第129話 誰でも生き埋めは嫌だ

「それでボスってどんなモンスターなの?」


聞いていなかったからボスゲートに行く途中にボスについてベルテに聞いた。


「なんかね"マッスルマン"とかいうふざけた名前でひたすらに筋肉を自慢してくるモンスターだよ、魔法使いはヒョロイとか言って煽ってくるの」

「あんな奴……魔法が使えれば!」


うわ、うざそう。


「そういうことなら私がボッコボッコにしてなんならボス部屋をぶっ壊して生き埋めにしてあげるよ」

「「それはやめて!」」


生き埋めをするのはダメらしい、2人が仲良く私を止めようとしてきた。


「ボス部屋壊したら私たちも生き埋めになっちゃうじゃん!」

「えー、まあそうなったらボスと私たちどっちが先に力尽きるかの体力勝負って事でなんとかならない?」


ポーション飲める状況なら絶対に勝てると思うんだけど。


「普通に!普通に倒そう」

「日に日にアップデートで建造物の調整が入るの絶対ラビリルのせいでしょ……」


なんか2人とも私のことを呆れた目で見てくる。


「そんなに言うなら普通に倒すかー」


生き埋め作戦はもっと強敵が現れた時にしよう、多分一回使ったら修正されると思うし。


ホッとした様子の2人、そんなに生き埋めが嫌だったんだ。


「あ、ボスゲートが見えて来たよ」


ベルテが指を指す方向にボスゲートが小さく見えた。


あとボスゲートの周辺に結構な数のプレイヤーも見える。


「意外と並んでるんだね、カニは誰もいなかったのに」

「前衛職のプレイヤーには倒しやすいボスだからね、ボスは素手だし」


ああ、筋肉自慢ボスだから素手なんだ。剣とかだと倒しやすいんだね。


「カニの方はボスゲート周辺で集まってると湖の小魚が飛んで襲ってくるんだよ、プレイヤーが多ければ多いほど」

「なるほどね、2人はどうやって飛んでくる小魚を防いだの?」


私には飛んで来なかったけど指を噛まれたんだよね、意外と痛かったなぁ。


「サフィの耳なのか鼻なのか分からないけど事前に察知して魔法で撃墜してくれたよ」


なるほど!動物系のモンスターならそういうのが出来るんだ!


「《私に近づくな》で勝手にどっかいったよ」

「あ、うん」


スノーピンクの方は相変わらずチート魔法だった、本当にズルじゃん。


「ズルイって顔してるけどあの小魚は1体1体が雑魚だったからいけただけで普通のモンスターとかプレイヤーは無理だから!」


そんなもんなんだ、それでも強すぎると思うけど。


『現実で呼び出しされています』


ボス戦の列に並びながら雑談しているとなんか初めて見る通知が表示された。


ん?現実で呼び出し?お母さんが私のことを呼んでる?


「ごめん、ちょっと呼び出しされちゃったからログアウトするね。すぐ戻れるか分からないからすぐ戻れなさそうなら連絡するよ」

「おけー、ダメそうだったら明日お願いね!」


私は2人に謝ってからすぐに街に戻ってログアウトした。


・・・

・・


「ラビリル行っちゃったね、2人じゃ勝てないし一旦列から外れようか」

「うん」


私と魔法少女は列から外れて飲み物とか飲みながらラビリルの連絡を待つことにした。


「ねえ、ちょっと良いかな?」


よく分からない2人組の男の人に話しかけられた。


「はい?なんですか?」

「ベルテさんとスノーピンクさんだよね?2人とも魔法使いなのに魔法禁止エリアのボスゲートにいるって事は困っているんじゃないかと思って話しかけたんだ、これから俺たち2人で攻略する予定だったんだけど一緒にどう?」


この人たち一瞬だけ私の足とか胸とか見てるの気づいてないと思ってるのかな?下心ありありじゃん。


「ラビリルが来るからお前らは要らないしー」


魔法少女もいやらしい視線に気付いたのか攻撃的な発言をする。


「ラビリルか、それでも1人で2人を守りながら戦うのはキツイんじゃないか?」


ラビリルという言葉で一瞬男たちは躊躇ったような態度を示すがそれでも私たちと一緒に攻略がしたいらしい。


有名になるとこういうことがあるから面倒くさいね、ラビリルはどうやって避けているのか後で聞いてみよう。


「なんか生き埋め作戦をするらしいけどそれでも良い?」

「生き埋め……?」


私の言っていることが理解出来ていないみたい。


「ラビリルがボス部屋を破壊してボスもろとも潰れるの」

「ラビリルらしい作戦だよね、ボスと体力勝負だって言ってた」


魔法少女も私の言いたいことが分かっているみたいで続けて言ってくれた。


「こ、今回は遠慮しておくよ」


男たちはそう言ってどこかへ行った。


まあ、誰でも生き埋めなんて嫌だもんね。

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