第130話 いえ、違います

現実での呼び出しは紗由佳からだった。


「モモ〜宿題の課題教えてぇぇ!」


なんかゲームとか遊んでばっかりでスマホとかその他もろもろ全部取り上げられたらしい。


明日提出の重要な課題が終わらず私に答えを教えてくれって連絡して来た。


連絡する為に一時的にスマホを返して貰ったけど電話中ずっと後ろで見張られてるらしい。直接答えを教えてと言えず曖昧な感じで教えてと言ってくる。


「分かったよ、スマホ取り上げられるなら答えを送ることも出来ないよね?明日早めに学校行って写す?」

「ありがとう!じゃあまた明日!」


本当にすぐに電話切ったね、紗由佳のお母さんって怖いのかな?私のお母さんも最近怖いくらいめっちゃ優しいんだよ。


「ベルテに連絡してすぐにログインしよう」


私はすぐにログインしてベルテが待っているボスゲートに向かって走った。


「ごめん、お待たせ」

「お、ちょうど良い感じなタイミングだね!」

「もぐもぐ……」


ベルテが手を振って場所を教えてくれたおかげで列のどのくらいにいるかすぐに分かった。


そしてスノーピンクはなに食べてるの?焼き魚?


「あげないよ?!」

「いや人の物は取らないから!」


そんなに物欲しそうに見てた?!


「ラビリル……そんなに焼き魚欲しいならあげるから人の物は取らないでね?」

「だから取ってない!」


悲しい目で私を見てくるベルテ、そしてベルテから焼き魚がプレゼントされた。


貰えるなら貰えるけどなんか納得いかない……あ、美味しい。


焼き魚が美味しいからまあ良いか。


ちょうど焼き魚が食べ終わったくらいで私たちの番まで回って来た。


「ラビリルが頼りだからね」

「応援してる」


今回、2人は無力だから2人の分まで頑張らないと!


私たちはボスゲートの中へと入っていった


「次の挑戦者が来たか……」


マッスルマン Lv30


ガチで凄い筋肉の人が現れたよ。


「ヒョロっちい奴が3人、楽勝だな」


いきなり煽ってくるね?!


よく分からないポージングみたいなのしてるのがさらにウザさを増幅させている。


「ねえ、やっぱり生き埋めにして良い?」

「気持ちはわかるけどダメ」


ダメかー。


そんなこと思っていたらスノーピンクが殴りかかっていった。


魔法が使えないはずなのに大丈夫なのかな?


「ああああああ!」

「魔法少女ー!」


殴り飛ばされて戻ってきた。やっぱりダメだった。


「ハハ!やはり弱っちいな!俺の鉄壁な筋肉の前には刃物すら通らないぞ!」


あ、剣とか通らないんだ。いやでも他のプレイヤーとか剣で倒しているっぽかったし普通に刃物通るんじゃない?


「よっと」


短剣をマッスルマンに投げてみた。


「ふん!そんな小さな武器で俺の筋肉が――」


マッスルマンは短剣を避けずに自ら当たりにいった。


そして短剣は腹筋の場所にグサリと刺さった。


「なんだ、刺さるじゃん!」


そうだよ、ドラゴンの鱗も貫いた短剣が筋肉如き貫けるに決まってるじゃん。


「プッ!ダサ」


吹っ飛ばされてボロボロなスノーピンクが嘲笑う。


「そんな……俺の筋肉が通用しないなんて」


マッスルマンは短剣が刺さったまま膝をつき項垂れる。


なんか短剣刺さってるのに元気そう。


「そこの短剣を投げた少女、謝罪する。俺の筋肉を貫ける威力で短剣を投げられるという事はそれほどの筋肉を持っているということ。今の俺には貴方と拳で戦う実力はない……今度戦う時までには貴方に近づけるように更なる鍛錬をして筋肉を鍛えることとしよう」


いえ、違います。この短剣が素晴らしい切れ味なだけです。


私にそんな筋肉はないのに勘違いがすぎる。


「ではさらばだ!」


マッスルマンはそう言って消えてしまった。


『"マッスルマン"を討伐しました』


短剣を投げただけでボスを倒せました。

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