第136話 レイドボスの正体

「それでレイドボスってどんな奴なの?」


私は気になったのであるふぁさんに聞いてみた。


「名前は"名もなき悪魔"と言うのじゃ、見た目は……決勝戦でラビリルが使った悪魔になるスキルにめっちゃ似てたのじゃ」


ちょっと待って……?名もなき悪魔?!あいつレイドボスで出てくるの?!


「あーあの悪魔っ子ラビリルね、ラビリルは同じ悪魔同士?仲良くしてみたらどう?」

「なんか悪魔のことを知ってる顔してるよね、あれ」


すぐに動揺がバレてしまった。


「詳しくは言わないけどあるクエストの特殊条件で"名もなき悪魔"と戦ったよ、あの悪魔になるスキルはそいつに勝って手に入れた」

「なんじゃとー?!あの激強悪魔に1人で勝ったと言うのかー!」


あるふぁさんが私の身体をガックンガックン揺らしまくる。


「なんだ、じゃあラビリルがいればレイドボスなんて楽勝じゃん」

「やったー!苦戦しないってことは仲間達を吸収しなくて済むってことじゃん!」


あるふぁさんには揺らされまくり、ベルテとスノーピンクは喜んでいた。


モブさんは……ベルテとスノーピンクの椅子になってる。


「いや、私と戦った奴とは違うかもだし油断してたら負けちゃうよ」


よく考えてみたらあの悪魔と魔法使いは相性悪いしあるふぁさんが勝てないはずだよ。


相性が良かった?私でスコーンやパラの力を借りてギリギリだったもん。


今回のパーティで前衛出来るのが私とモブさんしか……どれくらいステータス上昇するか分からないけどユニークスキルを使えばベルテとあるふぁさんもいけるか、スノーピンクもチート魔法あるしなんとかなるでしょ。


あれ?意外と余裕じゃない?


「とにかく戦ってみるのじゃ、負けたら負けた時に考えれば良いのじゃ」


そんな感じで5人はレイドクエストに挑戦するためにボスゲートへと入っていった。


「あれ?レイドボスいなくない?」


最後に入ってきたベルテがそう言う。


確かにいつもと同じようなボス部屋なのに私たち以外なんにもいない。


「気をつけるのじゃ……あの魔法陣から出てくるのじゃ」


あるふぁさんが指を指す方向に魔法陣が見えた。


私が戦った名もなき悪魔も魔法陣から出てきたもんね。


そんなこと思っていたら魔法陣が光り始めた。


「《変身》《自分魔法領域》」


スノーピンクが変身し始め、結界を張る。


「うわぁ、本当に悪魔だね」


名もなき悪魔 Lv60


前戦った時はレベル差で警告が出てきたけど私のレベルが上がったからかレイドクエストだからか警告はなかった。


「またお前、俺に挑んできたのかよ」

「何度でも挑んでやるのじゃー!《ファイアボール》×10」


あるふぁさんが先制攻撃をして魔法を悪魔にぶつける。


「《簡易結界》」


悪魔は手をかざして半透明の壁を出現させ、あるふぁさんの魔法を全て防いだ。


「《壊れろ》」

「お、これを一撃で壊すとか意外と良い奴がいるじゃねぇか」


いつのまにか悪魔の目の前にある半透明の壁まで向かっていたスノーピンクが壁を破壊した。


「《動くな》」

「ん?身体が――」


そしてそのままスノーピンクが悪魔に触れつつ魔法を使う。


「よし!《ファイアボール》」


身体が動かなくなった悪魔にスノーピンクが至近距離で魔法をぶっ放した。


「おっ!やったか!」

「いやベルテ、それフラグ」


シュンッ――


「の……」

「魔法少女〜!」

「フラグでしたね」


凄い勢いでスノーピンクが私の横を通って吹っ飛んでいった。


というかあるふぁさんを巻き込んで吹っ飛んでいったんだけどあの悪魔狙って飛ばしたでしょ。


「多少動きにくくなったがそれだけだな……さて、次の相手は――」


悪魔が私を見てポカンとした顔をした。


「なんでお前がいる?!」

「それはこっちのセリフだよ!なんで悪魔がレイドボスしてんの!」


今の反応で完全に私が戦った悪魔と同一人物……同一モンスター?であることが判明した。

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