第161話 絶望
「これはこれは……小さなお仲間を連れて来ましたね」
「天使のユウリと悪魔のカイリだよ!3人でアスタロト様を倒す!」
私が天使と悪魔を連れていても驚く様子もないアスタロト様。
ただただ私たちを見つめているだけで何もしてこない。
「先制攻撃です!《天使の光》」
ユウリが放つ天使の光がアスタロト様を襲う。
「おっ!やったか!」
「いやそれフラグ!」
案の定、アスタロト様は天使の光が襲っているのにも関わらず涼しい顔で私たちの事を見てくる。
「天使の光ごときでわたくしがダメージを受けると思ったのですか?」
アスタロト様が杖をかざすとパシンという音と共に天使の光が消し飛ぶ。
「ぐぬぬ、やはり効きませんか《覚醒》《武装》」
「もう使うのか?じゃあ俺も《覚醒》《悪魔の爪》《狂化》」
2人が仲間にする前の大きさに戻りユウリは槍を持ち、カイリは大きな爪を生やす。
「しゃー!突撃」
「あ、先になんてずるいです!私が倒します」
「2人とも私を置いて行かないでー!」
真っ先に突撃していったカイリに続くようにユウリと私が突撃する。
「そうですね、まずは最初に突撃して来たあなたからにしましょうか……《チャージ》《インフェルノ》《魔法強化》」
アスタロト様がどでかい炎を放ち私たちを襲う。
「そんなもの俺の爪で切ってやるぜ!おらー!」
なんとカイリは炎に対して爪で切りかかり見事に半分に切り裂いた。
いや、そんなスキル持ってなかったでしょ?!どうやったの?!
「ってあいつが居ねぇ?!」
切り裂いた先にアスタロト様が見えない……と思っていたら急にカイリの背中から現れた。
「カイリ!後ろ後ろ!」
「何?!」
「もう遅いですよ《闇の剣》」
咄嗟にカイリが後ろを向いて反撃しようとするがそれより先に真っ黒い剣がカイリに当たってしまう。
私は短剣を取り出して投げて黒い剣を弾こうとする。
「邪魔です……!」
「ぐはっ!」
黒い剣が当たる前にユウリがカイリを突き飛ばし、ユウリは槍で黒い剣を受け流す。
そして受け流したことでアスタロト様の体勢が崩れ、私の投げた短剣が横腹に突き刺さった。
「お見事です、さすが私が見込んだ人間とその仲間たち……」
短剣が突き刺さっているのにも関わらず何故か拍手をするアスタロト様。
ユウリは拍手されているところを容赦なく槍で攻撃する。
私も続くようにアスタロト様の腕を掴みへし折った。
避けれるであろう攻撃なのに何故か避けない……なんで?
「ここまでダメージを受けたのは久しぶりですよ、わたくしは身体全体に結界を張っていると言うのにそれを意図も容易く貫いてきますから《衝撃波》」
「え……」
「ひ、《飛行》」
アスタロト様の周囲に衝撃波が出て私は少し吹き飛ばされたがユウリは飛んで避けた。
「ユウリの奴良くも俺を突き飛ばしたな?!後で覚えとけよ!《飛翔》」
ユウリに突き飛ばされたカイリが飛んで戻ってくるとともにアスタロト様に切りかかる。
「あなたの攻撃ですと流石のわたくしでも身体ごと切られそうですね」
アスタロト様はそう言って避けることなく片腕で受け止めた。
スパッと片腕が切れてポトリと落ちる。
「なんだ、もう瀕死じゃ無いですか。ご主人様がボコボコにされたと聞いて本気で挑んだと言うのに雑魚ですね」
「ご主人様〜!もうトドメ刺しちゃってもいいか?!」
絶対に何かがおかしい、2人は余裕を見せているがこんなに楽に勝てる相手じゃないのは分かっている。
私はより一層アスタロト様を警戒して一度離れようとする。
「まだ警戒を解きませんか……《ロード》《転移》」
何かのスキルを使ったと思ったらアスタロト様が消えた、やっぱり転移スキルずるい。
「また消えたぞ!」
「どこですか?!」
「まずは1体……《リリース》」
またもカイリの後ろに現れたアスタロト様がカイリに触れる。
そして触れた瞬間にカイリが消し飛んだ。
『カイリが倒されました』
「え……カイリ?!」
「カイリのやつ何やってるんですか?!」
レベル差があるとはいえ覚醒状態のカイリを一撃……?
「悪魔がいなくなればこれが使えますね《悪魔の波動》」
パシュンと黒い波動が私とユウリを襲う。
『《悪魔の波動》の効果により魔の者以外のステータスが大幅に減少し発動中のスキルが強制的に解除されました』
メッセージが現れると共にカクンと身体が重くなる。
「うそぉ、それレイドボスのカイリが使ってたやつぅ!」
「力が抜けていきます……」
私はユニークスキルが解除されてユウリは覚醒と武装が解除された、さらに元のステータスも弱体化されている。
「ご主人様――あの悪魔、身体が戻っています……」
ユウリの言葉で気づく……へし折ったり切り落としたはずの腕、槍や短剣で突き刺したりした傷、アスタロト様の身体全てが元通りになっている。。
「さあ、絶望しなさい……わたくしの力はまだまだこんなものではありませんよ?」
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