第171話 とっておき

「あれー?やっぱりなんか前戦った時より弱くなってるね!」


ミカエルの攻撃をなんとか避けつつ反撃のタイミングを待つ。


片方の拳が使い物にならなくなってるのも非常にきつい。


「仕方ない……パラ召喚采配


パラを召喚して、さらにパラがスロースタートを使ったのを確認した瞬間に采配で最強モードにした。


最強モードになったパラは瞬時に回復粉で私の拳を治してくれる。


「おお、見たことないモンスター!《諸刃の裁き》」

「"破壊開始"」


突っ込んで攻撃してくるミカエルをユニークスキル発動時の無敵時間で無効化する。


無効化されて無防備になっているところに腕を掴んで投げ飛ばした。


「うわっ!《飛行》」


空中に投げ飛ばされたミカエルはたまらず翼を広げて飛んで飛ばされた勢いを止める。


「パラ……今だよ!」

「え――」


翼を広げたタイミングでパラがジャンプする、そのままパラは片方の翼を引きちぎる。


そういえばこの前、ユウリに聞いたことがあった。


翼が無くなっても飛べるのかどうかと、答えは普通に飛べるけど一瞬だけ感覚が狂う、らしい。


「そのまま潰しちゃえ!」


空高く跳んで口いっぱいに翼を咥えたパラは一瞬だけ感覚が狂ったミカエルを上から踏み潰して地面に叩き落とした。


「ぐ……う――」


苦しそうに唸りをあげるミカエル。


「パラ!言わなくても分かると思うけど避けてね?」


叩き落とされたミカエルに私はカカト落としを腹に向かってしようとする。


「や、やらせない!」

「わわっ!」


カカト落としが当たる前にミカエルに足を掴まれて止められてしまった。


逆に足の自由を奪われて投げ飛ばされる。


あれ受け止められるの?!


そんなこと思いつつ地面に落ちる衝撃に備えているとポヨンという感触が来て落ちる衝撃などはなかった。


「パラー!私を受け止めてくれたの?ありがとう!」


なんとパラが私の落下地点に先回りして自らがクッションとなって受け止めてくれた。


「油断したつもりは無かったんだけどなぁ……翼、取られちゃった」


ミカエルが立ち上がって私の方に歩いてくる。


「取られたどころか食べてるし……」


私の横でもぐもぐと翼を食べているのが見えた。


「もう片方の翼は私が引きちぎってあげる」

「そうはさせないよ!とっておきのスキルを見せてあげる……!」


とっておきのスキル?前回戦った時に使いかけたやつかな?


「《命ある限り》」


ミカエルが何かのスキルを使った瞬間、ミカエルの雰囲気が変わった気がした。


見た目は特に変わっているように見えない。


「すぅ……はぁ……いくよ」


息を呑んでミカエルの攻撃に対して私は構えた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る