第4話 幕間【出会い】試練?の家庭教師選抜試験
―(3月某日 幡ヶ谷のマンションにて)―
五月「お兄~、お母さんから電話~」
「悪りい~、炊事で手が離せないからスピーカーにしてくれるか~?」
五月「分かった~」
幡ヶ谷のセカンドルームに妹の気だるげな声が響く。
俺、桂木三月(かつらぎ みつき)、この四月から大学三回生。妹は五月(さつき)、中学二年生。
俺たちは各々都内の学校に通う為に、週末以外は、ここ幡ヶ谷のマンションをセカンドハウスとしている。
―
母「三月~?何かすごく可愛いお嬢さんから家庭教師のお誘いが来てたわよ?」
それは、地元への地道なビラ配りへの反応。
「ほう…」
五月「ほう…」
「…なんで、可愛いって分かる?」
母「うちに直接来たからよ」
「だが、可愛いったって五月と比べたら」
母「…あんたも大概シスコンね」
五月「お兄…(ぽっ)」
母「五月に勝るとも劣らなかったわ」
「ほ~う?…見せてもらおうか、五月に匹敵するという、そいつの可愛さとやらを!」
五月「お兄、お願い!写真撮って来て~」
…それはさすがに犯罪じゃないかな?妹よ…
―
―
―
実乃里「それほど安易に私の家庭教師が出来ると思ったら大間違いですわよ!」
「そうですか~分かりました。さような…」
実乃里「待って待って!」
でっかい家…それに全く見劣りしない一見年齢不詳の中学三年生が、自分に数学を教えてくれと言う。
確かに可愛い…というか美人…ぶっちゃけ特Aクラス。一見はまさに深窓のお嬢様。
…でも、性格悪い女に教える義理無い!
と帰ろうとしたのだけど、今度は抱きつかんばかりに俺を押し留めてきた。
実乃里「な…なんでそんなに簡単に帰ろうとされるの!?」
「性格の悪い生徒は間に合っている」
実乃里「わ…わたくし可愛いですよね?」
まあ、確かに超可愛い…大概の男子大学生は喜んで家庭教師を仰せつかろうとするだろう…だがしかし!
「まあな、だがうちの妹はもっと可愛い!!」
実乃里「…写真を拝見しても?」
「お前の写真と引き換えなら良い」
これで妹からのミッション「写真」ゲットだぜ!
なんか目の前の美少女は、五月の写真(俺の秘蔵品)を凝視しながら「なるほど」とか呟いている。
超面倒臭くなったので帰り支度を始めたら、なんか後ろで、奥さんが「ごめん、帰らないで!」とばかりに両手を擦り合わせている。
しっかし奥さんも超美人…顔面偏差値の高い家だ。
実乃里「こちらの判断の為の要望は一つだけですの。こ…このアンケートに答えてくださるだけで良いのです」
「ぶ~~~っ!」
内容!!っつ!
実乃里「………」
「これを書けと」
実乃里「(コクコク)」
「…お母さんに見せるなよ」
実乃里「こ…これはっ!合格!合格ですわ!!」
アンケートには、
①はじめて女性と付き合ったのはいつ?
②ファーストキスはいつ?
③初体験はいつ?
と書かれていた。
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