいんだこれぇ!?」
ノエルに憐みの目を向けられた。
あの日、メスガキ演技をしたことが全ての原因だ。過去に戻れるならFDO二日目のあの時間に戻り、張り手をしてでもやめさせたい。
「さて、お姉様をからかうのはここまでにして。紹介に預かったエマ・ブラッドムーン・ナイトレイドだ。今は亡き魔族の国、魔王国ナイトレイドの最後の国王モント・イクリプス・ナイトレイドの次女にして、ナイトレイド唯一の王族の末裔だ。後ろにいるエヴァンデール王国の姫と同じ、亡国の姫という奴だな」
「フルネームってそんななんだ」
「そうだぞ。ナイトレイドでは王族には決まって、月に関するミドルネームが付けられる。私は赤い月の夜に生まれたからブラッドムーン、父は月食の日に生まれたからイクリプス。お姉様も私と同じ真祖なのだし、ナイトレイドを名乗ってもいいし月に関する名を付けてもいいんだぞ? 何なら、私と同じ名を付けてもいいぞ? そうすれば晴れて本当の姉妹だ」
左腕から離れたと思ったら、首にするりと腕を回して顔を近付けてくる。
「し、姉妹だったらここまでぴったりくっつかない気が……」
「恥ずかしいのか? こんなに顔を赤くして、愛いお姉様だ。しかし私はあの時の、真剣な眼差しで攻め込んでくる方が好みだな」
「だから言い方、それ絶対わざとでしょ」
こちらの反応を見てわざとやっているのは確実な表情だ。
これが本当のメスガキなのかと感心し、これにドキドキしてしまう自分はどうなんだという葛藤がある一方で、先日も思ったがこれは確かに刺さる人には刺さりそうだ。
視界の端で何かがすさまじい速度で下から上に流れていくのが見える気がするが、極力視界に映さないようにする。
「それで、どうしてこのはいしんとやらを? 今のところ流石の私もちょっと引くレベルの文字が書かれているが」
「やっと本題に移れる……。この配信で、昨日エマに教えてもらったことを、ゴルドフレイ討伐作戦に協力してくれる人たちに共有するんだ。ボクたちだけが知っているんじゃ意味ないしね」
「ふむ、こうして不特定多数の人間に情報を伝達する仕組みか。……この技術が三百年前にもあれば、ナイトレイドは滅びずに済んだかもしれんな」
ほぼタイムラグなしでの情報伝達、戦況の把握が可能。確かにこれが当時の時代にあったら、もっと楽に戦えたかもしれないしもしかしたら生き残れていたかもしれない。
自分の父親のモントの最後の姿でも思い出しているのか、表情に陰りを見せるエマ。真祖は自分一人となり、周りに仲間はいるが孤独となって三百年間リトルナイトの長として過ごしてきた。
見た目は幼くとも立派な大人だと、慰めるように頭を撫でる。
「じゃあまず、ボクの口からゴルドフレイの情報を公開するね。今までは一つのギルドで秘匿するのが当たり前だったけど、確実に勝つためにはやっぱり多くの人との協力が不可欠だし」
そう言って、昨日エマから教えてもらったゴルドフレイの正しい情報を次々と開示する。
飛行速度、攻撃パターン、即死技とそれから生き延びるために必要だと思われる方法。通常ならゲーム内通貨で数千万単位で取引されるレベルの貴重な情報を、ヨミは躊躇いもなく公開する。
ヨミの配信が情報の宝の山とでも認識しているのか、考察ギルドのアーカーシャのマスターであるシンカーが誤字しまくりのコメント連投をしたり、一般リスナーがゴルドフレイのあまりの理不尽さに運営の頭を疑ったり、変態リスナーがそんな情報そっちのけで、膝の上に座って頭を撫でるようにねだるアリアと、変わらず熱っぽい視線を向けるエマに挟まれて困っているヨミを見て興奮していたりと、コメント欄は様々な反応で分かれていた。
「───とまあ、こんな感じかな。これで結構な情報が集まって正確性は増したと思う」
”正確性は増したけど、運営の人の心は失われた”
”やっぱ運営ってこのグランドクエストを、一般プレイヤーがクリアできない難易度に設定してんだろ”
”何が恐ろしいって、竜王と竜神の討伐がFDOのメインコンテンツってこと”
”大人気モンスター狩猟ゲームの、一夜で文明を滅ぼしたドラゴンが最終的にプレイヤーからただのトカゲって言われてネタにされてるから、これもその道を進むかと思いきやマジで王と神の名に恥じない化け物級だった件”
”竜神二体もそうだけど、竜王ってみる感じなんかこの世界の生物の枠組みから外れてる感じするんだよな。ゴルドニールなんか、ちゃんと生物ではあるけどなんとなく人工物感はあるし”
”目撃回数の多いゴルドフレイも、最初はちゃんとファンタジーな生物なんだけどどことなく機械っぽさを感じるって言われてたな”
”即死技の回避方法がDPSチェックで、それを突破するには逆鱗を攻撃するしかないのに相手は音速の十倍以上で飛んでくるとかなんてクソゲー?”
リスナーたちもあまりの理不尽っぷりに困惑している。
「ゴルドフレイの即死技でDPSを出すための方法は、一応は考えてあるんだ。みんな、マーリンがゴルドニール戦で使ってた空間凍結魔術は覚えてるよね? ボク等側からの意見になるけど、この世界に魔術として存在している以上はシステム上はボク等にも習得できるようになっている。難易度は難しいだろうけど、条件を満たしている術師系があの魔術を覚えることができれば、ゴルドフレイを一時的にその場に止めて逆鱗を攻撃しやすくなる、って言うのがアーネストの意見」
本当にあいつはただの戦闘狂な脳筋じゃなかったんだなと、しみじみと思う。結局あの後、温泉でノエルにリアルでも血をあげると言われて本能がそっちを優先してしまい、後になってアーネストに予定が入っていけなくなったとメッセージを送ったのでバトレイドでの戦いは実現せずだった。
思い出したら奴とタイマンしたくなってきたので、いつの間にか遠巻きでエマとアリアにくっつかれて、後ろからぷくっと頬を膨らませているステラに見つめられているのを笑いそうになっているの必死にこらえているのが見えたので、後で連行してぶちのめす。
「お姉ちゃん、ごるどふれいってなに?」
今の空間凍結からの逆鱗攻撃がアーネストからの作戦だと知り、ヨミと似たようなコメントが書き込まれているコメント欄に目を通していると、アリアがヨミの胸に頭を預けながら見上げてくる。
「ん゛っ……。ゴルドフレイって言うのは、そうだなぁ……。赫き腐敗の森に赫竜王って言うのがいるのは知ってるよね?」
「うん、知ってる。お母さんが絶対に行っちゃダメだって教えてくれたの」
「そうかそうか。ちゃんとセラさんの言うことは守るんだよ? で、ゴルドフレイはバーンロットと同じ竜王で、あれよりは強くないけどとっても強くておっかない金色のドラゴンなんだ」
「へー」
気になったから聞いただけで、あまり興味がなさそうだ。
基本的に、竜王と竜神は名前ではなく通称で呼ばれることが多い。ゴルドフレイなら金竜王、アンボルトは黄竜王、みたいな感じだ。
アリアは恐らく名前ではなく王の通称の方で覚えているので、名前の方で言ってもそっちと通称が結びついていないので、こうして聞き返すことがある。
「ねえノエルお姉ちゃん、うちのお姉ちゃんが私にする以上のアリアちゃんにお姉ちゃん味を出してるんだけど」
「シズちゃんは最近暴走してて怖いってヨミちゃんいつも言ってるからねー。アリアちゃんは年齢的にも純粋に甘えてくるタイプだから、ヨミちゃんもああなるんだろうね」
「私も素直に甘えればああやってくれるかな」
「急にあんな風に甘えたら、変に勘繰って裏があるんじゃないかって警戒しそう」
「くっ……! これが日頃の行いか……!」
後ろで何か変なやり取りがされているが聞き流す。
「とりあえず、この戦いに参加したいって人はこれから公開するアドレスに申請を送ってね。術師系のプレイヤーであの空間凍結を覚えられる人は、先にそのことをしっかり明記しておくこと」
「最悪、僕が教えなくても
「量産できるの?」
簡易魔術媒体書は、既に枠いっぱいに魔術を覚えてしまっていたりステータスが届いていない、魔術を覚えるのが難しい剣士系のプレイヤーの救済アイテムの一つだ。
巻紙形だったり分厚い本だったりと様々だが、共通しているのは一度使ったらそれっきりの使い捨てということだ。
巻紙形は一枚だけなので、一度使ったらその一枚の効果はなくなるが、ほんの形をしていると紙一枚一枚に分かれているので、全て使いつくすまで本に書かれた魔術の起動ができる。
簡易魔術媒体書そのものにMPが込められているので、所有者の許可があれば即座に刻まれた現象が作動する仕組みだ。
大体が高威力の魔術だったり高い治癒能力の魔術だったりするし、量産が地味に難しいのでプレイヤーに限らずNPCの間でも高値で取引されている。
「まあ、頑張ればね。ゴルドニールに僕の魔術が通じたから、再使用するまでにかかる時間を埋めるためにそういうのがあったほうがいいと思って、クロムと一緒に量産体制を整えてる」
「……もしかしてフリーデンに頻繁に来てるのって、そういうこと?」
「むしろなんだと思ってたんだい?」
「昔馴染みに会いに来たりお見舞いに来るために仕事を抜け出す人」
「あはは! 国王ではなく友人みたいに接してくれと頼んだのは僕だけど、それでも僕にそんな物言いするのはクロム以来だよ!」
「そりゃどうも。で、目途は立ちそうなの?」
「どの魔術にしようかって話の段階で止まってただけだから、まだ企画段階だね。僕の空間凍結魔術と、他にも火力は必要だろうし僕が使える大魔術から極大魔術をどうにかして簡易魔術媒体書にできないか試してみるよ」
「お願い」
”しれっととんでもない革命しようとしてないかこの王様”
”極大魔術のスクロール化はトップ層の魔術師でも不可能な偉業だぞ”
”でもこの王様、空間凍結っていう反則魔術を自分で編み出しちゃってる人だから……”
”前例が強すぎる”
”ヨミちゃんがあげた飴玉をお口でコロコロ転がして楽しんでるアリアちゃんきゃわわ”
”流石に王様は参戦できないだろうけど、参戦できないなら自分の魔術をものにして向かわせると言う知能的脳筋”
”何気に王様の要望に答えちゃいそうなクロムさんが化け物な件”
どうやら極大魔術のスクロール化はプレイヤーの間ではいまだ実現していない代物だそうだが、ここにいるのは魔導王と呼ばれている魔術師だ。
そういうコンセプトの下で運営から生み出された最強の魔術師NPCなので、プレイヤー以上の魔術の知識を有している。なので、プレイヤーにできないことでもマーリンになら実現できる可能性がある。
とりあえず、そろそろノエルの隣に立つシズのことを説明しろというコメントが増え始めたので、シズを呼び寄せてからしっかりと実妹だと紹介。
銀髪じゃないのかとか色々言われたが、しっかりとキャラクリしたからリアルとこちらとでは大分顔も違うと、ヨミにだけ刺さるような言葉回しで説明していた。
人知れず言葉のナイフでやられているとアリアが何かを感じたのか、小さくて柔らかい手で頬に触れて心配そうな目をしてきたので、ぎゅっと抱きしめて癒しを貰った。
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