第95話 あるふぁさんはお怒り?

「いやー超危なかったのじゃ!」


帰ってきたあるふぁさんがホッとした様子で現れた。


「あるふぁさん、お疲れー!」


私は手を振ってあるふぁさんに挨拶する。


あるふぁさんも私に気づいてこっちに向かってきてくれた。


「おお、ラビリル。相変わらず元気そうじゃな――ところで我のユニークスキルの制限時間、誰にも言ってないじゃろうな?」

「い、言ってないよ?」


あるふぁさんがいきなり顔を近づけてきて私の耳元で言ってきた。


「それなら良いのじゃ、ユニークスキルを持っている事は大体の奴にバレているから別に良いのじゃが我の弱点がバレるとやばいからのぅ……特にさっき戦った闇に時間稼ぎされていたら終わっていたのじゃ」


確かに闇さんは魔法使い殺しみたいな感じだったね、アルテナさんが言っていた通りであるふぁさんと相性最悪だった。


「闇さん、凄く強かったね!」

「次戦ったらどうなるか分からないのじゃ」


そう言うとあるふぁさんがキョロキョロ誰かを探し始める。


「誰か探しているの?」

「闇とフレンド登録をと思ってじゃな、何処におるか知っておらんか?」


あるふぁさんは闇さんを探しているようだ。


「あー……あっちにいるよ」

「のじゃ?」


私が指を指した方向には闇さんがアルテナさんに抱きついて頭を撫でられていた。


「はいはい、負けたのは分かったからそんな悲しむな」

「……」


闇さんの顔は見えないけどもしかして泣いている?!


アルテナさんは闇さんをずっと撫でていた。


「よしよし……人に見られてるからってカッコつけずに次は負けないようにするんだぞ?」

「……」


まあ、アルテナさんに見られてるんだからカッコつけたくもなるよねー。


「完全に2人の空間が出来上がっているのじゃ……あれでは近づけん」

「まあ、第二回イベントが終わるまでいると思うしいつでも話しかける機会はあるでしょ」


私とあるふぁさんはあの空間に近づけず遠くで見守ることにした。


「チッ……リア充め――最初から本気でぶちのめせばよかったか」

「え……?あるふぁさん?!」


なんか急に舌打ちしなかった?ていうかあるふぁさんの目が心なしかユニークスキルみたいに光ってない?


「いや、なんでもないのじゃ。幼い我には分からない世界なのじゃ」


そう言ってあるふぁさんはどこかへ行ってしまった。


果たしてあるふぁさんは見た目通り幼いのだろうか……?私的には年上に思えるんだけど、ていうか普通に大人な気がする。


「続きまして第五回戦、モブVSアルテナです!お二人を専用マップに転送します」


あ、アルテナが転送されたから闇さんが取り残された……。


モニターの先には転送されたアルテナさんと怯えた女の子がいた、あの人がモブさん?かな?


「プレイヤーの紹介をします!まだ無名ですが予選を勝ち進んで来ました、モブ選手です!なんでそんな名前にしたのかは分かりませんが変な名前の人は多いので特に問題ないでしょう!」


紹介されたモブさんはずっとぺこぺこおじぎしている、あっなんか土下座し始めた。


「良い名前だ」

「なんだろう、凄い親近感が湧く」

「凄い応援したくなるぞ」


よく分からないけど他のプレイヤーはあの人を凄い応援している、アルテナさんよりも人気じゃない?


「続きまして第一回イベント4位の実力者!まさに聖騎士のようなカッコいい女性で私も憧れちゃいます!アルテナ選手です!」


キャーッと女の人の応援が多い。


私もアルテナさんはとてもカッコいいと思うしやっぱり人気あるよね、なぜかモブさんの方が応援人数的には多そうだけど。


「それでは第五回戦……開始!」

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