金の王への挑戦権 3
【立ち上がれ】ゴルドフレイのクソ野郎はどこにいる Part33【王女様のために】
667 無名の王女様親衛隊員
最近ステラ様ふっくらして来てワイは嬉しいよ
668 無名の王女様親衛隊員
あれだけ痩せてても衰えない美少女なんだ。ちゃんとご飯食べてちゃんと標準体型になったらどうなることやら
669 無名の王女様親衛隊員
色んなNPCに聞きまわってたら、元々ステラ様って剣術の名手で薔薇の姫騎士って呼ばれてたっぽいことが判明した
670 無名の王女様親衛隊員
>>669 その呼び名を付けたやつは天才だ。栄誉賞を授与してやりたい
671 無名の王女様親衛隊員
なんでずっと腰に剣を下げてんのかと思ったらそういうことね
672 無名の王女様親衛隊員
なんか前の配信で、あれが唯一の形見だって言ってた気が……
673 無名の王女様親衛隊員
ステラ様……どうか、どうかお幸せに……。できればヨミちゃんたちのところで
674 無名の王女様親衛隊員
>>673 おめーはただ美少女同士の絡みが見たいだけだろ
675 無名の王女様親衛隊員
美少女同士のイチャイチャが高確率で見れるんだったらそのほうがいいだルルォ!?
676 無名の王女様親衛隊員
夢想の雷霆にも行ってほしいけど、ステラ様はあっちとはまだ面識ないからなあ
677 無名の王女様親衛隊員
四大ギルド全員が手を組んで金竜王倒すことになったけど、他三つが未だにフリーデンに招待されてない事実
678 無名の王女様親衛隊員
>>677 全員自力で見つけるから教えるなって言ってたっぽいぞ
679 無名の王女様親衛隊員
なんだかんだで楽しんでんなみんな。まあ、一応これゲームだしね。リアルすぎて忘れてたけど
680 無名の王女様親衛隊員
おい! ヨミちゃんがゴルドニールに襲われてるぞ! 緊急配信が始まった!
https://Yomi_channel/fantasiadestinyonline.livestreem.com
681 無名の王女様親衛隊員
これはゲームだけど最早ゲームじゃないだろ
682 無名の王女様親衛隊員
>>680 ふぁ!? なんで!?
683 無名の王女様親衛隊員
今日ヨミちゃん、SNSで配信しないでフリーデンで休憩するって言ってたよね? ってことはゴルドニールの奴フリーデンを襲撃したの!?
684 無名の王女様親衛隊員
せっかくステラ様が心身ともに健康になりつつあったのに何してくれてんだ金竜ゴルァアアアアアアアアアア!?
685 無名の王女様親衛隊員
どうすんのよさ!? 夢想の雷霆と剣の乙女とグローリア・ブレイズもいないよ!?
686 無名の王女様親衛隊員
今見に行ってきたけど、亡霊の弾丸主要メンバー、っていうか準決勝参戦メンバーが揃ってる。あとなぜかマーリン陛下
687 無名の王女様親衛隊員
なんで王様が戦場にいるの!?
688 無名の王女様親衛隊員
配信始めた理由は、我らリスナーにゴルドニールの動きを見て何か気付いたらとにかくコメントして、シェリアちゃんに情報を送ってほしいからだって
689 無名の王女様親衛隊員
ならば今すぐ行かなければ! 我らが麗しの王女様のために!
690 無名の王女様親衛隊員
王女様のためにぃ! でもできるならフリーデンに行って直接活躍したかった!
♢
ゴルドフレイが襲撃してから四十分ほどが過ぎた。
こんなことならもっと積極的にアーネストたちを説得して、ここのワープポイントを開放させておけばよかったとものすごく後悔している。
「こんだけ殴って魔術やら弾丸やらをぶち込んで、やっと半分ってやっぱこいつおかしいだろ……!」
持ちうる手段全てを使って全力で攻撃を撃ち込んだが、どういう理屈なのかダメージがほとんど通らず、自棄になってMPを全快させてからMPを全部消費するヨミの暗影魔術の極大魔術『イクリプスデスサイズ』をぶち込んで、特性である防御無視でやっとまともなダメージが入って半分まで削れた。
この魔術はMPの最大量を参照し、残存MP量でどれくらい防御力を無視するかが決まる。今回のように最大まであれば、完全無視は反則過ぎるためか八割無視し、残り一割であれば一割無視すると言った感じだ。
それで、最大値まで回復してから使ったのでゴルドニールの防御を八割無視した全力の攻撃を撃ち込んだにもかかわらず、それでも大したダメージが入らずやっと半分まで削れた。
この攻撃であわよくば一本値を残り一割か二割まで減らすつもりだったので、ほぼ無駄撃ちのようになってしまい非常に不機嫌だ。
「マーリン! MP……魔力はどれくらい余裕がある!?」
「みんなから回復薬を受け取っているから、まだ余裕はある! とはいえ、大魔術や極大魔術の連射はできないぞ!?」
「使ったところでほぼ効かないから攻撃系の極大魔術は使わなくていい! 種が割れるまでは空間凍結でゴルドニールを足止めしつつ、バフ系魔術でみんなをサポートして!」
「すげえな。国王相手にタメ口と呼び捨てしてる。そんでそれを陛下は受け入れてる」
「一々そんなの気にしていられる状況じゃないからね! なんせ、私の固有戦技でもまともなダメージが入らないんだもの!」
ジンを正面に立たせて、後ろからブレッヒェンを撃ちまくるクルル。
彼女が取得している弾丸魔術の中に、
非常に強力な竜特効が付いているアオステルベンを持つシエルがいないので、ダメージの通りが悪い。
一時間だけでもいいから、FDOにログインできないかどうかお願いしてみようかと思ってしまうくらいだ。
『尻尾からの噴射を確認! 狙いは……ヨミちゃん!』
シェリアからの警告が飛んでくる。
既に一分ほど前に狙われると言われていたので余裕をもって回避行動が取れて、影に潜らずに跳躍して回避して、マーリンが空間凍結で動きを止める。
ただ叩き付けるだけではろくにダメージが入らないのならばと、影の鎖を伸ばして木に引っかけ、巻き取りながら加速。ついでに腰にジェット推進機形態に変形させた相棒でエネルギーを噴射してさらに加速。
余っている背中の接続パーツを寄せ集めてブーツ形態に変形させて足に纏い、溜まっているエネルギーを全消費する。
「『ウェポンアウェイク・
ガゴォン!!! というとても生物を蹴っているとは思えないような音を響かせて、えげつないくらい硬いものを思い切り蹴ったためびりびりと脳天まで痺れるような痛みを感じる。
「なんっでこんなに硬いんだよこの金色クソトカゲがぁ!?」
蹴り付けた背中の上に立って、がすがすと地団駄を踏む。空間凍結が解除されて振り落とされる。
四十分も思い切り攻撃しててもろくなダメージが入らなければ、誰でも不満がたまるだろう。
使い倒しているブリッツグライフェンの全力攻撃もダメ。MP全消費で最大火力の極大魔術『イクリプスデスサイズ』もダメ。
一体こいつには何が効くと言うのか。
「トーマス! いい加減こいつの逆鱗の位置を見つけなさいよ! じゃないとじり貧よ!?」
クルルもかなりイラついているようで、引き金を引き続けながら怒声を上げる。
「さっきからヨミちゃんが言ってるけど、この硬さは絶対に何かあるよね。ロットヴルムも、ヨミちゃんがソロで挑んで三十分で一本目を七割削ったんでしょ?」
「そうなんだよ。ボルトリントだってまだジンがいない頃に四人で挑んで、かなりいいペースで減らせてたしね。これがこいつの能力か何かによるものじゃなかったら、最強の竜王の眷属よりも硬いってことになるから」
尻尾のからのエネルギー噴射による超加速、金色のエネルギーでのブレス攻撃。今のところ使ってくる特殊な能力はこれだけで、後は物理だ。
超加速で得た推進力に自身の巨大な体を砲弾とした質量攻撃。加速せず日常で戦う時は前脚での引っ掻きや叩き付け、噛みつき、回転して太い尻尾での薙ぎ払いなどだ。
「そもそも能力が空の支配って曖昧過ぎるから、どんな能力なのかが推測できないんだよ!? なんで他は超分かりやすいのにこいつだけ分かりにくいんだよ!?」
うがー! と頭を雑に搔きむしりながら叫ぶ。
硬すぎてダメージが通らないと、攻撃が通じている感がなさすぎてストレスがたまる。
こういう手合いは確実にギミックを解除した後ですっきり爽快気持ちよくなれると決まっているが、そのギミック解除がむずすぎる。
もういっそのこと、みんなに徹夜してもらって夜通し戦闘してじりじり削り倒してもらおうかと考え始めてしまう。
四十分で一本目を半分削ったのだ。八十分あれば一本。六時間くらいかければ全部削り切れる。
「ヨミちゃん、大分危ない目をしてるよ?」
「大丈夫大丈夫。六時間くらいかければ倒せるから」
「うん、ダメだからね? 明日も学校なんだから」
「よっしゃ今すぐにでもぶちのめすぞー!」
「落ち着いて!?」
考えなしに殴りかかりに行こうとするヨミを、ノエルが抱き着いて止める。
今のノエルは、見た目は士官服のようなものになっているため硬い鎧はなく、非常に柔らかいものが当たる。
現実と変わらないその柔らかさに一瞬冷静になってから、至近距離で感じる甘い匂いとのダブルパンチで思考が停止しかける。
そして、ここであることを思い出す。
「……ああああああああああああああ!?」
「ひゃあ!? ど、どうしたの急に?」
「なんで……なんでボクはあれがあることを忘れてるのさ!? アーネストのアロンダイトを除けば、ものすごい竜特効だろあれ!?」
「あれ? ……あぁ! 雷王怨嗟!」
なぜこの場において一番重要なものを失念していたのか。この四十分は何だったのかと、これを忘れていた四十分前の自分を殴りたくなる。
今思いついた言い訳をすれば、これを使うと自分でかけている自己バフは全て強制解除されてしまうし、連続使用すると暴走して周りにいる味方まで巻き込む暴走状態になってしまう。
だから使わなかった、と言い訳ができる。忘れているということを大声で叫んでいなければ。
「ヨミちゃん、また掲示板とかコメント欄でぽんこつって言われるなこれ」
『もうとっくにたくさん「ぽんこつ可愛い」って送られてきてるよー』
「誰がぽんこつじゃ!? ここから巻き返してやる!」
雷王怨嗟を発動。発動していた自己バフがすべて消えて、マーリンの神撃の鎧だけが残る。
「全員一度離れて! マーリンは空間凍結行ける!?」
「一応行けるけど、何をするつもりだ!?」
「ドラゴンにはドラゴンの力をぶちかますのが一番効くって言うのは鉄板なのさ!」
亡霊の弾丸のアタッカー陣営と、ヘカテーとジンのおかげで一本目の残りが四割となったゴルドニールは、雷王怨嗟を使った瞬間全てのヘイトが他プレイヤーから剥がれてヨミに敵意を向ける。
尻尾からエネルギーを噴射してぐぐっと踏ん張るゴルドニールに、一度全部息を吐いてから体を少し反らしながら胸いっぱいに空気を吸い込んで、準備をするヨミ。
踏ん張るのを止めたゴルドニールが初速から音を壁を破壊して衝撃波を撒き散らすが、動き出すと同時にマーリンが空間を凍結させて動きを封じる。
じろりと鋭い眼差しをマーリンに向けて、やっぱりお前から排除してやると声を上げる。
「そろそろくたばれ、この金色クソトカゲぇええええあああああああああああああああああああああ!!!!」
この四十分の間に溜まったうっ憤を晴らすように大音量で叫び、その声に比例して口元にできた魔法陣が爆発的に拡大し、特大雷ブレスが放たれる。
ゴルドニールの体が大きすぎるので丸ごと飲み込むなんてことはなかったが、顔面にブレスが当たってダメージが入る。
使用者はヨミだが、元の力がアンボルトのものだからだろうか。すけーつも威力も本家本元の黄竜王の雷ブレスには届かずとも、その力は紛れもない王のものであるため、一本目の残り四割だったHPががりがりと削れて行き、残り一割半となる。
「なんでもっと早くそれ使わなかったのよ!?」
「ごめんなさい!」
今までで一番早くHPが削れたのを見たクルルが、やや過剰に出力された怒りの感情をヨミに向けて怒鳴る。
こればかりは、忘れていたということを言ってしまったため謝罪以外の選択肢がなく、素直に謝る。
「これ連発するとアンボルトの怨嗟に飲まれて暴走して、ここにいる全員巻き込んじゃうので連発できないです! あまりこれを主軸にはしないほうがいいかも!」
『でも今までちょっとしか入れられなかったダメージと比べると、かなり有効だよ。状況を見てお願いするかも』
「ヨミちゃん、それアンボルトが小さい雷の玉を地面に落として炸裂させる奴ってできる!?」
「それやったらジン含めたみんな消し飛ぶと思うけど」
「分かった使わなくていい!」
あのド派手な攻撃を期待していたようだが、見た目通り全方向に判定があるのでやったら全員死ぬ。
ちょっと期待していたらしい人は考えを改めてゴルドニールに向き直り、空間凍結が解けて自由になった奴が真っすぐマーリンに向かって飛んで行った。
マーリンは本日何度目か分からない転移魔術で回避し、ヨミは雷で自分自身を強化して全力で走り出し、ノエルが後ろに続く。
じりじりと怨嗟ゲージが溜まっていくので一旦雷を消して、肩越しにノエルにアイコンタクトを送り、シュラークゼーゲンを思い切り振るってもらう。
タイミングを合わせて足裏をメイスにつけて、振り抜かれるのと同時に蹴って打ち出される。
マーリンを見失ってドリフトするように急制動をかけたゴルドニールは、自分に一番ダメージを入れたヨミを排除しようと、尻尾から噴射するエネルギーを一瞬だけ増加させて急加速する。
鎖を横に飛ばして巻き付け、巻き取ることで無理やり軌道を変えることで回避。ブリッツグライフェンはブーツ形態のままなので、ちょっと溜まっているエネルギーを消費して脚力を強化し、足場にした木をへし折りながら跳躍して追いかける。
相変わらず制御がまだ難しいのでひやひやしながら追いかけて、曲がろうと減速して並んだところで左手に雷をまとわせる。
「お前より格上の王の雷を存分に喰らいな!」
ヨミの方に向くのに合わせて頭に手を置いて、ゼロ距離で雷を叩き込む。HPがじわじわ減っていき、同時に怨嗟ゲージも蓄積されて行く。
あまり使いすぎると、使いたい時に何もできなくなってしまうので使用をやめる。ゴルドニールの一本目のHPは残り一割を切っていた。
「さんざこっちにストレスを与えてくれたんだ。ちょっとくらい強めな電気ショックを与えたっていいだろ? それはそうとちぇすとぉ!!」
雷王怨嗟を解除して自分の魔術を使用可能にし、足元に大剣を作ってその腹の上に立ち、左脚を軸に回転しながら残りちょっとのエネルギーを消費して脚力を強化。
ストレスを発散するかのように左の頬に回し蹴りをぶち込んで、1ドット程度しか減らなかったが追加で発生した衝撃で顔が右に向かって弾かれたので、それはそれでよしとした。
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