第15話 復讐の為の第一歩
決断はしたが、シンタロウは大賢者の
提示した二つの、どちらかを選んだ訳じゃない
シンタロウはこう考えていた
大賢者は、なんだかんだ言っても、自分に甘い
全ては無理でもゴネれば、ある程度の事は聞いて貰える
(じゃあ折衷案で、、復讐は僕が自分でやりますから
逃げる時だけ手を貸してください)
{いや、君、私の話、ちゃんと聞いていたのかい?
逃げるか、復讐かどっちか選べって言ったんだけど?}
(もちろん聞いていましたけど、その、、ちょっとくらいいいじゃないですか
僕と大賢者の仲じゃないか、復讐には助けはいりませんから)
{あのね・・・復讐なんてしてたら、逃げるのドンドン大変になるだろ?
それは解るよね?}
(もちろん解りますよ・・でも、大賢者ならなんとか、なりますよね?)
大賢者はかなり困った、じつはシンタロウの言う事はあながち間違いじゃない
自分が本気でシンタロウの体を操れば、大概の事はなんとかなる
{・・・・解ったよ、私の出す条件を飲めるのなら、その折衷案を飲もう}
(条件?・・・なんですか?)
{リーム、サイラス、マクリムの命には私は興味が無い、彼女達に
復讐したいのなら、止はしない
ただしだ、元老院には手を出さないで欲しい、、それが条件だ}
大賢者の意外な言葉にシンタロウも、不思議がり
(あの・・・なぜですか?・・なんで元老院を庇うんですか?)
シンタロウの不思議そうな顔に、大賢者も少し話しておくことにする
{私はね、期待してるんだよ、元老院・・いや共和国にね
共和国はこの世界を先導することができる存在だとね}
(え・・・共和国がですか・・・でも元老院は腐敗してるって
言ってませんでしたっけ?)
{確かに元老院は腐敗してる・・・でも構わないよ
この政治形態のままでいき、自浄するか
改革されるか、革命がおきるか
それは、この世界の歴史であり選択だしね
なにより私が期待しているのは、共和国の
文化や文明だしね}
この世界の歴史にシンタロウはまったく興味が無かったが
長生きしている、大賢者ならでわの、考えなのと思う事にした
(そうですか・・・解りました元老院には手を出さないようにします
それでいいですか?)
{うん・・・それでいい、じゃあ暫く私は黙っているから
気が済んで逃げる気になったら声を掛けてくれ}
(いや・・ちょっと待って、ここ下水道って聞いたけど、ぜんぜん解らないよ
せめて僕が解るところまで、連れていってよ)
{ああ・・そうか・・・じゃあちょと体を貸してくれ
マクリムの家の近くまで移動することにしよう}
そう大賢者が宣言するとシンタロウの体を乗っ取り始める
シンタロウは初めての感触に感嘆の声をつい出してしまう
(うわ・・・不思議な感覚だな・・・なんだろこれ幽体離脱?)
体を完全に乗っ取った大賢者がそのまま集中し始めると
手が消え、全身も消えてくる
(すごいね、、光学迷彩ってやつ?)
{コウガクメイサイ?・・・なんだそれは・・・・
・・・ああ・・解った光学迷彩だな?、、すごいな2024年には
そんな技術が実用化されているのか?}
(うん、、詳しくはしらないけど、
どこか国の軍隊で実験してるって聞いたことが有るよ)
{へえ・・・まあいい、とにかく移動するぞ}
大賢者はそのままサイラス邸のすぐ側まで移動すると
シンタロウに言葉を掛ける
{さて・・・もう解るだろうし、私の手伝いはここまでだ
後は好きにしたまえ}
そう一言、残すと大賢者は体の支配権をシンタロウに返す
(ちょっと・・・リームは中に居るの?、それくらい教えてよ?)
{・・・・リームかどうかは解らないが中には13人いるな
逃がすと騒ぎになる、一人も逃がすなよ
もう・・・本当にここまででだからな}
(解った・・・13人か・・・護衛かな?)
シンタロウはまずサイラス邸の壁に取り付くと
壁の上から顔を出し中を覗いてみる
(うーーーん、ここからだと誰もいないようにか見えないな)
シンタロウは、そのまま壁を越えるとマクリム邸の中に入る
周りの様子を見ながら、屋敷に近づいていく
(静かだな・・・屋敷の中からも何の音も聞こえないんだけど
本当にいるのかな?・・・いや大賢者が言ってるんだから間違いないか)
そうシンタロウは頷き、これからどうするか考える事にする
(そうだな取り敢えずリームの部屋から探す事にしようか)
そうシンタロウは思い、この前も忍び込んだ窓に近づくことにする
窓に耳をつけ中の様子をシンタロウは探ってみる
(中には誰もいないみたいだな、よし窓を壊して中に入るか)
なるべく音を立てないように窓を破壊するが、やはり多少の音は出てしまう
シンタロウはその音が誰かに気付かれていないか周りの様子に
耳を立てるが・・・・どうやら気づかれなかったようだ
(よし、大丈夫みたいだな中に入るか)
リームの部屋の中に入ると、シンタロウはどうしても思い出さずには
いられない、このベットでリームと抱き合い、お互いの愛を確かめ合って
いたと思っていた・・・それが自分一人の、思い違いであり
リームには嫌われていたのは、もう理解してるが、、それでも
このベットを見ると、あの時の事がよみがえってきてしまう
(僕はまだリームを、忘れることができていない
だけど・・・リームに対する憎しみはそれ以上だ)
部屋の出口に向かい扉から廊下の様子を伺う
耳を扉にあてていると、微かな音が聞こえる
誰かが話しているのか?
もちろんシンタロウに聞こえても話しの内容は解らないが
問題なのは・・・廊下に何人いるかって事だけど
シンタロウには、それも判断できない
もう、大賢者に聞こうかとも思ったが
さすがに、大賢者も怒り出すかもしれない
(どうする・・・・何人いるのかな?)
外に何人いるかシンタロウはなんとか
特定してみようとするが、たぶん3~4人位だとか
までしか解らず
(3~4人ならなんとかいけるか?
このままここに、いても始まらない)
シンタロウはそう考え一気に扉を開けると、外に飛び出す
3人の護衛らしき人を確認すると、シンタロウは一番近くにいる
男に渾身の力を込めて飛び掛かる、不意をつかれ
シンタロウに飛び掛かられた男はなすすべもなく
壁に激突してすぐに意識を失う事になるが
不意をつかれたが、その光景をみていた二人の男は
壁と男の激突音で、すぐに敵の攻撃だと理解したのだろう
二人は腰の剣を抜こうと行動を起こすが
シンタロウはそれよりも早く動いた
気絶した男の腰を掴むとそのまま振り回し、二人の男にぶつけようとする
一人に直撃し、ぶつかった二人の男は骨の砕ける破壊音をだし壁際まで吹き飛ぶ
しかし、不意打ちによるアドバンテージはここまでのようだ
残りの一人は剣を抜き盾も構えてシンタロウに対峙する
「XXXXXXXXX」大声で何か男がどなり、屋敷中が騒然となる
シンタロウは、自分の襲撃が失敗したことに焦るが
かといって目の前の男から目を離すわけにもいかなかった
「XXXXXXX」「XXXXXX」複数の怒鳴り声が聞こえ
シンタロウの目に5人の男たちが確認できる
(クソ、、すぐにかたずけないと)
シンタロウは焦ってはいたが、そこまで追い詰められてはいなかった
たしかにシンタロウなら、6人が相手でも負けることは無いだろう
だが、武器を持たないシンタロウは攻撃手段が、素手によるものしかない
(よし、、こいつ等から武器を奪おう)
シンタロウは一番近い盾を構える男を見る
男はシンタロウより、20スポットくらいは大きく
120スポットの剣を右手に構え
何かの金属製と思われる円形の盾を左手に構えている
盾は結構大きく直径は100スポットはあるのか
それなりに頑丈そうだ、だが自分の
渾身の一撃を防げるとは、思えない
そうシンタロウは判断した
(まずあの盾にタックルして壁際まで追い詰める
右ストレートで盾を破壊して、そのまま左ストレートで顔面を殴る
それであいつは動けなくなるはずだ、よしいくぞ)
シンタロウは、いま決めた通りに動き始める
まず盾にタックルして壁まで飛ばすとそのまま
男との距離をつめ、右ストレートを盾に打ち込む
だがここで、シンタロウの予想とは少し違う事になった
シンタロウの渾身の一撃に盾が耐えられない
その予想は間違いじゃなかったのだが
壊れ方は予想と違った、、盾は砕かれず、
シンタロウの右手が完全に盾を貫通してしまったのだ
予想とは違ったが、バランスを崩している男の顔面に
シンタロウは構わず、左ストレートを叩き込む
「グチャ」そんな破壊音を残し男は、床に崩れこむ
一人はかたずけた、だがまだ5人の敵がいる
シンタロウは、急ぎ自分の手が貫通している盾を
取り除こうとするが、そのスキを見逃してくれるほど
敵も甘くはない、廊下の幅に限界があり一気に飛び掛かることができないが
3人の男が並びシンタロウに向かい飛び掛かってくる
シンタロウが盾から右手を抜くのと、3人がシンタロウに飛び掛かるのが
ほぼ同じ、4人はもみ合いながら、床に転がりこむが
飛び掛かった3人のうち二人の剣は、シンタロウの体にめり込み
シンタロウに苦悶の声を上げさせる
「くそーーーこんな奴らに」
シンタロウは罵声を上げるが
シンタロウに取り付いた3人も必死なのだろう、渾身の力を振り絞り
なんとかシンタロウを抑え込もうとしている
もちろん残った二人もただ見ているわけがない
「XXXXXX」なにやら叫び三人に加勢するためにシンタロウの体に飛びつく
5人がかりでシンタロウを押さえつけるが
シンタロウの暴れる力はすさまじく、いずれは5人は力尽きる
そう思えたが、別の部屋から来た一人が手に持つ
網をシンタロウに投げる、シンタロウと押さえている5人ごと
網に絡めとられる・・・・焦りを感じ始めたシンタロウは
ここで大賢者に助けを求め始める
(大賢者なんとかしてくれ)
大賢者は心底呆れていた、、今までもシンタロウには随分と呆れさせられてきたが
なんで、あんな有利な状態から襲撃してこうなるんだ?
いやそれ以前にも、ツッコミどころが、あるのだが、もうそれはいい
{シンタロウ・・・・もう逃げるのかね?、それなら体を使わせてもらうけど}
(駄目だまだ・・・復讐は何も終わっていない、もうちょっとまってよ)
{それなら、君の力だけで何とかしたまえ・・ちなみにこの家から4人離れていく
マクリム達が逃げたんだろう、それに応援も呼ぶはずだ、急いだほうが良いぞ}
(クそ・・・こいつらいいきになりやがって)
焼け糞になったシンタロウは、力の限り暴れまくるがなかなか
網に絡まれた6人は離れることができない
だが・・・疲労しないシンタロウと疲労する5人に段々と差が出始める
自分を拘束する者たちを一人、一人、始末し網から抜けることができたが
結構な時間がたってしまった
「手こずらさせやがって・・・もうリームは逃げちゃたよな?」
もちろんリームはとっくに逃げており
屋敷は完全に包囲されていた
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