第15話 ヌーベル子爵領の危機



ヌーベル子爵領は全体が3つの地域に分かれている


ガリア戦記のパクリみたいな 出だしだが 実際にそうなのでしょうがない


村人が住む所 畑や牧畜してる所 そして今向かっている


このニア村の主要産業である林業を支える管理区


管理区そう この村では材木の生産を管理している


人工林を計画的に育て、年間の生産量の調整をしているのだ


正直な話 材木の生産管理をしていることに かなり驚かされた


林業が主な産業だと聞いて 周りが山なので さもありなんと思ったのだが


古代の都市よろしく水場や環境の破壊をするような乱獲は一切おこなっていない


だがなぜそうなったのか村人の話や家に残ってる記録読むことで納得できた


ようは乱獲したくてても出来ないのだ


山には危険な魔獣がいる 昔は管理区も魔獣の縄張りだったみたいだが いまは居ない


先人の努力には頭が下がる、管理部は山と言うより丘陵と言ったほうがいいだろう

 

その丘陵から魔獣を追い出し、山は魔獣の縄張り、丘陵は人の縄張りとして住み分けをする


言葉で言うのは簡単だ10年単位の時間と地道な努力の成果だろう


具体的には でかい音を鳴らしながら 大人数で動き回る 


そのさい人の匂いを こすりつける


魔獣の餌になりそうな小動物を 徹底的に狩りつくす


食うものが無く住みにくい場所から魔獣は居なくなり、丘陵は人の縄張りになった



ようやくその目的地の丘陵が見えてきた


「トマス 森に変わりはないかい?」


一緒に視察に付いてきてる トマスに声をかける


「ええ 変わりなく良い木が育っています お館様」


「そうか問題ないか」


「トマス 郷士になって だいたい半年位になるが どうだなれたか?」 


「ぼちぼちです お館様」 


このトマスは引退したワスの代わりに 郷士になってもらった


ワスは引き際も心得た男だったようだ 俺の中でワスの評価がもう一段あがったが


ワスには孫とでも楽しく余生をおくって欲しい


「あの辺りの木はあとどれ位で収穫できるのかな?」


「はい あと2年後になりますね」


計画通りと言うやつか すばらしいな


そのまま 二人で見て回ったが 気に掛かる所もないな


まあ 今日はもう帰るかな


「トマス いろいろと勉強させてもらった これからも頼むぞ」


「はい わたしでお役に立てることがありますなら」





「ドン ドン ドン」


帰宅し、いつもと同じようにマーサと夕食を取っていたら乱暴にドアをたたく音が


マーサが不安そうな顔を見せる


「待っていなさい 俺がでる」


不安そうなマーサに微笑み玄関にむかう、ドアを叩く速度から緊急事態だと思われるが


だれか知らんが、どうでもいいことだったら ただじゃおかんぞ


いちよう剣を左手に持ち外に声をかける


「誰だ? 何事かあったのか?」


ドアを叩く音がとまる そして慌ててた様子のトマスが


「トマスです大変です お館様大変なことが」


すごい早口だな、 いそいでドアをあける、 


そこには青ざめたトマスともう一人 だれだこいつは?


「お館様大変なことが」


「それは もう聞いた とりあえず中に入って落ち着け」


二人をなかに手招きし 奥にいるマーサに声をかける


「マーサお客だ 二人分の飲み物を用意してもらえるかい」


「はい すぐに用意しますね」


二人をそのまま客間に案内する


「二人とも 掛けてくれ」


顔はまだ青ざめているが 少し落ち着きを取り戻したようだ


大きく息を1回はきトマスが口を開く


「大変なことが起きました」「シドベアーがでました」


シドベアー? 見たことはないが話だと5m近い巨体、鋭い牙と爪をもつ魔獣らしいが


「シドベアー? 何処にでたんだ?」


「はい それは マヌカから説明を」


マヌカそれが彼の名前か、 見た覚えはないが村人なんだろうな


「はい 息子と二人で山に狩に」


うん? 山に入ったのか 危険だから村人もほとんど入らないって聞いてたが


俺の不審な表情にきずいたのかトマスが口をはさむ


「彼の一族は 代々 狩人を生業にしています」


なるほど危険な山に入るのが仕事か、俺が納得したのを見てマヌカがつずける


「息子には山の事を教え始める年になったので 山に連れて行きました」


「そこにやつが 俺が少し目を離したせいで 息子はーーーー」


なるほど 話が分かってきたぞ


「息子は?」


「やつに ズタズタにされて」 そこで言葉に詰まる


トマスがマヌカの肩に手をおき先をうながす


「すみません つい こんなはずじゃなかった 


あそこは奴の縄張りじゃない あそこに居るはずがなかったんだ」


「だが いたんだな?」


「はい なぜかは分かりませんが」


「息子の名前は?」


そこに心配そうな顔したマーサが持ってきたお茶を三人の前にくばってくれた


「マーサも 話を聞いていきなさい」 だまってうなずくマーサ


「すまない 話が途切れてしまったな 息子の名前は?」


「はい パータです」


「そうか残念なことになってしまったが パータの一部でも弔ってやらないとな」


「いえ それには 山でへまをやった奴は 


獣の胃袋に入るか山の土になる それが一族の決まり事みたいなものなので」


黙っていたトマスが口を開く


「お館様 大変なことになりました どういたしましょう?」


話がわからなくなってきたな パータの体を回収しないで 


いいなら不幸な事故で 終わりじゃないのか?


「二人ともすまない 俺の認識に間違いがあるのか 何が問題なのか教えてくられないか?」


二人とも顔を見合わせ はっと したようだ 説明するようにとトマスがマヌカに目配せする


「すみません 問題なのは 襲われたのがシドベアーだと言うことです」


「シドベアーはいちど人間を食うとその味を覚え 人間を狩るようになるんです」


トマスが補足するように口をだす


「20年前にも同じようなことが起きました その時は13人やられました」


なるほど何が問題なのかようやく分かったぞ


「人間の味を覚えたシドベアーは村まで来るのか?」


二人ともうなずく


「マヌカ シドベアーを討伐するには どれくらい人がいる?」


「村の人間が何人集まっても無理だと思います」


期待してなかったが あっさり言われたな


「トマス 20年前にも同じようなことが有ったと言ってが その時はどうしたんだ?」


「はい お館様 その時分は私も物心つく前だったんであんまり詳しくはないんですけど」


「ダイテ要塞に助けを求め、要塞より遣わされた騎士さまの手で


シドベアーは討たれたと聞いています」


「わかった今回も助けを求めることにしよう 


手紙は直ぐ書くが要塞に着くのはどう考えても1週間はかかるな」


「つくのに1週間 助けがくるのは どんなに早くても2週間か」


重苦しい沈黙が落ちる


「助けがくるまで どうするか? 住民に外に出るなと言うべきかな?」


二人とも困った顔してるな  そうだな決断するのは俺の仕事だ


パニックは怖いが 知らせないわけにはいかないな


「トマス 1時間後に半鐘をならせ 村の代表をあつめるぞ」


「わかりました お館様 お先に失礼します」


二人は先に教会に向かうようだ


教会に集まるように決められてるのは単純に村で


一番でかい建物が教会で代表だけでも30-50人は集まる


屋敷にはとても入りきらないからだ。


「マーサ 手紙を書いた後 俺も教会に向かう」


「わかりました モディ 紙と筆の用意をしますね」


「ありがとう」


「モディ 村はどうなるのかしら?」


マーサが脅えたような表情を浮かべている まあんな話を聞いたらそうなるよな


「どうにもならん 要塞から援軍がきて それで終わりだ」


ほんとうに援軍がくるかも わからんが そう言っておかないとな 


それより時間がない手紙を早くかかなければ


「マーサ時間がない手紙のよういを」


「あはい ごめんなさい 今すぐもってきますね」


今日は長い夜になりそうだ

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