第11話 大賢者との、ちょっとした旅
「その・・・すまなかった・・・さっきの話は忘れてくれ
・・・・・共和国に戻るんだっけ?」
言いたいことをすべて出したのか?ノゾミは落ち着きを取り戻し
今は、すべてを無かったことに、しようとして無理やり話を続けようと
しているようだ
「ええまあ・・・そうしようかと」
シンタロウも精神的に疲れているのか
精彩なく、ノゾミの質問に答えている
「そうか・・・別に止はしないけど、手も貸さない
まあ・・・忠告くらいはしとこうか・・元老院には注意しなさい」
シンタロウはワザとらしく、落胆した態度をノゾミに見せ
更にワザとらしく、溜息もついてみせると
「別に一緒に来てくれとは言いませんけどね・・・
なんて言い訳すれば、元老院は納得しそうですかね?」
シンタロウのワザとらしい溜息は無視してノゾミは
質問のみに答えようと、思ったようだ
「そうだね、単純に河に流されて気づいたら、周りに誰もいなかったで
いいんじゃないの?・・・・幸いな事に、君が難しい事を説明できるほど
言葉が達者じゃないのは向こうも知っているしね」
確かになにも知らないで通したほうが問題がなさそうだと
シンタロウにもそう、思えた
「あと・・・・さっきも言ったけど、リームはまず間違いなく
共和国を離れたがらないと、思うし
君も、ここに戻る必要もないんじゃないか?」
ノゾミの指摘にシンタロウも思わず考え込んでしまう
「そうか、、ノゾミさんが師匠にならないなら、別にここに戻る必要もないのか」
「そう言う事だ、、君にとっても蛮族の中で暮らすより、共和国で
暮らした方がいいと、私は思うんだけどね、、」
「でも、そうなると、、またノゾミさんと戦えと元老院が言ってくると思うんですけど?」
「確かに、そう言ってくるだろうね、そうだね、そちらが攻めてこない限り
私が共和国との戦争に出てくることはあまりないし
君も蛮族相手に戦って誤魔化していれば、なんとかなるんじゃないかな?」
ノゾミの言葉を聞いても、シンタロウっは納得できずにいた
「僕としてはもう、ノゾミさんと戦いたくないんですけどね」
シンタロウにとってノゾミとの戦いは、ある意味トラウマになった
どんなに頼まれても、ノゾミとはもう戦いたくないようだ
「そこは、上手くやりたまえ、共和国にいるつもりなら避けて通れない
問題なんだしね・・・まあ、共和国に残るも、私の所に戻ってくるのも
好きにするといいよ」
「わかりました、取り敢えず戻ってみてから考えてみますね」
そうシンタロウはノゾミに頷いてみせた
シンタロウは深い森の中を、さ迷っていた、もう自分がどちらの方向に
向かっているのかも、解らない・・・
幸いな事に・・・シンタロウには死ぬ心配はない
お腹が減っても我慢してればいいし
ただ、どこに向かってるのかも解らないと言う事実は
シンタロウを、かなり焦らさせずにはいられない
もう助けないと、ノゾミは旅立つ前に言っていたし
シンタロウも助けは、いらないとその時は言ったが・・・
(大賢者助けてくれ・・・自分が何処にいるかもわからないんだ
今回だけだからさ・・・僕たちの仲じゃないか?)
{君ね、私はもう助けないと言ったはずだよ、自分の決めた事には
自分で責任を取りたまえ}
(ノゾミさんにはそう言ったけど・・・大賢者は僕の事を補助するための
スキル・・・助けて貰ってもいいんだよ)
{いや、君はもう、大賢者の正体が解っているんだし・・・}
シンタロウは、大賢者に最後まで言わせるつもりはなく
割り込むと、自分に都合のいい事を捲し立てる
(何のこと?・・・僕には全然わからないな、・・・大賢者早く
ここが何処か教えてよ・・・さあ、お願いします)
そう言ってシンタロウは土下座を始める
大賢者はもう・・呆れるやら、情けないやらでなにも言えなくがなるが
踏ん切りがついたのか
{解ったよ、上を見てくれ、そう、そのまま360度回るんだ・・・・
・・・・・よし解った}
そう大賢者が言葉を切ると、シンタロウの意識とは関係なく
右腕が動きある方向を指さす
{こっちの方向に進め、、上手くいけば2~3日で街道に出るはずだ}
シンタロウは驚きを隠す事もなく怒鳴るように
(え、、今の何?・・・勝手に右腕がうごいたんだけど?)
{ああ・・私が動かしたんだ・・・なかなか上手くなってきたし
もうすぐ全身も、いけそうね}
(ちょっとまって。。。いつの間にそんな事出来るようになったの?
ていうか、勝手に人の体動かさないでよ)
{何時からって・・・初めて魔法を使う時言ったと思うんだけど
君の脳と、魔力を使うって・・・それに大賢者は君の体の
補助器官みたいなものなのだろう?・・それなら君の体を動かしても
良いだろうし、、もしかしたら
私の方が、君よりこの体を上手く使えるかも知れないよ?}
そういえば、そんな事を聞いたような?
そうシンタロウも考え込むが
(いやいや、、ちがうよそんな、上手いとかじゃないよ・・補助なんだから
勝手にうごかさないでよ・・せめて僕が気絶したときとかにしてよ)
{解ったよ・・じゃあ君が寝てると気か、気絶している時に試す事にするよ
それより、早く右手の差してる方向に向かいたまえ}
まだシンタロウには言いたいことが有るようだが
これ以上言ったところで無駄だろうし
それに、気になることが
(ねえ・・もうすぐ夜になるみたいだけど・・このまま、すすむの?
・・どこかで野宿とかするなら、そろそろ準備をした方がいいんじゃないかな)
{なぜ野宿をする必要がある?君に食事はいらないし、睡眠もいらない}
大賢者の冷たい言い草に反感を覚えたのか
(いや道に迷うかもしれないし、夜道は暗くて危険だし
獣に襲われるかもしれないし・・夜って普通は休むものじゃないの?)
シンタロウにしては当たり前の事を言ってるのだが
大賢者の意見は違うようだ
{私が星を見てれば方向は迷わない・・暗くて崖とかに落ちるかも知れないが
痛いだけで、問題ない・・獣に襲われるかもしれないが
この辺りにいる獣なら、追い払えるだろう・・最悪でも痛いだけだ
死にはしない}
(いや、いやだよ・・死なないのかもしれないど・・崖は高さによるけど
獣に、食われそうになるなんて、冗談じゃない)
{シンタロウどうしたんだ?・・いつもの君なら勇者特典がどうの
主人公補正がどうのって言って、細かい事は気にしないのに?}
(いや、それは勘違いって言ったの、大賢者だよね?
大賢者の忠告を聞いて、僕も慎重になったんだけど)
{なるほど・・・私の忠告を聞いてくれたのか、なら今回も聞いてくれ
最悪、痛いだけで問題ない、このまま進みたまえ}
(いや・・・だから痛いのが嫌なんだよ)
シンタロウが、あまりにも嫌がるので大賢者も、考え直したのか
{解ったよ、まあそんなに急ぐ必要もないか・・・しかし野宿と言っても
道具も何もないしな・・・安全そうな場所を探して寝る事くらいしかできないよ}
(野宿するんだし、焚火とかして、せめて獣が近づかないようにするとか?)
{シンタロウ、火を怖がる動物は一部だけだ、人を襲うような獣は焚火が
あろうが、無かろうが襲ってくる
もういい・・・私が見張ってるから、君は眠りたまえ}
面倒くさくなったのか、大賢者の一言でこの場で野宿することになる
シンタロウも、面倒くさくなったのだろう、小さく溜息を付くと
(解ったよ・・・おやすみ大賢者)
{ああ、おやすみ、シンタロウ}
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