第12話 …フェ⚪⚪オは…家じゃ駄目っ!!
帰路の車中、帰宅予定時刻をオーバーしていた俺たちは、お弁当箱をお返しする名目で奥さんに仁義を切るべく、実乃里ちゃんの自宅に向かっていた。
「車は近くの駐車場に停めていったほうが良いかな」
実乃里「我が家の駐車場の1台分は未だ車がありませんので停められますよ…先生、お疲れですわね…やはりお一人でお車の運転をずっとされるのは疲労が溜まるのですね…申し訳ございませんわ」
いや!車の運転なんかへでも無いんだけどね。
なんか誰かさんに文字通り精気を吸い付くされちゃってね!
実乃里「お粗末様でございますわ」
誉めて無いから!
「…なあ、なんであんなに上手いんだ?流石に初めてなんだろ?」
実乃里「失礼ですわ!初めてに決まっております!」
「…あんな絞り取られたの初めてだわ」
実乃里「それは嬉しいですわ」
「いやホント…誉めるつもりでいってるんじゃないんだけどね…」
実乃里「あれはフルートの技法ですわ」
「フルートの技法?」
実乃里「フルートの要領で先生のを舌と唇で…」
実乃里ちゃんは確かに全国クラスのコンクールでも優勝狙えちゃうくらいのフルート奏者なんだけど、どこからそんな発想が…
実乃里「わたくしのお隣のくそビッチグループの親玉が…」
「…うん、君のグループなんでしょ?もう何を言われても平気だよ?」
実乃里「…わたくしの親友の南ちゃんが…」
親友かよ!!くそビッチとか言うなよ!
実乃里「言ってましたの。自分の特技を生かせって」
「うん…なんかの機会に、その子には挨拶したいなあ!」
駄目だ…南ちゃんだったっけ?その女なんとか釘を刺しておきたい!これ以上、実乃里ちゃんに余計な知識を付けさせてはいけない!
「言っておくが…あれは家庭教師の授業中や休憩時間は絶対無しだかんな!」
実乃里「そ…そんな!」
「あれは流石にばれたらお母さんに顔向け出来ない」
実乃里「…もし母が良いと言ったら?」
「…即刻、このバイトは辞める!」
実乃里「や…辞め…分かりましたわ…ねえ先生?キスも駄目ですの?」
「キスも駄目…あ~もうそんな顔すんな!分かりました!軽くな?」
実乃里「嬉しい…約束ですわ!」
小動物…いや、借りてきた小虎みたいにしょんぼりしちゃった実乃里ちゃんについ妥協してしまった。
この頃の実乃里ちゃんはバードキスしか知らなかったんで大丈夫と思ったんだけど…後で物凄く後悔する羽目に陥りましたっ!
―
―
―
車の到着音が分かったのか、実乃里ちゃんのご自宅の玄関が開いて若目の男性が現れた。
お兄さんかな…中学生の妹さんだもんな…心配掛けちゃったか…な…あれっ!?
?「実乃里!遅いぞ!心配…あれっ?」
「…なんでお前がここに…」
?「ま!まさか…」
「高校三年で童貞卒業したプレイボーイの兄さんてのはお前か!?秋山秋男!」
秋山なんて名字ありきたりだから想像もしてなかったわ!
秋男「うるせえ!何で知って…じゃなくて、えらくカッコいい家庭教師ってのは…お前か!?桂木三月!」
…いかん!絶対にどこで知り合ったのか…知られる訳にはいかない最悪の悪友?が、ラスボスのように現れおった!
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