第108話 待ち時間の休息

少しの間、休憩時間が入り次の試合が始まろうとしていた。


「さー続けていきましょう!第八回戦、モブVSスノーピンクです!両者を専用マップに転移します!」


ついにあの魔法少女が戦うところが見れるね、じっくり見てよう。もし勝ち上がってきて私と戦うことになったら全力でボッコボコにぶっ潰してあげる。


あの専用マップなら逃げられないからね。


「あの自称魔法少女、ラビリルに勝った勝った言っていた子じゃん。誰も信じてないけど」

「言っとくけど負けてないからね!勝ってもないけど」


ベルテがどこからか買ってきた肉まんを食べながら話してくる、美味しそう私も食べたい。


「……あげないよ?誰かさんに負けたせいで私、金欠なんだから」

「いや、人のものは取らないから!」


私、そんなに物欲しそうな顔してた?


「はぁ、そんな顔されちゃあげたくなるよ。ほら1つあげる」

「え、あ、ありがとう」


なんか肉まん貰っちゃった!やったね。


2人で肉まんを食べながら観戦する。


「こうして食べてる姿を見ると可愛い中学生の女の子って感じなのになんで戦う時はああなっちゃうかなぁ……」

「なんか酷い言われようだよ……」


ベルテが私の頭をポンポンと優しく撫でる。


「プレイヤーの紹介をします!アルテナ選手を倒し勝ち上がってきました!モブ選手です!ところで何故か怒っている気がするのは気のせいでしょうか?」


確かにいつもオロオロとしてて何もしてないのに謝ってくるのに今は最初から双刃剣を持ってスノーピンクに向けている。


そして凄く凛々しい顔?をしてスノーピンクを見ていた。


「あの残念美少女の最推し、ラビリルらしいからラビリルのことを何か言われて怒っているのかもね」


なんで私なんかを推してるの……?


「続いて街の広場で大声でラビリル選手に勝ったと叫んでいました!スノーピンク選手です!本当かどうか私自身が予選の戦闘ログを確認したところ負けていないだけで勝っていないです!」


魔法少女はドヤ顔していたのにさっきの紹介でずっこけてしまった。


「なんか肉まん食べてたら喉乾いてきた……ラビリル、飲み物持ってない?」

「美味しい水ならあるよ、ペットボトルのやつ」

「水は気分じゃないなぁ」


何個肉まん買ったの?ってくらい沢山食べてたもんね。


「なんじゃ、良い席が空いていると思ったらラビリルがいたのじゃな」


街の広場には沢山の座る場所が用意されていて自由に座ることが出来るけどモニターが見やすい私が座っている場所の辺りは何故かプレイヤーが少ない。


ちょっと前まではこんなに少なくなかったんだけどやっぱりパラのせい……おかげ?なのかな?


「なんか美味しそうなジュース飲んでるね」


ベルテがあるふぁさんの飲んでいるジュースを見ている。


「……やらんのじゃ、自分で買ってくるのじゃ」

「えーこの中で1番の年上なんだから良いじゃん!大人な対応してよ!」

「わ、我は大人じゃないのじゃ!ピッチピチな小学生なのじゃ!」


小学生はピッチピチとか言わないと思うよ……。


「じゃあお金ちょうだい!肉まんあげるから!」

「どれだけ肉まん買ったんじゃ!」


どさどさとベルテの手から肉まんが溢れてくる。


金欠って言ってなかったっけ?


「仕方ないの、2人分の飲み物代やるから2人で買ってくるといいのじゃ」


ぽんとあるふぁさんがベルテにお金を渡す。


「やった!ラビリル、買いに行ってきて!」

「なんで私?!」


そこはベルテが私の分まで買ってくる流れじゃん!


「肉まんあげたでしょ!良いじゃん!」

「年上……」

「うっ!」


私がボソッと言うとさっき自分で言った言葉を思い出したのか無言でジュースを買いに行った。


「さて、我らは肉まんでも食いながら観戦するのじゃ。ほれ、沢山貰ったからあげるのじゃ」


私とあるふぁさんは肉まんを頬張りながら観戦した。

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