第151話 百合の花

「あ、なんか次のイベントの告知来てる」


いつのまにか運営さんから通知が来ていることに気づいた。


『第三回イベント開催のお知らせ』

『第三回イベント"天魔戦争に参加しよう!"を開催します』

『詳しい情報はこちらからご覧ください』


第三回イベントのお知らせだった。


「あの戦争ってイベントの予告みたいな感じだったんだ」


私が魔帝国に来たことで発生した感じだよね?多分。


とりあえず詳しい情報を見てみよう。


えっと……魔帝国と天王国、どちらかを選んで戦争に参加する。


参加方法は各国でしている兵士募集で兵士になること。


勝利条件は魔帝国は国王の討伐、天王国は皇帝の討伐。


「どうせ国王とか言っときながら天使なんでしょ?三大天使だっけ?アスタロト様が言ってたやつじゃない?」


そうなるとアスタロト様1人に対して3人も倒さないといけないことになるけどパワーバランス大丈夫なのかな?


「ご主人様、一体なんの独り言を言っているのですか?私の名前はどうなりました?」

「ごめんごめん、忘れてた」

「あとお茶のおかわりください」


今さらだけど手のひらサイズの天使さんに合うように凄いちっちゃいコップに変化してるのすごいよね、さすがゲームって感じ。


あと天使さん、地面に正座するの痛くない?凄い上品にお茶飲んでるね。


「名前ねぇ……天使さんの天を取って天さんで良い?」

「安直すぎるので却下です」

「ダメかー」


適当すぎたね。


「じゃあちっちゃくて可愛いひよこと天使を合わせたヒヨテンってのは――ダメだよね」


明らかに天使さんの目のハイライトが消えていた。


「それならエンジェルのエルでどうだ!」

「なかなか良い名前ですが安直すぎません?」


これもダメなら……うーん、特に思いつかないなぁ。何かいいアイデアとか浮かばないかな?


そこでふと目に入ったのが百合の花。


「……ユウリってのはどう?」

「まあ、良いでしょう」

「じゃあよろしくね!ユウリ!」

「こき使うのはほどほどにしてくださいね……」


そんなこき使うことなんて無いと思うけどなぁ。あっ!でもユウリは小さいからモンスターの口に投げ込んで身体の中から攻撃してもらうのもありかも?


「なんか悪寒が……!」


ユウリがブルブル震え始めたけど寒いのかな?大丈夫?


「とにかくレベル1じゃ何も出来ないしレベル上げしようよ」

「そうですね、ご主人様にこき使われても死なないように強くなります」


アスタロト様との戦いも控えてるからユウリは心強いね!


「レベル上げの場所は……あいつ相手で良いかな」

「あいつってどなたですか?」

「ん?悪魔」

「はい……?」


・・・

・・


「ユウリいけー!悪魔なんてぶっ飛ばしちゃえ!」

「無理無理無理ー!絶対勝てませんって!」


私とユウリは今、名もなき悪魔の前に居る。


レイドボスに挑む為、街中を歩いている時にユウリのことを他のプレイヤーが見ていたけどまあラビリルだしとかなんとか言ってた。どう言う意味だろう?


「俺は何を見せられているんだ……?」


ついさっき倒されたばかりなのにまた挑んできた私を見て困惑している。


「なあ、まさかこのちっこいの天使か?」


悪魔が無防備にユウリに近づいてきて指を指す。


「誰が小さいですか?!ぶっ殺してさしあげます!」


ちっちゃいと言われたユウリが怒って悪魔に殴りかかった。


「誰が天使にやられるかよ」

「ふぎゃっ!」


ペシンっと悪魔にデコピンされてユウリが吹っ飛んでいった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る