第11話 王太子さま あなたはだあれ?



私の名前はリーン・バルガス 10歳


分かれのつらさを噛みしめてる転生者だ


馬車には久しぶりに乗ったんだけど、やっぱり乗り心地がいまいちだ


道が悪いのか、スプリングぽいものが悪いのか 常にガタガタいっている


風景も目を引くものがなく もう飽きてしまった


「リーンもうすぐ城につきますから もうちょっとしんぼうなさい」


「はいお母様、家に泥を塗らないように気を付けます」


「あとご紹介いただいた騎士団長ヘルト公爵さまの顔もよ」


そう先生は約束を守るために直ぐ動いてくれたみたい


でもトントン拍子で話が進んだんだけど話がうますぎない?


「お母様、ヘルト公爵様はなんで見も知らない私を紹介してくれたんですか?」


「あぁ それはねグーン卿の口添えのおかげね」


「こんなにアッサリ話がとおるなんて もしかして先生は団長さんに体を?」


「とんでもないこと言うんじゃありません たぶん違います」


「ヘルト公爵さまとグーン卿は同期で同じ部隊に何年か一緒にいたらしいから」


「それなりに親しい間柄なのでしょうね」


え聞いてないな そんなコネが先生にあったなんて


「団長さんと個人的に親しいなら先生 なんで一番下っ端なんだろ?」


「グーン卿が上に行くことを 望んでないからでしょうね」


「むう もったいないな団長さんってコネを使っていれば


要塞勤務なんてしなくてよくなったかも 知れないのに」


「上に行こうともしないし そんなこともしないグーン卿の


口添えだからこそヘルト公爵さまも動いてくださったのでしょうね」


「リーンあなた いつも金、女、コネって言ってるけど


信用でも人は動くのよ 覚えておきなさいね」


「え 私はそんなこと思ってませんよ? なにを言い出すんですかお母様」


「なに意外そうな顔してるのよ あなたさっき自分が言ったことも覚えてないの?」


「お母様、城にはあとどれ位でつきそうですか?」


「話をそらしたいなら、もうちょと上手くおやりなさいね」


「リーン私はね貴女のために望みうる最高の教師を探したはずですよ」


「はい 先生は最高の先生でした ありがとうございますお母様」


「あなたは賢い子だから時と場所は わかってくれているものと思ってますけど」


「わかっています お母様 わたしはやればできる子なんで 大丈夫です」


「はあ もう分かりました おねがいしますね」


よし 長いお説教を封じられたぞ ふふ どうお母様 やればできる子でしょう?(笑)


そんな話をしてるまに城に着いたみたいね


なるほどでかいわね たとえるなら東京ドーム2個ぶんくらい?


さて王太子さま あなたの正体はだれなのかな?


「リーンここからは あなた一人 失礼のないようにね」


「はいお母様、問題ありません」


「リーン・バルガス様 王太子様がお待ちです どうぞこちらに」


「はいご苦労様です」


さあ いくぞ


「王太子さま バルガス伯爵が娘 リーン嬢が御出でになりました」


この方が王太子さまか うわ可愛らしいひとだな おとこの娘?


『こんにちは』 久しぶりの日本語だ さてどうかな?


あれ反応なし?


「バルガス伯爵が娘リーンでございます」


「王太子様にはご機嫌麗しゅう」 


「よい」 「ここには親しい友人しかいない堅苦しい挨拶は無しにしよう」


「ありがとうございます ではお言葉に甘えさせていただきます」


はずれ?


「ヘルト公爵より話をきいてる リーン嬢はかなりできると」


「私の剣の相手にどうかとな」


うーんん どっちなんだろうな 反応なかったし? 外れならもうどうでもいいんだけどな


「はい 王太子さまのお相手に相応しいか分かりませんが」


「さっそくだが どうだろう?」


「王太子さまの準備がよろしいのでしたら いつでも」


「うむ では修練場に移動しようか」


さすがお城の修練場なかなか広いし綺麗ね


「用意はいいかな?」


「はい いつでも」


さて 噂の王太子さまの手並みはどんなものなのかな


練習着に着替えた王太子さまはなかなか凛々しいーーーーーーくない  


ダメだどう見ても男装してる美少女にしかみえない


「随分と長い木剣を使うんだね」 「リーン嬢の身長よりも長いようだけど」


「ええ 一番使いやすいので」


王太子さまは ショートソードとラウンドシールドか 


「では尋常に勝負」


「まいります」


さて 肉体強化開始 いくぞ


王太子さまは盾を正面にその後ろに剣を隠すように構えてる


対する私は剣を正眼に剣先を盾に向ける


実に自然な構えでスキがない、これは噂どうりかなり できるとみた


まずリーチの長い 私からしかける


正眼の構えのまま3連突き、スピード重視で力は全くいれていない 


ボクシングでいえばジャブだ


「ガ ガ  ガ 」 王太子さまの盾ですべていなされる  まだ剣は使ってこないな


そのまま 全く同じ3連突きを盾に向かって つずけるこれは誘いだ


「ガ ガ ガシ 」仕掛けてきたな 盾でいなしながらシートソードを私の剣の上に


そのまま一気に距離をつめてくる 早い、上手い でも弱いな


軸足に力を込め、力の流れを下半身から上半身に 


詰めてきた王太子さまに合わせて私も前に加速する


そのまま私の長剣の柄と王太子さまの剣がぶつかる


そして次の瞬間5メートルほど後方にぶっ飛んでいく王太子さま


しまった なにやってるんだ やりすぎた


取り巻きの人たちから笑顔が消えて無表情になる


ははは よくないな世界には笑顔が必要なんだぞ


かわりに 愛想わらいでもしとくか ははは


「なぜ 追撃をしてこないんだい? 手を抜いているのかい?」


起き上がりながら不機嫌そうに言う王太子さま


これから抜こうと思ってますけど 正直に言ったら激怒するだろうな 


よしここは厨二ぽく答えとこう


「いえ 王太子さまのカードがすべてオープンされていないので攻めあぐねました」


「僕のカードが? たしかにね(笑) これからオープンするけど君のカードで勝てるかな?」


え ほんとにあったんだ  なにするきだ?


「ガシャン」 盾を捨て 剣を地面にさす 土が剣にまとわりつき棍棒みたいに変化する


土属性かでも剣を棍棒に変えて どうする気?


その答えは直ぐわかった 棍棒を軽く素振りする


「きゃ」


小さな土の塊が高速で向かってくるのを剣で受ける


すごいスピードだな これは驚かされたな ほんとに驚かされたぞ


「どうだい? 次は君のカードをオープンするばんだよ」


私が言い始めたんだけど やめてくれないかな 精神がけずられてくる


そのまま軽く2回3回と剣を振り、土の塊を飛ばしてくる


 「ヒュー」 「ヒュー」 「ヒュー」


弾道が見切れないので 大きく後方にジャンプしてかわす


これ 意外にやっかいだな どのタイミングで


棍棒のどこから発射されるか分からないから弾道がわからないぞ


でも手加減してくれてるみたいで 威力はかるい痣ができるくらいの威力みたいだし


もう適当なところで当たって泣きながら負けましたって言っとこう


「ヒュー」 「ヒュー」 「ヒュー」

 

またきた 右に大きく走る


「ヒュー」 よしいまだ 


「ガッツ」 うおいてえ 「うぅぅ痛いです まいりました王太子さま」


まじで いてええ  くそう王太子じゃなければ ボコボコにするぞこの野郎


「そこまで女の子の顔あてるなんて なにしてるんですかジョウ」


「え」 「カテナ僕はべつに」


カテナ? あれが婚約者のカテナ・アロ侯爵令嬢か いつのまにきたんだ?


それにしてもなるほど 運命の子たちだな おとこの娘あいては宝塚の男役なんだ


「いやカテナ僕は手とか足を狙ってたんだ これはまちがいだ」


「まちがいでも現に顔に当たってるじゃないですか かわいそうに」


「すぐに回復士を顔に傷でも残ったら たいへんですわ」


いや わざと当たりにいってるから それほどのケガじゃないんだけどな


「ありがとうございますカテナさま 自分で治せますから」


「あなた回復術も使えるの?」 「へえ たいしたものですのね」


「いえ たいしたことありません」


はあ もうハズレみたいだし 早く撤収したいな


「回復術が使えるならあとが残らないうちに直したほうがいい 


顔に当てるつもりはなかった すまないリーン嬢」


「いえ勝負の中でのことお互いに遺恨無しということで(笑)」


よし 何もなかったことにできそうだ


額が少し切れてるみたいね 額に手をあて力を込める 


「シュウシュワ」 


治療完了と


「よかった綺麗に治ったみたいですわね」 


「さあ勝負は十分でございましょう 


お風呂の用意させてますから汗を流してくるとよいですわ」


なにからなにまで気の利く人ね 私は微笑みながらうなずいた


「リーンさんを案内して差し上げて」 


「はい リーン様 こちらにどうぞ」


王宮のお風呂か いなかの健康ランドみたいに広いのかな?






ふう いいお湯だった でも期待してたより小さかったな


それに女中さんが3人くらいで体を洗ってくれるもんだと期待してたのに


ちぇーー


「リーン様 よろしいでしょか?」


「あ はいなんでしょうか?」


「はい王太子さまより今日の夕飯を一緒にどうかとの おうせでございます」


え なんでよ? なんとか穏便に断らないと


「あのまずお母様にお話ししないと」


「それでしたら伯爵夫人は よろしくおねがいしますともう お帰りになりましたが」


なにーーー わたしを置いて帰っちゃたのか 退路なしか(笑)


「ええ じゃあよろしくおねがいします」


はあ もうこうなったら王宮のご飯を楽しむことにしよう(笑)

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