第2話  フェ◯◯オって、なんですの?

実乃里「フェ◯◯オって、なんですの?」

「ぶ~~~っ!!」

授業の小休止。お母様(ウルトラ美人)からの差し入れのケーキと紅茶を嗜む俺に問答無用で爆弾を叩き込んでくる美少女。

実乃里「はしたないですわ先生…それほど驚くことはないでしょうに…」

「それほど驚くことだと思いますっ!」

その顔でその声でその年齢で…ちなみに何がはしたないだ!お前にだけは言われたくないわ!

注)繰り返しますが筆者は年なので、今の中学生の常識は知りません。これは1980年代のとある地域の常識を元にお送りしています。「そんなこと知らない中学生はいないわ!」とか言われても困ります。


実乃里「実はクラスでお隣のクソびっち女子グループが大声で話していた言葉で分からないことがいくつかありまして」

本当にお隣のグループか?そのグループの中心に…お前はいるんじゃないのか!?

「はじめに言っておく。それは現時点では知らなくとも全く問題の無い言葉だ」

実乃里「恐らくは男女の間のいわゆるキスに似た何かではないかと」

俺のやんわりとした拒絶の意志はあっさりと無視された。

「うん…そう言われれば、広義にはそうかもね」

あれをキスの一種って言ったら…語弊ありすぎだろうか…一応、お口でやるのだが。

実乃里「…で?具体的には?ここでご実演いただいてもよろしいのですが。なんでしたら私が相方として」

「俺をそんなに社会的に殺したいのか?そういうものの説明責任はお前のはじめての恋人に任せる。家庭教師に聞くな!」

実乃里「でも先生さえそれほど驚かれる言葉…知りたいじゃないですか」

「俺はお前がそれを聞いてくること自体に驚いたんだけどな!」


…良いのか?これを中学生に語って良いのか?

三月、お前は妹の五月に聞かれても答えるのか?…まあ答えるな、手取り足取り…(変態)


俺はフェ◯◯オを彼女に説明した。

改めて説明すると、とても恥ずかしかった。

聞いている彼女の顔もみるみる真っ赤になって、口を一文字に結んで聞いていた。

実乃里「本当にそんなこと…する人いるのですか?」

「…いや、俺も普通にやられたことがあるんだけど」

実乃里「でも…それはおかしいですわ。だって、私、知ってるんですもの」

「な…なにを?」

実乃里「男性は、気持ちよくなったら、その、あそこから、おしっことは違う液体を出すんです。精液、と言います」

「そ、そうだよ」

実乃里「だから男性は、精液を出してしまいますわ」

「そ、そうだよ。女性の口に精液を出すんだ」

実乃里「…口に?…じゃあ、女性は…出された精液を、どうするのですか?」

「そ、それは…飲み込む人もいれば、吐き出す人もいて…」

実乃里「の、飲み…う、嘘つき!」

「へっ?」

実乃里「私が何も知らないからって、からかってらっしゃるのね?人間がそんなもの、飲めるわけないじゃないですか!じゃあ、あなたは、おしっこが飲めるんですか?そんな人間がいるわけないじゃないですか!」

「………」

多分、キミのおしっこなら飲めるってやつ…多いと思うよ…とは、言えないよなあ…

実乃里「…すみません…取り乱してしまいました…」

「うん、これに懲りたらその手の質問は無しに…」

実乃里「先生を信じますわ!」

「あっ…そう…」

別に信じないで軽蔑してくれればそれで…

実乃里「ですのでもう一つ質問が」

「!却下だ!」

実乃里「ボ◯チオってなんですの?」

「………」

俺にはその言葉を実乃里ちゃんに理解させられる自信は無かった。

「…あ~それは料理名だよ。ロシアの」

実乃里「…それはボルシチですわね」

「(てめえ、ほんとは分かって言ってんじゃないのか!?)」

つぶらな?瞳で人の顔を覗き込んでくる実乃里ちゃん。

やっぱり俺にはこいつが分からん!

…やっぱ、こんな家庭教師…やめようかな… 

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