第146話 一方その頃1

「凄く白い街なのじゃ」

「どこもかしこも白いねー」


ラビリルと別れてあるふぁとベルテと一緒に天王国に来た。


「身分証Lv2があればある程度はいけるじゃろう」

「いつかはあの綺麗なお城に行ってみたいよね!」


ベルテが遠くに見える白い城に目を向ける。


魔法少女に似合いそうだし欲しいかも。


「なんか有用なイベントとかあるかもだし手分けして探す?」

「抜け駆けはなしじゃぞ」

「うん、良いよ」


流れで手分けしてイベントを探すことになったから私は適当に探すことにした。


「《変身》《自分魔法領域》《領域透過》《領域拡張》」


私は物陰に隠れて変身をしつついつもの自分の魔法が使える領域を展開する。


そして決勝トーナメントに負けてから新たに手に入れたスキル、触れられなくなる代わりに半透明な領域を完全に見えなくするスキル、そしてその領域を拡張して範囲を広げるスキルを使う。


「いつか必ずリベンジするんだから……」


ラビリルを思い浮かべながら私は街中を歩いた。


「今の結界……あなたの?」

「っ!誰?!」


急に後ろから耳元で囁くように話しかけられる。


私はすぐに声の方向に振り向くが声の主が見当たらない。


「いない?」


前や後ろを見るがだれもいない、気のせいでは無いはず……。


「うん、あなた気に入った。こっちにくるの……《強制転移》」


確かに誰もいないことは確認したはずなのに背後からペタッと冷たい何かに触れられて視界が切り替わる。


この感覚は転移させられた?


「ここは……どこ?!」


白い壁に囲まれててなんかカカシとかあるから訓練所?


「ここはお城の訓練所なの」

「……その声、私をここに転移させたやつ」


素足でペタペタと歩く小さな女の子が私の目の前に現れた。


「ガブリエルなの、よろしくなの」

「……天使」


ガブリエルといえば有名な天使の名前だ、見た目は普通のNPCに見えるが恐らくは姿形を変えているんだろう。


「そうなの、ガブリエルは天使なの」


そう言ってガブリエルは大きな白い翼を何枚もの翼を広げた。


あっさりと正体を明かしてくれた。


「それで天使様が私になんのよう……?こんなところまで連れてきて《教えて》よ」


私の領域はちゃんとこの城まで届いていた、どう考えても格上だし効かないとは思うが試しに魔法を使ってみる。


「戦って勝てたら教えてあげるの……」


その言葉を喋ると共に物凄い光のオーラのような何かがガブリエルの周囲に現れる。


ガブリエル Lv90


『*警告 現在のレベルを大幅に超える敵です。逃げることをオススメします』


逃げれるわけないでしょ……。


こんなことになるならテレポートの座標設定しておくんだった。


「《ファイアボール》《ウォーターボール》」

「魔法勝負なの?《物真似》《山彦》」


私が発動させた魔法と全く同じ魔法をガブリエルが使ってくる、それも魔法の数が倍になって。


「《私に当たるな》」


ガブリエルが放った魔法は私を避けるように飛んで壁に当たった。


「面白い魔法……非常に興味深いの《物真似》《こっちにきて》なの」

「あ、え?身体が勝手に――」


こっちにきてと言われてから身体が勝手にガブリエルの方に歩いてしまう。


さっきから使っている《物真似》ってスキル、普通の魔法だけじゃなくて私の自分魔法も物真似出来るの?!


あー終わったかも……。

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