第18話 ダイテ要塞よりの救援



「コンコン」


軽く扉をノックし 中に声がよく聞こえるように大きめの声をだす


「シム、グーン入ります」


「おう はいれ」


部屋の中から必要ないほどの 大声が返ってくる


ドアの部屋を開けて しばし呆然とする この狭い部屋に何人いるんだ?


「どうしたシム? ぼ~と立ってないで中に入れ」


「いや どこに入るか考え中でした」


隊長と私を入れて全員で11人か


「なんだ手前は 話するだけなのに場所がきになるのか?」


「いえ きになりませんが 話をするだけなら会議室でも よろしいのでは?」


「うるせえ 急いでるんだ とっとと入れ」


相変わらずだなこの人は(笑)


中に入り壁に寄り掛かる、それを見て隊長が口を開く


「シムが来たんで説明を始めるぞ このダイテ要塞の北西にニア村って 


ちんけな村があるんだが知ってるか?」


ニア村 いちよう名前だけは知ってるが それだけだな 周りの奴らもそんな感じだな


「まあ知らなくてもいい これから行くんだ嫌でも覚えるだろう」


行く? 演習か? それとも?


「今朝がたのことだニア村の領主からの使者が要塞の司令官に手紙を持ってきた」


「手紙にこう書いてあった 村にシドベアー来襲の可能性あり 早急な救援を求む」


え それだけか? 同じ疑問を持ったのだろう 若い騎士が質問をする


「隊長 それだけですか? ほかには?」


「それだけだ なんだこれ以上の情報が必要か?」


いや必要だろう 私も疑問を口にする


「シドベアーの数は? 可能性有りとは どれほどの?」


「数は1匹 使者の話だと もう一人 食われたそうだ」


なるほど早急な救援が必要だな


「ではすぐに 救援に向かわなければなりませんね」


「おう でだ ここに集まった騎士10名 一般兵50名を救援に出すことにきまった」


それくらいは必要だろうな だが


「出発はいつですか?」


「3日後になる」


じれた若い騎士が隊長に意見する


「3日はちょっとかかり過ぎです わたしなら1時間後には出れますが?」


「ばかやろう60人分の 食料と寝床をどうするんだ 


それとも てめえは 食事も睡眠も要らないのか?」


「それともなにか 味方の領内で略奪でもやるきか?」


「あぁ はっきり言っとくぞ ニア村では対価を払わずに


物や女を手に入れるのは 俺が許さねえ」


「もし騎士団の栄誉に泥を塗るような奴がいれば 


シドベアーの前に俺が殺してやるからな覚えとけ」


「は」 短く全員が返事をする


「略奪しろとは言いませんがニア村で ある程度の補給は出来るのはないですか?


そう味方の領内なのですから」


隊長もそれは 考えたろうがな


「できるかもしれねえ だが60人分の食料をいきなり出せるほどの


余裕のある村じゃないかもしれねえ」


隊長も悩んでいるようだな


「やっぱり駄目だ てめえの飯の準備も出来ないくせに 戦だ? 100年はやいぜ」


もっともな意見だな だができるだけ急いだほうが よさそうなのも事実だな


「隊長こうしてはどうでしょう われら10人だけ 当座の物資を持って先行する」


「50名の兵は後から物資を揃えてから来てもらうのは?」


「悪くねえアイデアだが」


1分ほど考え決断したようだ


「よし その意見を採用する ニア村の使者と一緒に行ってもらう 


使者は荷馬車で来てるから その荷馬車に詰め込めるだけ詰め込めろ」


「おい てめえ1時間で出れるっていったな 1時間で出れるように馬車につみこんどけ」


「は」 若い騎士は短く返事をして 動き出す 


「よし ほかの奴らも準備に戻れ 1時間はまあ 


無理だろうから3時間後だ 裏門に集合しろ」


「は」 全員が短く答え 動き出す


「シムてめえは残れ」


みんなが居なくなり 隊長と二人きりに


「なんですか隊長?」


「おい ここには二人しかいねえ リムで構わないぜ(笑)」


「尊敬する隊長殿にリムはいけません」


「おいかてえ事 言うなよ 同期の飯を食ったなかだろ」


「第一平民出の俺がここまで出世できたのは お前やヘルト公爵様の おかげだしな(笑)」


「ヘルト公爵様ね どうしたんだ まともな言葉使いをして?(笑)」


「けっ 分かったよ お前やジムのおかげだ」


「はは それでこそ リム・タッカ隊長だよ(笑)」


「隊長ね お前は隊長にならないのか?」


「私には隊長は無理だ部下に死ねと命令できないからな」


「そんなの俺にだってできねえよ」


「いやお前は 良くやってるよ いざとゆう時に 


死ぬ奴と生き残る奴を選択できてる」


「けっ いやなこと いいやがるぜ」


「すまない 今はそんな話してる時じゃあ なかったな」


「あぁシムいやだろうが 遠征部隊の指揮は てめえに取ってもらう」


まあ あの面子ならそうなるだろうとは思っていた リムに軽くうなずく


「ふう 何人か死ぬかな?」


不機嫌そうな顔で 聞いてくる


「なんだ 一人とも死なせるのは許さないとでも 言われると思っていたぞ」


「けっ シドベアー相手に犠牲なしで 何とかなると思ってるほど 


俺の頭はめでたくないぞ」


「まあ こんなこと言えるのは お前だけだがな」


「お互い暗い顔だ部下には見せらんな」


「あぁ そうだな おい ちょと教会に付き合え 


お前たちの無事と もし武運が足りなかった時の安らぎを神に祈りにいく」


「いや 準備があるんで 神への祈りは私の分もしといてくれ」


「おう あいかわらず 不信人だな」


苦笑してうなずいとくか


「神はいいぞ なにせ金さえ出せばどんな悪行をしようが 許してくれるからな」


こいつの この謎の宗教観がいまいち理解できん


「もう いくぞ」


「あぁ あとでな」

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