第145話 友達いないんだ……
バコンッ
「おじさん!久しぶりー!」
何度も見た扉を蹴っ飛ばして私は魔法研究所に入っていった。
「ん?なんか騒がしいな……ってまたお前かよ!扉を壊すなと何度も言ってるだろ!」
「えーだってさっき普通に開けようとしたらガタガタして開けにくかったんだもん」
「それはお前が何度も壊すからだろ?!」
相変わらずうるさいおじさんが奥から出てきて扉の残骸を見ている。
「前より耐久力を高くしたはずなんだがこれは完全に使い物にならねぇな」
「そんな褒めても食べ物しか出ないよー?」
「褒めてねぇよ?!」
前と違って扉を完全に使い物にならなくしたことを褒めてくれたのかと思ったけど違うらしい。
「おじさんもご飯食べる?美味しそうなもの沢山買ってきたんだー」
「おい、勝手に机の上を片付けるなよ……」
なんか机の上に謎のアイテムやら素材やらが散らかっていたから適当に退けて沢山の食べ物を取り出した。
おじさんも文句を言いつつ私の隣に座って待機している。
「確かに美味そうなものもあるが……これは大丈夫なのか?」
おじさんが手に持った食べ物は串に突き刺さったムカデ。
「ん?良い匂いしたから買ってみたんだけど……?見た目はムカデだね」
私は別にゲテモノだろうがなんだろうが美味しそうなら食べれるから特に気にしなかったけどおじさんはダメな感じ?
後であるふぁさん達にもあげようと思ったんだけど。
「俺は職業柄なんでも食べるから大丈夫だかお前もいけるんだな」
おじさんはそう言ってムカデに齧り付いた。
「おおっ!確かに美味いな!」
ムシャムシャボリボリとムカデを平らげていた。
私もムカデやらカエルやらを食べる。
ちゃんと普通のお菓子とかもあるよ!
「そうそう、おじさんにちょっと相談したいことがあって……」
「なんだ?また何か素材が足りないのか?」
「ううん、違う。ついさっきめっちゃ強い悪魔にあってさー」
「ごほっごほっ!はっ?悪魔?!」
悪魔という言葉に驚いたのかおじさんが飲み物を飲もうとして咽せていた。
「普通の悪魔は倒したことあるんだけどあの悪魔はめっちゃ強くて勝てないんだよね、何か案ある?」
「普通は悪魔と出会うことなんてそうそう無いんだが……お前の行動は意味分からんからそんなこともあるんだろうな……」
完全に呆れた顔で私のことを見てくる。
そして飲み物を一飲みして落ち着いてから話を始めた。
「悪魔か、1番有効的なのは天使をぶつけることだろうなぁ。例え勝てなくとも弱体化させることくらいは出来ると思うぞ、ただ天使が弱すぎたり悪魔が強すぎると恐らく無理だな」
じゃあ並大抵の天使さんじゃ勝てないじゃん……!
「うーん、天使さんに知り合いがいるからちょっと頼んでみようと思ったんだけど無理そうだなぁ」
「お前、天使にも知り合いいるのかよ……」
あの天使さん、弱ってたっぽいし無理だよね。
今の私なら勝てそうだし。
「他にも対悪魔装備とかアイテムがあるがまあ強い悪魔には効かんだろうな、倒すならお前自身が強くなるしかない」
「あんまり時間が無いからなぁ」
制限時間は戦争が始まるまで……ちまちまとレベル上げする時間はないだろう。
「ま、仲間でも集めて数で押せばなんとかなるかもよ」
そういえば仲間と一緒に来ちゃダメとかアスタロト様は言ってなかったね、私1人じゃなくても良いのかな?
こう言う時はヘルプに聞くのが1番、正確には運営さんへのメッセージみたいなもんだけど。
「どうせ私のこと見てるんでしょ?1人以外でも挑めるの?」
「っ?何言ってんだ?」
いきなり天井に話しかけておじさんが不思議そうに私を見てくるが無視する。
『仲間を連れても玉座の間に行けますが城に入るには"身分証Lv3"が必要です』
ほらすぐに返信きた。
一緒に戦えるのは身分証Lv3を持っている人だけね……ってそんな貴重なの持ってる人いる?
そもそも身分証Lv2を持っている人が決勝トーナメントまで勝ち残った人だけなのに?
「おじさん……多分、1人で戦うことになりそう」
「お前、そんなに友達いないのか……俺と同じだな――」
なんか勘違いしてるけど私は少なからず友達はいるからね?そしておじさん、友達いないんだ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます