EP2 想いの代償

序章

ある男の手記

 君と離れてから、どれほどの時間が経ったのだろうか。君のいない日々は、まるで色を失った世界のように味気なく、退屈で、無機質だ。それでも気づけば時は流れ、日々はあっという間に過ぎ去ってしまうのだから不思議だ。


 君は今、あちらの世界で何をしているのだろうか。君はあの笑顔で、今も誰かの心を温めているのだろうか。

 君の輝く姿が、誰かを照らし、その人の希望となっているのだろうか。

 君の明るさと奔放さは、夜空に瞬く一等星のように、周りの人々に光と希望を与えているに違いない。そうであってほしいと、心から願っている。

 その輝きは、遠くからでも一目でわかるほどに鮮やかで、力強いものなのだろう。夜空のどこにいても見つけられる、そんな特別な星であってほしい。


 だけど、こうも思うのだ。君には誰にも気づかれず、ひっそりと輝く六等星であってほしいと。これはもう僕のわがままだね。僕だけが見上げ、僕だけが見つけ、僕のためにだけ輝く、そんな特別な星でもあってほしいのだ。君の存在が、僕の世界の中心であってくれるなら、それだけで僕の心は満たされる。


 君は、僕のことを覚えているのだろうか。僕も随分と変わってしまったよ。それでも君への想いは変わっていない。君がそばにいなくても、ふとした瞬間に君の存在をそばに感じるんだ。僕はその馬鹿げた勘違いだけで、生きる気力が湧いてくる。君を想う気持ちは、時が経つごとにますます深まっていく気がするよ。


 それにね、もうすぐ君に会える気がするんだ。その思いだけで、胸が高鳴り、全身に血が通い、力が漲ってくる。


 その日が来ることを信じて、今日も僕は君を想い続けよう。


 もしこちらの世界で、もうそれが叶わないのであれば、僕は世界すら飛び越えて君を迎えに行くよ。


 そのためだったら僕は――この世界の理すら変えてみせるよ。

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