第32話 シム・グーンの決断2



あれ ここはどこだ? なんかゆれてるが?


「目が覚めたか? もうすぐ家に着くぞ」


子爵様? ああ そうだ もう村に戻ってきたのか どれくらいねてたんだろ?


「子爵様 私はどれくらい寝ていたのですか?」


子爵様が答えてくれる


「一日ちょっとかな」


ずいぶん寝てたな そのせいかな頭が重い


「子爵様にお礼を言いなさいよシム 子爵様が付きっきりで


あんたの苦痛を取っていてくれたんだから」


そうか1日 眠りつずけたのは そのせいか


「ありがとうございます 子爵様」


「べつに かまわないよ」


「それより家に着いたら俺のベットに連れて行ってくれ マヌカ」


私の簡易ベットを持ってるマヌカに声をかける


「え 子爵様のベットなんて 使えません」


子爵様が答えてくれる


「べつに遠慮しなくてもいいぞ 普段から使ってないからな」


マリンが疑問におもったのか何気なく聞く


「えそうなんですか じゃあ子爵様は 普段 どこでお休みになってるんですか?」


「マーサと寝てる」


え ここにいる全員が どうしていいか わからなくなる


「なんだ お前ら俺をいくつだと思ってるんだ? 


まだ10歳なんだぞ 母親に甘えてるのは 当たり前だろう?」


ここにいる全員が思ってるはずだ 絶対に嘘だと だがお言葉に甘えとくことにしよう


どうせ子爵様には逆らえない(笑)


「わかりました じゃあ 遠慮なく使わせてもらいますね」




ここが子爵様のお部屋か 随分質素だな ハッキリいうとベットしかない


ベットに寝かされると マリンが口を開く


「子爵様 シムを見てもらっていいですか 私はハウシリドも見ないといけないんで」


「あぁ かまわないよ 彼もかなりの重症だし こっちは俺が着いてよう」


そうかハウシリドもかなりの重症なのに二日以上 


応急処置だけだったんだ だいじょうぶかな?


「マリン ハウシリドは大丈夫なのか?」


マリンが答える


「あぁ 大丈夫みたいよ 教会ですこし治療うけてたってさっき聞いたから」


なら 大丈夫そうだな よかった


マリンが出ていって 子爵様と二人きりになる 


子爵様はベットの横で椅子に腰かけ 私を見つめてくる


「さて グーン卿 二人きりになったし 少し話たいことがあるんだが 大丈夫かな?」


はなし? なんだろう?


「はい なんでしょか」


子爵様が笑顔で口を開く


「あぁそうだ はなしの前に だいぶ親しくなってきたことだし 


そろそろ子爵様は止めないかい?」


「そんなに親しくなってましたっけ?(笑)」


子爵様が苦笑してる


「ひどいな 友達いやすくなくとも一緒に戦った戦友くらいに思ってくれても 


いいんじゃないかい?」


「 ふふ じゃあ 友達ってことにしときましょうか?(笑)」


子爵様が私の手をにぎり


「よし じゃあ友達ということで これからは俺のことはモディでいいよ」


「じゃあ 私のことはシムで(笑)」


モディはしばらく 笑顔で私をみていたが


「じゃあ 話をさせてもらうかな これからの事を話したい」


モディの笑顔は変わらないでも眼は笑っていないようだ


「あの場では直ぐに右足を切らなければ死ぬみたいにいったが」「俺は専門家じゃないし」


「なにせ体の中の話なんでそんな正確な時間はわからない 


まあ 早い方がいいんだろうけどね」


「もしか したらまだ間に合うかもしれない


 で 確認だシムの決意はかわらないかな?」


その話か 何回も聞かないでほしいな  私はモディに頷く


「そうか じゃあ話の本題だ シム君は死ぬ それは間違いない」


あぁ 聞きたくないな


「君は何日かたつと高熱を出すようになるだろう 


そしてそのまま 治らずに最後を迎える事に」


「俺はなるべく君の苦しみを取りのぞくが 限界がある」


モディは真剣な顔になり 私の目をみる


「もしだ 君がこれ以上苦しみたくないと思ったら 


このまま眠りつずけたいと思ったら」


「俺に教えてほしい 君に苦しみのない眠りをしてもらう」


なるほど 苦しみの無い眠りか


「ありがとうございます もしその時がきたら おねがいしますね」







やはり彼女の決意はかわらないようだ


俺はこれからの事を考え始めた 末期治療ってやつだな


一番簡単なのは今すぐ脳内分泌で廃人にしてしまうなんだが 


これは末期治療じゃなくて安楽死とかのほうだよな


いずれはそうなるかも しれないが


なにすれば いいんだろうな 確か死の恐怖と向かい合い ストレスをのぞく 


そんなフワッとしたイメージしかないな


俺は永六輔さんが末期患者の慰問の話をラジオで話していたのを思い出した


たしか末期患者に必要なのは 笑う事よりも泣くことみたいなこと 言ってたなよな


悲しい話に涙をながすことでストレスを解消されるとか


永六輔さんが言ってることだし 間違いないだろう


よし 方針はきまったぞ


何か悲しい話をひきだそう 都合がいいことに 


俺は感情がわかる悲しみの感情が見えたら


彼女にきずかれないように その感情を増幅していけばいい


「シムちょといいかい?」


シムが答える


「え なんですか?」


「話したくないなら 話さないでもいいんだが 

なんで王国騎士であることにこだわるんだい?」


まずは とっかかりを 探さないとな


「たしかに話したくはないんですけど 最後にですし まあモディにならいいですよ」


「ふふふ」


どうしたんだ?きゅうに お思いだしわらいか?


「どうしたんだい? なにか思い出したのかな?」


「えぇ この話するのモディで二人目なんですけど 


一人目のお嬢さんの事 思いだいちゃいまして」


なんか楽しそうだし そのお嬢さんの話で幸せの感情を増幅するでもいいかな もう


「可愛らしい方なのかい?」


「えぇ とても可愛らしい方ですよ 私の事 いつも先生 先生って追いかけてきて」


幸せそうだし ほんとにこの感情でいこうかな


「で 私が騎士にこだわる理由ですけど」


あら いきなり終わったな 話もどすのも不自然だし様子見るか


「私の婚約者の遺言だからです」


「遺言? どんな遺言なんだい?」


「お前は戦いつずけろ ですよ」


なんだそれは その婚約者が言った状況がわからないが推理すると


「すまないが それは こうゆうことかな? 


婚約者と一緒に戦ってて目の前で婚約者が倒れる」


「死にそうな婚約者がシムに自分にかまうな 


目の前の敵と戦いつずけろって言った てことかい?」


シムは苦笑しながら答える


「ええ そうゆう事だとおもいます」


いや それは遺言じゃないだろう


「それは遺言じゃないんじゃないか そう思ってますね?」


「うん まあ その場を見てないから理解できないのかもしれないけど 


遺言じゃないように思えるね」


シムの苦笑はかわらず


「ええ 遺言じゃないと私も思います 


でもその言葉を守りたいんです私が彼を愛してた証拠として」


どうゆうことだ?


「なぜその言葉を守ることが彼を愛してた事になるんだい?」


「ふーーーー」 深い溜息をつくシム


「実は彼の死に私は立ち会っていません 、その時私も死にかけてました」


「私は1週間近く死線を さ迷いましたけど助かりました」


「助かった3日後、彼の死の知らせを受けました」


「けど そのとき私は彼の死を悲しむまえに こう思ってしまったんです」


「人間ってアッサリしんじゃうんだなって」


「なんであの時そんなことを思たのか、私は彼を愛してたのか?」


「いえ愛してたはずそう 思いたいから 


彼の最後の言葉を遺言にして守ってるのかもしれません」


なるほどな


「シム君は彼を愛してたろう」


「なぜ そう思うんですか?」


シムが真剣な眼で俺をみつめる


「人の気持ちはいい加減なものだ、その場、その時、見えるもの、体調で変わってくる」


「同じものを見ても今日は美しいと感じても、違う日にみれば それほど美しく感じない」


「君は彼を愛してたよ でも 愛してない時も あったんだろう」


驚いた顔してるな


「そんな 彼を愛してたきもちが 日によって変わるなんて あるはずがありません」


「シム一つ確認したい 今の君の気持だ 彼を愛してたかい?」


悩んでるな


「すいません わかりません」


「いや 分かっているはずだよ だからこそ悩んでる」


「昨日は愛してたと思っている 今日は愛してなかったかもしれないと思ってる」


「君の気持は つねに 愛してた 愛していなかったの


どちらかに変化するだからこそ悩んでるんだよ」


悩んでるな(笑)


「もういちど言うよ 君は彼を愛してたよ間違いない 


でも愛してない時もあった ひとの気持ちはそういう物だよ」


「すいません よくわかりません すこし考えさせてください」


しまったな 末期治療失敗だな なにしてるんだ 笑いも悲しみも引き出せないぞ はあ


もうしょうがない 今日はあきらめて 明日だな


「うん もう寝るといいよ たくさん話したし疲れたろう」









外が明るくなってきたみたいだ いつの間に眠ってしまったのだろう


隣をみると モディではなくマリンが椅子にもたれかかって寝ていた


昨日のモディの話 駄目だいくら考えても答えがでない でも


「マリンおきて マリン起きてちょうだい」


マリンが起きたようだ 目をこすりながら口を開く


「おはよシム よく眠れたようね(笑)」


「ええ ぐっすり眠れたわ ちょっとお願いがあるんだけど」


「うん なに?」


「あの モディを呼んできてくれない」


マリンが驚いた表情をうかべる


「モディ? あんたいつから子爵様を呼び捨てにできるようになったの?」


「昨日からよモディが 一緒に戦った戦友だからって」


「へええ じゃあ 私もいいのかな?」


「モディにきいてみれば? そんなことより早く呼んできてよ」


「はいはい いま呼んでくるから そんなに急がないでよ」










朝飯を食ってたらマリンが来た、なんでもシムが直ぐにと呼んでるらしい


まさかもう 楽になりたいとか? 昨日はうまくいかなかったけど


彼女には未練なくとゆうか スッキリした気持ちでいって欲しかったんだけど


人の気持ちはほんとに 難しい 闇魔法も ほんと たいしたことないな(笑)


「いま 行くよ」


マリンが俺の返事を聞いてシムの元に戻っていく


「シム 俺を呼んでるらしいが どうしたのかな?」


シムが照れてるような表情を浮かべてる どうした?


「あの 昨日の今日で軽蔑しないで欲しいんですけど」


「わたしの右足を切ってください」


え どうゆうことだ? この心境の変化は?


いや それは後でもいい いま やるべきことは


「マリンちょっと手伝ってね これからシムの右足を切断するよ」

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