第162話 これ、勝てる?
「ご、ご、ご主人様!どうしますか?!」
「ちょっと待って……一旦落ち着く」
MP回復ポーションを飲みつつどうするか考えた。
とりあえず弱体化をなんとかしないと戦いにならない……ユウリの弱体化は一度送還してから再召喚すれば良いとして私はどうしよう。
天魔融合でどうにかなるかな?
「《悪魔召喚》」
死んでもMP回復すればすぐに再召喚できるのずるいよね、絶対に次のイベント終わったら修正入るよ。
「……はっ!俺、死んだのか!」
「情けないですね」
「いや、ユウリだってふらふらじゃねぇか?!」
ユウリがカイリを貶しているがユウリもユウリで飛ぶのすら必死なくらい弱体化している。
「おや、お早い復活……これはお二人を倒しても意味ないと言うことですね《転移》」
また消えた?!だから瞬間移動はずるいって……!
でもさっき言ってた言葉通りなら私を狙ってくるはず。
「《真っ向勝負》」
「《闇の剣》」
私がスキルを発動したのと同時くらいに背中辺りに衝撃がきた。
「やっぱり私狙い……不意打ちは効かないよ!《風龍の加護》」
「効かないのは予想外でした」
続けて私はアスタロト様の顔目掛けて殴りかかるが普通に腕を掴まれて止められてしまった。
「やばっ!」
このままだと前みたいに腕をへし折られてしまう。
「ご主人様はやらせないぜ!」
なんとかして抜け出そうとしたところにカイリが爪でアスタロト様の腕を切り裂いてくれた。
カイリが助けてくれた勢いでアスタロト様を蹴飛ばしつつ下がる。
「私のこと忘れないでください……」
ふらふらな状態で私のところに飛んでくるユウリ、そういえば弱体化したままだったね。
まあ、私も弱体化したままなんだけど。
「《ロード》」
また何かのスキルを使ったと思ったらアスタロト様が最初にいた位置に戻っていた。
「一度の戦闘で2度もこのスキルを使うことになるのは初めてですよ」
うわ、また腕が元通りになってる。
「こんなポンポン回復されちゃキリないぜ!」
「私はもう飛ぶのすら限界です……」
やっぱり天魔融合しないと勝てなさそうだね。
あの謎回復スキルがなんなのか分からないけど回復される前に倒せばなんとかなるよね?
「2人ともあれやるよ!《天魔融合》」
「もう少し戦いた――」
「あとは任せ――」
『天使と悪魔を吸収、ステータスを変化させます』
2人が何かを言う前に融合してしまった、何を言おうとしていたんだろう?
「随分と姿が変わりましたね、天使と悪魔を取り込んで力にした……?不思議で興味深いです」
変わった姿の私に驚き、そしてなんと警戒するかのように杖を構え始めた。
「《消滅の波動》……これが効きませんか」
一瞬、ピカっとアスタロト様の杖が光るが私にはなんともない。
「最初から本気で……《リミッター解除》」
リミッター解除に下剋上で身体が軽く感じ力が湧いてくる。
「アスタロト様……行くよ?」
「どうぞ来てください」
力強く拳を握り、アスタロト様に向かって突撃する。
「《絶対領域》」
近づいたところに絶対領域でさらにステータスを上げ、正面から殴るフリをしてから後ろに回って殴りかかった。
「《チャージ》」
私が後ろに回ったのにも関わらずアスタロト様が後ろを向くことなく何かスキルを使った。
しかし私の拳はそのままアスタロト様の頭に当たり消し飛んだ。
頭部を無くしたアスタロト様の身体がバタリと倒れ、身体も消滅した。
「え……勝った?」
「と思いますよね。残念……生きてますよ《リリース》」
「っ!後ろ――」
後ろから声が聞こえて反射的に身体を動かしたが私の左腕が消し飛んだ。
「痛っ……!」
腕を無くした痛みに耐えつつ後ろを振り向くとまたも無傷のアスタロト様がいた。
「わたくしに《リトライ》を使わせたのはあなたが初めてです。まさか一撃でやられるとは思いませんでしたよ」
「あはは……」
これ、勝てる?
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