第102話 エスクードVSラビリル4

「これはラビリルの仲間モンスターか!」


パラは私を守るように立ちエスクードさんに少しづつ歩いて向かう。


そして口を開けながらエスクードさんの腕に噛み付いた。


「うおっ!噛みついてくるのか!」


エスクードさんは引き離そうとブンブン腕を振り回すがパラはずっと噛みついて離さない。


「いけー!パラー!」


流石のパラでもスロースタートは使える状況じゃないしユニークスキルを使ってめっちゃ強くなっているエスクードさん相手はきついはず。


「何?!身体が浮かんで……?!」


なんとパラはエスクードさんに噛みついたまま宙に浮かび始めた。


あれは飛翔じゃん!そういえば奪われていたんだった。


パラはエスクードさんを連れてどんどん空高く飛んでいく。


そして10メートルくらいの高さでパラはエスクードさんを離した。


「ぐわああああ!」


エスクードさんは地面に吸い込まれるように落下していった。


そしてパラもコテンと落下していった。


エスクードさんが倒れている間にパラが私の方に転がってきて回復粉を撒き散らした。


「お、足治ったー!パラ、ありがとー!」


これでまた戦える!


「部位欠損すら治す回復スキルを使えて俺の攻撃を弾く防御、そして空を飛ぶとかずるくないか……?」


エスクードさんが立ち上がり私とパラを見てくる。


「パラは最強だからね!いけパラー!パラ?」


あれ?パラがいない。


さっきまで隣にいたはずのパラがいなくなっていた、そして何故か私の短剣が落ちている。


もしかしてもう帰っちゃった?!


そう思っているとエスクードさんの様子がおかしいことに気づいた。


「身体が……これは麻痺か」


完全に動いていないわけではないがエスクードさんの動きが凄く鈍くなっていた。


そしてエスクードさんの後ろには麻痺粉を撒き散らすパラがいた。


あ、これ……エスクードさんの武器転移奪って転移したね。


パラは武器持ってないから私が装備している武器と転移したらしい。


「とにかくチャンス!くらえー!」


私は隣に落ちている短剣を拾ってエスクードさんに向かって攻撃する。


「ガハッ!」


エスクードさんはなんとかしようとするも身体が上手く動かず攻撃を受けてしまった。


さらに私はエスクードさんの腕を切って、パラは足に体当たりをして転ばせる。


「凄いコンビネーションだな……」

「最近は腕を食べさせてるから良い子なんだよ!」

「腕……?」


エスクードさんは私の言葉に困惑しているがまだ戦いは諦めていなさそうだ。


ちなみにパラは切り落としたエスクードさんの腕をもぐもぐと食べていた、一体なんのスキルを奪うつもりなんだろう……。


「一旦離れるか……《武器転移》」


エスクードさんはこの場から離れる為に武器転移で遠くの方に落ちている大盾と入れ替わろうとしていた。


「……何故、武器転移が使えん?」


あーまた武器転移奪ってたんだね……。


「ってうわ!びっくりした」


なんと急に私が持っていた短剣が無くなってパラが現れる。


そして大きく口を開けてエスクードさんに飛びついた。


「くそっ!まだ麻痺が……やめ――」

「あー……」


パラはエスクードさんの顔からパクリと咥えてもぐもぐし始めた。


「――っ!――っ!」


パラの口の中で何かを叫んでいるのか叫び声のような何かが聞こえる、そして手足をバタバタさせてなんとか抵抗しようとしていた。


「そうだ!パラが食べやすいように手足を切ってあげよう!」


私はエスクードさんの切れていない片方の腕や両足をスパスパと切り落としていく。


「パラ、お食べ〜」


私はそのままパラがエスクードさんを食べるのを眺めていた。


「だ、第六回戦の勝者は……ラビリル選手です?いやこれあり?」


なんか変なアナウンスだったが勝ったようだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る