第8話 …しまったっ!トラにエサをっ!!
実乃里「…お待たせ致しましたわ…何をしてらっしゃいますの?」
「…保険」
清楚だけど破壊力抜群なワンピース姿の実乃里ちゃんがきょとんとしている。
万一理性を吹っ飛ばした俺が実乃里ちゃんを襲わないように、ラブホ備えつけの自動販売機からソフト手錠を2つ買って、それで拘束した両手をベッドのバーに固定したんだけど。
実乃里「…これって、私、先生をさわり放題ですわね」
しまった~!!
「接近禁止!1m以内接近禁止!!」
実乃里「さて…いかがいたしましょうか…」
俺は、わざわざベンガルトラに食べやすいエサを与えてしまったことを悟った。
―
―
「ち…ちょっと!何やってるの!」
接近禁止要請など何のその…実乃里ちゃんがぴったりと身体を寄せてくる。ラブホ備え付けのボディシャンプーの香りに混じって、彼女本来の女の子の甘い薫りが俺の鼻腔を擽る…だけならまだ良い(良くないが)んだけど、こいつ…よりにもよって俺の◯◯◯をスラックスの上から優しく擽って…
実乃里「…さすがに先生はすぐに逝ってしまわれませんわね」
「……」
実乃里「放課後に私を襲ってきた同級生は、これで行動出来なくなってましたが」
「…実乃里ちゃん?」
実乃里「私が殿方に襲われたのって二回ありますの。一度は放課後に…相手は同級生でした」
「とっさにこれをやったのか?」
実乃里「護身の一つとして兄が教えてくださって…きっと一瞬で達したのでしょう。動けなくなった彼から、その時は逃げ仰せられましたわ。…先生、本当に我慢強いですわね?逝ってもよろしいのですよ?」
「そんなことしたらスラックスが汚れるだろうが!」
実乃里「…もちろん洗って差し上げるつもりでしたが…かしこまりました。それでは直接…」
「待て待て待て待てっ!」
―
―
「…真面目な話をすんだろ…さっさと辞めて欲しいんだけど」
実乃里「…はい」
実乃里ちゃんは辞めてくれた。そして美しい顔を俺の胸に埋めてきた。
―
実乃里「もう一度は、街の路地裏で…素行の悪い人たちに」
「……」
実乃里「あの時は本当に覚悟致しましたわ。でもたまたま帰省してらっしゃった兄が身を挺して」
「……」
実乃里「そのときの後遺症で、兄は今でも右肩があまり上がりません。柔道も辞めてしまわれた…」
「……」
実乃里「…先生、私はどうせ失うものならば…お相手と場面は選びたい」
「…それが理由だと?」
実乃里「…まさか」
顔を上げた実乃里ちゃんの瞳が…唇が…
「近い!近い!近いって!!」
実乃里「これは失礼致しましたわ」
実乃里ちゃんがにっこりと微笑む。
実乃里「こんなのは単に状況の説明に過ぎませんわ…私が先生に拘るのは…」
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