第33話 子爵様のある猟奇的な趣味?



「わたしの右足を切ってください」


その言葉を聞いたとき、一瞬 自分の耳を疑った


シム・グーン彼女が王国騎士でなくなる時は死んだ時だろうと誰もが思ってた


もちろん私も そう思ってた


いったい何が、彼女の心を変えたんだろう?


「マリンちょっと手伝ってね これからシムの右足を切断するよ」


子爵様の呼びかけで現実に戻る


「あ はい」


子爵様がシムの心をかえたんだろうか?


「じゃあ 急いだほうがいいし 二人ともついてきてくれ」


子爵様が私とシムを手招きする


子爵様の後をついていくと庭の端に小さな小屋がるのが見える


どうやらそこに向かってるようだ


子爵様が小屋のカギを開け 私とシムを中に入るように指さす







げ なんだこれは


部屋の真ん中には人が二人位寝れる台がありその台には何だろ?腕輪? 

なんか縛るらしい物が付いている


それより異様なのが棚に飾られたビン


うわ眼とかよくわからない臓器?とかなんか 


いろいろビンに入れて飾ってあるんだけど なんなんだこれ?


そして部屋の端に無造作においてある ノコギリみたいなもの? 用途不明の形をした刃物


ほんとに なんだこれは? 私はなにか うすら寒いものを感じてシムの方を見た


シムもどうやら私と同じみたいだ 脅えたような目で 私を見てくる


「カチ」 その時後ろで なにかの音が 


後ろを振り返ると子爵様がカギを閉めてる ふるえる口で聞いてしまう


「なんでカギしめたんですか?」


子爵様は近くに置いてある刃物を握りながら答える


「なんでって お前たちを逃がさないために きまってるだろう」


「きゃああーーーーー」


シムと二人あわてて 真ん中の台の後ろに隠れる


「あっははっははは 今日はなんて いい日だ メス豚を2匹も切り刻めるなんて」


くるってる 本当の狂人だ


ちきしょうこんな死に方はいやだ どうしたらいいんだ


シムは本調子じゃないし素手、 私じゃ あの狂人に勝てそうにない


目が涙でにじむ 歯がカチカチする 死にたくない








俺は今猛烈に 後悔してる


ほんとどうしよう 


ちょっと驚かせて もう子爵様のバカって すねられる程度だと思ってたのに


いま 二人はガチで死の恐怖を感じてる


演技が迫真すぎたか どうしよう?


いや あやまるしかないよな ここわ 土下座しかないな


俺はその場で地面に頭をこすりつけ 大声をだす


「どうも すいませんでした」







え 何が? どうなったんだ?


もうこれまでかと思ったとき突然モディが頭を地面につけて あやまりだした?


「二人ともごめん 今のは冗談なんだ 俺なりに二人を楽しませようとしてたんだ」


なんだと いまの何が楽しいんだ ふざけるな そう怒鳴ろうと思った時に


「ふざけんな このやろー ぶっころしてやる」


逆上したマリンが泣きながら モディに突っ込んでいく 


さすがに不味い 慌ててマリンを止めにいく


が必要ないみたいだ モディが何したかわからないがマリンがその場で倒れる


私は立ち上がりモディを睨む


モディは決まり悪そうな表情で


「さあ右足を切断するぞ その台に横になるんだ」


無言でモディを睨みつずける


「いや 後でちゃんと謝るからね? いまは そんな時じゃないよね?」


私は溜息を一つ


「もう わかりましたよ でもほんとに怖かったんですからね わかってますか?」


モディは困ったような顔をして


「まあ それは君たちから死の恐怖がでてるのは見えてたから 


俺もやりすぎたかなあとーー」


「もう マリンはどうするんですか?」


モディは困り顔のまま 


「どうしよう このまま眠らせておこうかな?」


あんなに逆上したマリンを見たのは私も初めてだ、確かに恐ろしかったが


たぶんマリンが逆上したおかげで私は冷静になれたのかもしれないな





よし 気持ちを入れ替えよう 自慢じゃないが俺は自分の感情操作には自信がある


なぜなら自分の感情で魔法の練習をしてたからだ


そう文字どうり一瞬で気持ちを変えられる


「シム下着だけになって台の上に寝てくれるかな 始めよう」


俺のいきなりの変化についてこれないみたいだが 進めちゃおう


「シム早く台の上に寝なさい」すこし強めに言う


まだ疑ってるのか? それとも下着にだけになることに抵抗があるのか のろのろ動き出す


台の上に寝転んだシムを固定する縄で縛る 


シムはすこし脅えたような目を俺に向けてるが何も言わない


「これから君を眠らせる起きた時には全部 終わってる」


シムは俺の言葉に頷き目を閉じる











シムの右足を切断した 作業時間は約1時間って所か


いや 無駄な時間をすごした 前々から感じてたんだが 


どうもユーモアのセンスが微妙に、前の世界と違う


これからはよけいな冗談はあんまり いわないようにしとくか


「ふう どうしよう シムの血を止めるのにマリンを起こさないとな」


さっきは あわてて眠らせちゃったけど えらい逆上してたな


ちょっとくらいなら殴られても しょうがないんだけど 殺されそうな勢いできたしな


「先延ばししても意味がない とっと起こそう」


マリンの頭に手を置き すこし待つ


マリンの目が開き すごい俺を睨んでる(笑)


「おはようマリン 気分はどうかな?」


マリンがどすの効いた声で一言


「最悪」


「そうか じゃあなにも問題ないみたいだしシムの足みてくれるかな?」


「ペッ」 床に唾を吐きシムの治療を始める 


よし なにも問題ないな(笑)


ふう これでシムの命は助かるかどうかは まだわからないが 


出来ることはやったはずだ


いや出来ることがまだあったな



あとで二人に死ぬほど謝らないといけないな(笑)

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