第14話 ある子爵様の事情3



「モディ? どうしました つかれましたか?」


どうやら暖かくなってきたせいか居眠りしてしまったらしい


「いや 暖かくなってきたからかな」「マーサ眠気覚ましにお茶でも くれないか」


「わかりましたモディ すこしまってくださいね」


マーサがお茶を用意してくれてる間に机の上を整理する


「モディお茶がはいりましたよ」


「ありがとうマーサ」「 お茶にすることにしよう」


マーサと向かい合わせに座り二人で お茶をのむ


「あのねモディー 私のことはやっぱり母さんって呼んでくれないかしら?」


「ダメだな」


「なんでダメなのモディ?」


「いや理由はないが ダメなものはダメなんだ」


いや理由はあるが言うのも なんだしな


「もう」 プイ


ふてくされて横を向いてしまった(笑)


マーサと呼んでるのには勿論理由がある


当初はモディを支えることによる生きがいを感じてもらおうと思っていたが


あれから1年もたつと、支えてもらうことが無くなってしまった 


モディは思ったよりできる子だったようだ


読み書き、生活に必要な知恵、そして魔法 


あらゆることが水が砂に染み込むように頭に入っていった


もはやストレスも問題になるほど感じていないようだし


はたから見れば随分とおかしな話だろうが、マーサの事を考えて生活してたせいなのか?


マーサがだんだんと母親ではなく娘のように可愛らしくなってきた


日常生活で演技するのはだいぶ面倒くさい 


そこで彼女の父親のように接することにした(笑)


「マーサ そろそろいい時間だし 夕飯の準備でもしようか」


「もう また誤魔化す、わかりましたよ 手伝いおねがいね」


マーサと一緒に 夕飯の仕込みをする、切りのいいところで 


仕上げを任せて体を洗う用のお湯を沸かしにいく


貧乏貴族なんでお風呂って言えるほどにはお湯を使えない


タライに体を洗える程度のお湯をはり


そのまま体を洗うことする


体を洗いサッパリした後に マーサが使うお湯を用意する


「マーサ切りがいいなら 変わるから体を洗ってきなさい」


「はーい じゃあ あとお願いね」


鍋から皿に二人分の盛り付けをして マーサが出てくるのをまつ


サッパリした感じのマーサが食堂に戻ってくる


「じゃあ いただこうか」


「ええ」


たわいのない夕食での話題とお喋り 俺の幸せは間違いなくここにあるな


夕食も終わり自室に戻ると 日課のストレッチを始める


この日課も前世のころからやってるから かなり長いな



ストレッチをやりつつ この1年のこと これからの事を考える


学ぶこと成すべきことのゴールが見えていて、この1年は実に充実していた


読み書き、領地経営、そして魔法


少し心配していたが、マーサの言うとうり魔法の元とやらがすぐに見えるようになった


だだ 属性に問題がすこしある一番少ない 闇属性 


マーサの祖母が同じ闇属性使いだったので


隔世遺伝ってやつだろう


闇の属性は人の精神を操ったり、できると言われているが


大げさだろう できるのは人の感情に干渉するくらいだ


だがそのおかげでイメージは非常に悪い


領民のほとんどが昔のモディを知ってる


クソガキが人を操る力を身に着けたら 明るい未来があるとはなかなか思えないよな


領民の目に時たま 恐怖が浮かぶときがあるが付き合いが

長くなればそのうちに解消されると期待しとくかな


イメージの問題も重要だが それ以上に対処しなければいけない問題が2つある


1つめは郷士のワスのことだ この国では平民の武装は認められていない


ワスは平民だが父親が郷士に指名して帯刀をゆるされている


問題なのは父親が長らく病に倒れ 


ワスが村のほとんどのことを取り仕切ることになったことだ


その時はそれ以外の選択肢はなかったろうし ワスもよく村をまとめてくれた


ただ一つ 横領がなければだ


俺とワスは衝突することになるだろう 俺が愚かな領主のままなら何も問題なかったろうが


ワスの過去の罪がやつを攻撃的にするだろう


ワスには罪があるが裁こうとは思わない 裁こうとすれば奴は反撃してくることだろう


人望はワスにあるのでサポタージュ、嫌がらせ 最悪だと反乱に


その場合 国軍の介入を要請することになる 軍の介入があれば問題はすぐに終わるだろうが


俺やマーサの身の安全は微妙になってくるし それなりの血が流れるだろう


上の理由もでかいが


ワスは村の功労者であることにはちがいない なるべくなら穏便にすませたい


横領の証拠を突きつけ ワスには過去の罪は不問にする条件で 引退してもらう


こんなところが落としどころだろうな。


2つめの問題だが じつはこっちのほうが深刻だろう


俺の父親の命を奪った病のことだ


どうやらこの地方独特の風土病のようなんだが


症状はまず微熱を伴う手足のしびれから始まり 


症状が進むと手足がやせ細り腹だけがポッコリと膨らむ


腹への激痛がつずき だいたい2-3年で命を落とす


病の原因がまったく解明されていなくしかも病に掛ったら100%死ぬ


村ででる死人の5人に1人はこの病が原因で死ぬ


なんとかしなくてはいけないが どうすればいい?


国に支援をたのむか?


無駄かもしれないが 歎願書を提出はしておくか


嘆願書をだすが それ以外にできることはないか?


医学知識が全くないのが悔やまれるな、こんなことになるなら


家庭の医学でも丸暗記していたんだがな


この何週間かグルグル回るだけで まったく思考が前に進まないな


そう1回落ち着いて 最初から検討してみるか


Q 病の対策は何をするべきか?


A まず病の種類によって対策がちがうので原因を究明するべき


そうだまず原因がわからなけば何もできない


Q 原因究明させるにどうすればいいか


A 病で死んだ人を調べ共通点をさがす


病にかかる人と掛からない人には何か違いがあるはずだ


「ああああーーーーーー」


思い出した なんで わすれてたんだ


まったく同じ症状の病気を俺は知っている


そうだナショナル○○グラフィックチャンネルで見た記憶がある


「日本住血吸虫」


人間の肝臓に寄生する寄生虫だ


だが 同じ症状だから 同じ原因だとだんていできるか?


だが 同じ症状だから 同じ原因の可能性もある?


確認する方法はある 病で死んだ人間を解剖する


だが問題がありすぎるな


まず宗教的な問題 教会に知られたら大問題になるだろうし 


村人たちも解剖してもいいとは言わないだろう


解剖できたとして だれがやる? まあ俺がやるんだろうな(笑)


俺が解剖すると仮定する 正常な内臓と寄生虫のいる内臓の見分けがつくか?


だめだな解剖の話は1回忘れよう


いまできそうな対策は病になった人たちの共通点を探すことくらいだな


くそ国に丸投げして 知らんぷりできればな


あぁ もうこれ以上考えてもしょうがない 夜もふけたし寝ることにしよう。


もやもやするが ベットにはいり目をとじた。

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