第92話 あるふぁVS闇1

「お待たせして申し訳ございません!続きまして第四回戦、あるふぁVS闇です!両者を専用マップに転送します!」


逃げ回っていたら次の試合が始まろうとしていた。


モニターを見るとあるふぁさんがカッコ良く杖を構えながら決めポーズしていて闇さんは……表情がほとんど見えないからよく分からないけどあるふぁさんを見つめているっぽい?


「プレイヤーの紹介をします!第一回イベント3位にして自称大魔道士である、あるふぁ選手です!なんで名前はひらがななのでしょう?正直私としては読みにくいですね!」


なんかだんだんと紹介が雑になってきてない?ほら、あるふぁさんが不服そうな顔になってるよ。


「ちびっこ頑張れ〜」

「相当キャラメイク頑張ったんだろうな」

「現実と背丈違うと感覚狂うのに良くやるよな」

「大魔道士らしい戦いを見せてくれよ!」


他のプレイヤーも応援しているのかしてないのか分からないよ、これ。


「続きまして第一回イベント8位である闇選手です!顔半分を隠しているので本人の表情が全く分かりませんが闇選手の幼馴染であるアルテナ選手に話を聞いたところ"闇は表情をコロコロ変えるし分かりやすい"とのことです!私は全然分かりません!」


確かに全然分からないね。


「今の闇の表情……あれは照れてるな」

「うわ!アルテナさん、いつのまに!」


気づいたら隣にアルテナさんがいた、びっくりした。


「脅かしてすまない。例の爆発で様子を見にきたらラビリルが逃げ回っているのが見えてな、ちょっと追いかけてみた」


追いかけられていたらしい、そして追いつかれていたと。


アルテナさんの俊敏、相当上がってない?


「ってそんなことよりあれ、照れてるの?顔半分隠れているのに分かるの?」

「少しだけ顔が赤いし目がキョロキョロしてるぞ」


うーん、そう言われるとそんな気がするけど正直分からないね。


「おい、分かったか?」

「ぜんっぜん分からん!」

「よく見ると確かに顔が赤いような?」

「なんで俺、男の顔を凝視してるんだろう……」


他のプレイヤーも分からないようだ。


「それにしてもあるふぁは最悪だろうな」

「何が最悪なの?」


紹介が雑だったからかな?


「あるふぁは闇と相性が悪すぎるんだ」


確かに近接武器相手じゃ魔法使いは相性悪そうだけど……なんかそういう感じじゃ無さそうだ。試合見たら分かるかー。


「それでは第四回戦……開始!」


・・・

・・


「……なんか我の紹介、雑なのじゃ」


しょんぼりとするあるふぁ、そして何を考えているのか分からない闇。


「お主もそう思わないか?」

「……そうだな」


闇はあるふぁが聞こえるか聞こえないかギリギリの声量で喋る。


「まあ、良いのじゃ。試合を始めるかの」

「……そうだな」


あるふぁが杖を闇に向ける。


闇も臨戦体制に入り短剣を手に持つ。


「いくのじゃ!《ファイアボール》×5」


ついにあるふぁが攻撃を始めた。


「お主の実力を見させてもらうのじゃ!」


炎の球が闇に向かって放たれる。


「……《魔断》」


闇はなんと短剣で全ての炎の球を切り裂いた。


「な、なんじゃそれはー!魔法を切るなんてずるいのじゃ!」

「……スキルだ」


闇は複数の魔法が飛んできたのにも関わらず全くの無傷である。


「いや、魔法を切るスキルなんてきっとクールタイムがあるはずなのじゃ!どんどん攻めるのじゃー!《ファイアボール》×10《ウォーターボール》×10」


先程とは比べ物にならない程の魔法を闇に向かって放たれる。


「……《影分身》《魔断》」


なんと闇の数が増えて全ての魔法を切り裂いてしまった。


「何ぃ!人数が増えたじゃと……!ならこれならどうじゃ!《ファイアアロー》×5《ウィンドアロー》×5《ウォーターアロー》×5」


今度は球よりも素早い矢の魔法が闇に放たれる。


「……《追い風》《魔反射》」


闇は先程よりも素早く動き、今度は素早い矢の魔法を短剣で全てあるふぁに向かって弾き返した。


「魔法を反射は反則なのじゃー!《ファイアアロー》×5《ウィンドアロー》×5《ウォーターアロー》×5」


あるふぁは弾き返された魔法に向かって同じ魔法を綺麗にぶつけて相殺した。


「はぁ、はぁ……」

「……もう終わりか?」


闇は短剣を構えながら疲れ果てたあるふぁに挑発をする。


「ぐぬぬ、まだまだなのじゃ!《ファイアアロー》×10」


杖を構えて魔法を唱えるが魔法は発動しない。


「のじゃ?《ファイアアロー》×10」


再び唱えるが発動しない。


「……あ」

「……どうした」


魔法が発動せずあるふぁが少し黙り込む。


そして口を開いて喋り始める。


「我、MP切れた!」


魔法使いにとって最悪の状況だった。。

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