第28話 戦闘開始2



その夜 俺は住民の避難した家で 奴を待っていた


ここに来てくれれば 手間がはぶけるんだが むこうにも都合があるだろうしな


やるこもないし 奴と遭遇したときの手順を何度も頭の中で確認する


もしかしたら死ぬかもしれない


始めて死の恐怖というやつを いま感じている


だが心は恐怖に支配されても頭は支配されるな


頭まで恐怖に支配されたら俺は死ぬだろう


ロッキも言ってた 恐怖が自分をシャープに鍛えるって


カッコいいセリフだな生き残ったら 誰かに言ってみよう


外がなんとなく明るくなってきたな 今日ははずれか?


そう思ったとき 「お館様 奴です」


見張りの一人が知らせに来た


「どこにきた?」


「はいここから西に1キロの農家に」


1キロも走るのか いや急がないとな たぶん奴は10分も いないはずだ


「いくぞ 案内してくれ」


頷き走り出す その後についていく


間に合ったみたいだな 奴は人がいないことに 頭にきたのか その辺の民家を破壊中だ


始めて実物をみるが もう帰ってもいいかな?


いちおう ここの見張りと案内してくれた者たちに 俺がやられたときの指示をしとくか


「俺が死んだらマーサに愛してるって伝えといてくれ」


いや冗談なんだが ポーカンとして誰も笑ってくれないな


「うほん、俺が死んだら グーン卿に知らせて それからは彼女の指示にしたがえ」


さていくか


奴の後ろから近ずいていく 50Mほどで奴も俺にきずいたようだ


奴が俺を見ている まだ遠いな


奴がこちらに向かってくる 恐怖を感じさせたいのか じらすようにゆっくりだ


20Mまで奴が近ずいてきた あぁようやくだ 奴と目があう


お前の憎悪を捕まえたぞ 次の瞬間 俺は奴に背中を向け逃げだす


「グゥガァああああ」 すさまじい咆哮をあげ 追いかけてくる


すさまじい速さだ これではあっとゆうまに 追いつかれて しまわない


なぜなら いま 奴が追いかけてるのは 奴の脳と目が作り上げた幻だからだ


一生追いつけるわけがない さあ 急げよお前の対戦相手が お待ちだ


「ふうーーー」 俺の役目は終わった


この後は 安全な場所に避難だったな 


よし安全な場所に移動するか 俺の足は 材木置き場に向かっていた






あれから私たちと村人でこの材木置き場に 戦いの為の準備をした


準備中も終わったあとも ほんとに自分の判断は間違ってなかったか つねに頭の中に


いやもう考えるな もう始まってしまった 子爵様を信じよう


誰も一言も話さず その時を待つ


空が明るくなってきたな 今日はこないのか?


そんな安心とも 焦りとも つかない雰囲気がこの場を支配する


その時 「バキッーーーー」 きたな


「戦闘開始だ」


私の一人ごとを 聞きみんな 動き出す 布陣と戦法は前と基本かわらない


まずは奴を円の中心に追い込まなくては


あと子爵様の言ってた事も 気にしとかないとな


なんでも精神支配から逃れるのは意外と簡単らしい まず 精神を操られてると認識する


精神支配から逃れることを考える ほとんど それで解除できるらしい


だが奴は憎悪の感情に操られていることには きずけない


だから逃げることは まずない そのかわり 攻撃が増すかもしれないって言ってたな


後は 奴が憎悪の支配から解放されるとしたら 死の恐怖 


その感情が憎悪を 上回れば とけるかもしれないとも


来た 


奴も私たちにきずいたな やはり憎悪に支配されてるようだ 


威嚇も用心もせずに突っ込んでくる


さあ こい ここがお前の死に場所だ


威勢よくきたが 前と同じように落とし穴に掛かり バランスをくずす


そのすきに 全員が布陣を敷く


「ヒュー」間髪いれずに ジュークの矢が 連動して前衛が攻撃を仕掛ける


「バシ バシ バシ」 全員の攻撃が弾かれる まあ 予定どうりだ


奴が土を食い始めた くるな だが今回は前とはちがうぞ


「ぐぎゃっあおお」 咆哮と共に散弾が発射されるだが 散弾の前に水の盾が


どうだ土を食うことが分かってるんだ 土に細工させてもらったぞ


お前がいま立ってる場所の土は全部 かなりの水を混ぜている


お前が散弾をだす瞬間こっちの水属性使いが 土に入ってる水で盾を作る


ただ想像してたのとは ちがうな 散弾を盾で受けると思ってたが


散弾も盾もどちらも中途半端に発動してるのか 相殺してるのか?


まあ いいどちらにしてもこれで散弾は封じこめた


さあ どうした もう手札はないのか?  

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