閑話 熱が出た

「おーい!百、一緒に学校いこ!」


いつものごとく紗由佳が後ろから走ってくる


「うん……」


紗由佳が私のゆっくりと歩くペースに合わせて隣で歩く。


「いやー、昨日の百の戦い!凄かったね!なんていうかカッコよかった!」

「うん」


なんか頭がボーとするな……。


「今日の夜は暇?一緒にゲームしようよ!」

「うん」


若干、足元がふらつく……寝不足かな?


「……百?なんか様子が変だけど大丈夫?体調悪い?」

「寝不足ってだけだよ、大丈夫……」

「大丈夫なら良いんだけど……」


紗由佳……心配してくれるのはありがたいんだけど隙あらば勝手に手を握ろうとするのはやめようよ。


結局、私は紗由佳にあらがう気力もなく手を繋ぎながら学校に向かった。


そしてお昼休憩の時間になった。


「百!一緒ご飯食べ……って顔赤くない?」

「そ、そう……?」


なんか頭が痛くてふらふらする、休憩時間に寝たんだけど全く今の体調は回復しなかった。


自分でおでこを触ってみるが熱くないし熱はない……と思う。


「いや、熱っ!百の手、めっちゃ熱いよ!熱あるって!」

「本当?」

「とりあえず保健室行こ!」


私は紗由佳に保健室に連れて行かれた。


「紗由佳ちゃん?保健室に来てまたサボりにきたの?ダメよ?」

「神野先生!私じゃなくてこの子!」

「えっ?大変!顔真っ赤じゃない?!」


紗由佳ってよく保健室行くなと思っていたけどサボりに来てたんだ……。


私は保健室の先生にベッドで寝かされて熱を測った。


「38.8度あるじゃない?!よくその熱で授業うけれたわね……」

「あはは……」


私、そんなに熱高かったんだ。


「親御さんってお家にいる?連絡して迎えに来てもらうから」


お母さん、確か今日は仕事だったっけ?心配かけたくないなぁ。


「仕事でいないと思います」

「そっか、1人で帰らせるわけにもいかないし……」

「はいはいはーい!私が百の家まで送るよ!」


いや、紗由佳は授業あるじゃん。


「それサボりたいだけじゃ――まあ、私が担任の先生に話しておくから送ってきて良いわよ、百ちゃんの親御さんにも連絡しておくわ」

「やった!」


結局、紗由佳に家まで連れられて帰ってきた。


「紗由佳、送ってくれてありがとう……私、ちょっと寝るね」

「待って待って!制服のままで寝たらシワになっちゃう!何か着替えた方がいいよ」

「それもそうだね……パジャマに着替え――」

「百?!」


急にフラッと足がもたつき膝をついた。


「ああ!もう、服ってこのタンスの中?ごめん、中見るからね」

「2段目に……パジャマがある、よ」


想像以上に身体が動かない、また熱が上がったかな……?


「あった!これだよね?自分で着替えれる?」

「うん、ありがとう……」

「じゃあ、部屋から出るね……」


バタンと扉を閉めて紗由佳は部屋から出ていった、てっきり着替えをガン見してくるのかと思ったけど私が熱出てるって分かってから全く襲おうとしないね。


私はすぐに制服からパジャマに着替えてベッドに寝転がった。

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