第96話 モブVSアルテナ1

「ひぃぃぃ!モブな僕なんかがアルテナ様の前に立ってすいません!すいません!」

「……どういう状況なのだ、これは」


アルテナは状況が分からず目の前の女の子が土下座している。


「試合は始まっているのだが……無防備な女の子に斬りかかるのは気が引けるな」

「ハッ!アルテナ様を困らしてはいけない……」


困っているアルテナに気づいたモブが立ち上がり剣を構え始めた。


「ふむ、ではよろしく頼む」

「よ、よ、よろしくくくお願いしゅうぅぅ!」


アルテナを前に緊張しているのかモブは噛みまくっている。


「そ、そうか……いつでも来ていいぞ」


いまいち調子が乗らないアルテナだったが剣を構えてモブがくるのを待っていた。


「で、では、行かせていただきましゅ!」


ついにモブが動き出しアルテナに攻撃しに向かった。


モブとアルテナの剣がぶつかり合う。


「良い攻撃だ」

「ありがとうございましゅうぅぅ!」


カキンカキンと剣と剣がぶつかり合う音が響く。


「ちょっと本気で行こうか《太陽剣》」


アルテナの剣が赤く燃え始める。


「熱っ!でもカッコいいぃぃ!」


燃えた剣とぶつかり熱気が直撃したのにも関わらずモブはキラキラした目でアルテナを見ている。


「こんな特等席でアルテナ様の戦いを見られるなんて本当に光栄でしゅ!」

「不思議な奴だな……」


モブの様子にいまいち調子が上がらないアルテナだが燃えた剣をモブに振りかざす。


すると炎の刃がモブに向かって飛んでいった。


「ふおおおお!炎の剣といえば飛ぶ斬撃ですよ!しかも速い!」


相変わらずモブは興奮しているが緊張は少し収まってきたのかだんだん噛まなくなってきていた。


「し、《シールドモード》」


モブは何かのスキルを使い、剣を盾のように構えて炎の刃を受け止めた。


「そしてしゅごい威力……シールドモードじゃなきゃ大ダメージでしゅた!」


やっぱり噛みまくっていた。


「これを受け止めるか……やるな、まだまだ行くぞ!」

「ありがとうございましゅうぅぅぅ!」


アルテナの方がモブの様子に慣れてきたようでアルテナはいつもの調子を取り戻しつつある。


アルテナは再度、炎の刃を飛ばしつつ自分も剣を構えてモブに向かっていく。


「僕も頑張りましゅ!《スピードモード》《ステップ回避》」


モブが先程とは比べ物にならないほど速くなりクルンと回り飛んでくる炎の刃を避けつつアルテナの攻撃を剣で受け止めた。


「俊敏は上がったようだが筋力は落ちているな?」

「スピードモードじゃ受け止められませんんん!」


モブはアルテナの攻撃を受け止めきれずに弾き飛ばされてしまった。


「はーふぅ……あんまり興奮しすぎてもね!アルテナ様に迷惑をかけてしまいましゅよね!」


吹き飛ばされたモブは起き上がった後に深呼吸をして一息つく。


「まだ私の事を様子見しているんだろう?本気じゃないのは分かるぞ」

「ひいぃぃ!様子見してごめんなさいぃぃぃ」


何故かモブはアルテナに謝り土下座をし始める、完全に無防備な状態だ。


「いや、謝らなくてもいいぞ。私も様子見だからな」

「はいぃぃ!ありがとうございましゅ!」


ぴょんと立ち上がりモブは頭を下げる。


「時間もあまりあるわけではない、お互い様子見では勝敗は決まらないだろう"太陽の光よ"」


アルテナが剣を空高く掲げるとアルテナの目がオレンジ色に光り輝く。


「か、カッコ良すぎる……はぁー最高だぁ」


モブは膝をつき手を重ねて祈るように変化したアルテナを見つめる。


「モブはしないのか?持っているんだろう……ユニークスキル」

「はいぃぃ!させていただきましゅうぅぅ!"愚か者に救済を"お願いしましゅ!」


モブもユニークスキルを使い、目の色が白く光り輝く。


「では始めようか」

「はいぃぃ!」

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