第141話 物騒なこと言ってる
道中ミニデビルしか出てこなかったから適当に相手しつつ魔帝国に向かっていた。
「ん?なんか黒い壁のようなものが見えてきた」
よく目を凝らして見てみる……あれは城壁?今までの街の城壁とは比べ物にならないくらい立派な城壁じゃん!
なんかあれだけ立派だと壊せるのか試したくなるなー。
「それにしても黒いね」
悪魔を信仰しているからなのか城壁が真っ黒だった、この様子だと天王国の城壁は真っ白かな?
だんだん城壁に近づいていくと城壁の高さと豪華さが目に見えて分かった。
そして大きな門の前に兵士さんが立っているのが見える。
「門が閉まっているし兵士さんに話しかけないと入れないよね?」
本気を出せば城壁を飛び越えられる気がするし壊せそうな気がするけどそんなことしてバレたら絶対捕まる。
基本、街の兵士は無敵って訳じゃないけどプレイヤーが倒せないくらい最強だからやめておこう。
「お、旅人か。珍しいな」
兵士さんの鎧も所々の装飾以外真っ黒だから強そうだね。
「こんにちは!入っても良いですか?」
「もちろんだ、魔帝国は旅人を歓迎するぞ」
なんだ、すんなり通してくれるんだね。
ここを通りたければこの俺を倒して――みたいなのちょっとだけ期待してたから少し残念。
そんなこと思っていたら普通に目の前の大きな門が開いた。
「そういえば短期兵士を募集しているらしいから興味があれば入団試験を受けてみろよ、兵士になれれば身分証が貰えるしな」
「短期兵士?身分証?」
この国の兵士になるってこと?あと身分証は持ってるね。
「近々、隣国の天王国に戦いを仕掛けるみたいでとにかく戦力が欲しいらしいぞ。身分証は銅、銀、金の種類があってそれらを持っていないと通れない場所や店によっては入店拒否されるから気をつけてな」
「分かりました!ありがとうございます」
私の身分証は銀色だから別に平気そうだね、金色にはどうやったらなれるんだろう……。
『街で沢山のクエストをこなすと身分証の位が上がります』
兵士さんに聞こうと思ったらヘルプが教えてくれた、いつも急に説明してくるよね。
まあ、美味しい食べ物を買いたくても買えないとか嫌だし出来るだけクエストをこなしていこっと。
私は開いた門をくぐって街中に入っていく。
「おお、家も黒い」
所々に装飾が施されているから真っ黒ってわけじゃ無いけど基本黒い。
そして目に見えて治安が悪いと言うこともなく普通に屋台とかで賑わっていた。
「黒いってこと以外は今んところ普通の街だね」
住民の人たちの服装も至って普通、悪魔を信仰しているとは思えないね。
「キャー!アスタロト様!」
「アスタロト様〜!」
ん?なんか騒がしいね。
様子を見に行ってみると禍々しいオーラを纏った女の人……?が騒ぎの中心にいた。
沢山の兵士がアスタロト様?を囲んで住民の人たちを近づけないようにしているようだった。
「なんかあのオーラ見たことあるような……」
ついさっき見た気がする――ってああ!名もなき悪魔が纏っていたオーラに似てる!
もしかして悪魔……?悪魔を信仰している国だし悪魔がいてもおかしくはないのかな?
「皆さん、聞いてください」
なんか演説みたいなの始まったんだけど何が起こるんだろう。
「ついにあの憎き三大天使を滅ぼす時が来ました」
なんか物騒なこと言ってるー!
住民の人たちもなんでそれで盛り上がってるの?!
「日時は一週間後、天王国に宣戦布告をします」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます