第103話 似たもの同士

「勝った!勝った!いえーい!」


パラにもお礼を言いたかったのにもう帰っちゃったみたい。


「あれ?なんでこんなに静かなの?」


いつも誰かが戦っている時や誰かが試合から戻ってきた時も大盛り上がりだったのに周りの人達が誰も喋っていない。


「そりゃあ……あんなの見せられたらねぇ」


ベルテが恐る恐る私に近づいてきた。


「良かったわ〜私、爆発で済んで。ラビリルを追い詰めたら大変なことになっていたよ」


どうやらみんなさっきの戦いで怯えているらしい。


「パラに怯える事ないのに……こんなにも可愛いんだから!」


私はパラを召喚して持ち上げるとみんなに見せびらかす。


それなのにみんなは一段とパラから離れてしまった、というかベルテまで離れている。


「……流石にそれを可愛いと呼ぶのはラビリルだけだと思うのじゃ」


様子を見ていたあるふぁさんが私の肩をポンポンと叩きながら慰めに来てくれた。


「そうかなぁ……あるふぁさんも良く見たら可愛いって思えてくるよ!なんなら触ってみても良いよ!」


私はあるふぁさんの前にパラを差し出す。


「そうじゃな、どうやら大人しそうじゃし触ってみるのじゃ」

「どうぞ、どうぞ!」


あるふぁさんは恐る恐る手を伸ばしてパラに触れた。


「おおっ!これは癖になる手触りじゃな、ゴムのような弾力があるのじゃ」


あるふぁさん分かってんじゃん!


「しかしやはり見た目が不気味じゃからのう……」

「そんなこと言ってずっと触ってるじゃん!本当は可愛いんでしょ?」

「いや、それはない」


真顔で即答された、ときどきあるふぁさんの素が現れるね。


そんなこと思っていたらパラが口を開け始めようとしていた。


「それにしても良い手触りじゃな」


あ、これ……あるふぁさん気づいていない。


「あるふぁさん離れたほうが――」


残念ながら私の言葉より先にパラが動き、あるふぁさんの手をパクリと咥えてしまった。


「あああ!油断したのじゃああ!」


あるふぁさんは手をブンブン振り回すがパラは離さない。


「ラビリル!命令で我の手を食べるのをやめさせるのじゃ!手を食べられる感覚が……」

「あーパラって私の命令、無視するから無理だね!あるふぁさんどんまい!」


そんな嘘でしょみたいな顔されても本当の事だからね。


「なら一度送還するのじゃ!」

「ああ!その手があったか!パラ、ごめんね」


私はパラに謝りつつ送還するとちゃんとパラはいなくなった。


食事中のところ悪いね。


「はぁ、はぁ……指が数本持ってかれたのじゃ」


確かにあるふぁさんの指が数本、ちょっと欠けていた。


「狂気的なラビリル同様に狂気的なキノコなのじゃ……見た目が大人しそうなのもラビリルと一緒なのじゃ」


パラのせいで私まで狂気的とか言われたんだけど!

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