第144話 再戦の約束
「これ以上の戦いをするとわたくしはこの姿を保っていられなくなりそうなので"本気"の戦いはまた後日にしましょう」
ええ……もうこのアスタロト様と戦うの勘弁してほしいんだけど。
いや、負けイベントといえばあの名もなき悪魔の時もあったね。私は勝っちゃったけど負けイベントなら何か弱体化させる方法があるはず。
あの時は天使の涙を……って私、そういえば天使の涙使ってなくない?!すっかり忘れてたけどこれ使えばアスタロト様に勝てたりする?
でも本気を出したアスタロト様とか天使の涙を使う前に殺されそうだし無理かな。
「そうですね……再戦はわたくしの城でやりましょう」
「はい?お城?」
お城ってずっと見えてるあれかな?多分、魔帝国のど真ん中にあるやつ。
「わたくしは玉座の間にいますのでご自由に来てください、兵士などが襲ってくると思いますが玉座の間にさえ来てしまえば不問としますよ?捕まった場合は知りませんけどね」
つまり捕まらずに襲ってくる兵士さんを蹴散らしながら玉座の間にこいと言うことね。
『クエスト"対決!皇帝アスタロト"が発生しました』
『このクエストはキャンセル出来ません』
『クリア条件……皇帝アスタロトとの戦いに勝利する』
『期間……天魔戦争が始まるまで』
『このクエスト中は街中でもダメージを受けますがログアウトは出来ます』
「……気が向いた時に行きます」
「楽しみに待ってますね、あとこれはいきなり戦いを挑んだお礼として受け取ってください」
アスタロト様はそう言って私に何かを渡し、すぐに瞬間移動か何かでどこかにいなくなった。
「めっちゃ街の人に見られてるしどっか人気のない場所に移動しよ……」
私はすぐにどこかの路地裏のような場所に入った。
「ここなら誰もいない……かな?」
そういえば何か渡されてすぐにアイテム欄に入れちゃったけど何渡されたんだろう……?
身分証Lv3
あ、これ身分証だ。それも最高ランクのやつ。
「これがあればどのお店も入れるんだったよね?美味しそうなもの沢山買っちゃお」
あるふぁさん達の方は大丈夫かな?何か進展があればメッセージを送るって言ってたし何もないってことは大丈夫だよね。
「よーし!美味しそうなもの探しちゃお!」
早速、私は美味しそうなものを探してこの魔帝国を回った。
「やっぱ色んなところにクエストがあるね」
謎の肉とか黒いお菓子とか色々と食べて回っていた私、少し回った程度でも何個かクエストを見つけていた。
お使いクエストだったり、素材集めクエストだったりあったんだけど『現在受けているクエストが終了するまでこちらのクエストは受けられません』って言われた。
「やっぱりちょくちょく人の視線を感じるんだよねー、絶対あの戦いのせいだよ!」
この国の皇帝と戦っている姿を大勢の街人に見られたからか既に私はこの国で有名になってしまったらしい。
だって「アスタロト様と対決した方ですか?!握手して下さい!」って街の人に言われたし……。
少しだけ話を聞いたんだけどアスタロト様は気に入った人にはすぐに戦いを挑んだりするらしい、戦いを挑まれること自体が名誉だとかなんとか。
「沢山の食べ物買ったし食べ歩きするには視線が多すぎるからどこか落ち着ける場所で食べようかな」
落ち着ける場所といえばあの場所でしょ!
ということで私はとある場所に移動していった。
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