第91話 ベルテは爆発しがち
「負けてしまった!ハーハッハッ!完敗だ!」
大笑いしながら猫の助さんが復活してきた。
「あ、猫の助さんお疲れ様!」
「おお、ラビリル!見てくれていたのか!」
すぐに猫の助さんは私に気づいてこっちに来てくれた。
「あれ?アルマさんはどこ?」
「む?あの人だかりじゃないか?」
猫の助さんが指を指す方向に沢山の人が群がっていたので近づいてみる。
「あのポーションってアルマさんのお店に売ってるんですか?!」
「こんど俺の武器作ってくれよ!」
「ポーションの味を知りたいので今って買えますか?」
近づいて見ると色んな人がアルマさんにポーションが買えるかとかお店の場所を教えてくれとか装備品を作ってくれとか言っていた。
「デメリットポーションはそこそこ作るのに時間がかかるから数量限定販売とかになるけどそれでも良かったらお店に置いておくよ、お店の場所は――」
アルマさんは聞く人それぞれに丁寧に答えていた。
「あ、ラビリル。僕の戦い見てた?」
大体が答え終わるとアルマさんが私に気づいて近づいてきてくれた。
「見てたよ!なんかよく分からなかったけど凄い戦いって事は分かった!」
「……良かった、あの言葉は聞こえてないね」
「ん?今なんて言った?」
周りの人達が騒いでいるからアルマさんの声が聞こえなかった。
「なんでもないよ、それよりちょっとこのポーションを飲んでみてくれない?とても刺激的な味がするから」
「いいけど……刺激的な味?」
アルマさんが赤色のポーションを取り出して私に渡してくる。
私は一応、説明を見てみることにした。
特製爆発ポーション……飲むと一定時間HPが減らなくなるが9割の確率で爆発する、液をかけるだけでも効果はあるが効果が薄まる。
「いやこれほとんど爆発するじゃん!」
「チッ……バレたか」
この人舌打ちしたよ!なんてものを私に飲ませようとするの?!刺激的な味ってこういうことなの?!
「まあまあ、どうせ爆発しても街中なんだしダメージを受けないんだからいいでしょ?」
「いやダメージなくても痛覚はちゃんとあるから……普通に痛いよ?」
私はアルマさんに赤色のポーションを返そうとする。
「なんか喉乾いたなー……あ、ラビリル!ちょうど良いところにポーション持ってるじゃん、もーらい!」
いつのまにか現れたベルテがアルマさんに返そうとした赤色のポーションをヒョイっと奪ってきた。
「「あ」」
そしてすぐにごくごくと飲んでしまった。
「何これ?!めっちゃ辛いんだけど!」
なんか私とアルマさんの会話を聞いていた人達が急いでこの場から離れ始めていた。
「え?え?なに?もしかしてこれ飲んじゃダメな奴だった?所持者登録が無いポーションをラビリルが持っていたから腹いせに飲んじゃおうって思ったんだけど……」
周囲の人達の慌てようにベルテがやばそうな雰囲気に気づく。
「飲んでも良いやつだったけど……何も異常とか無いの?」
「異常?特に無いけど……辛過ぎて舌がヒリヒリするくらい?っていうか周りの人達もだけどラビリルとアルマさんもなんで私から離れるの?」
飲み終わってから数秒経つが特に爆発する様子はない。
「どうやら当たり……ハズレ?をひいたみたいだね」
「良かった……」
私とアルマはホッとした様子でベルテに近づく。
「それより何か口直しできる飲み物か食べ物ない?ずっと口がヒリヒリしてて――」
安心して近づいた瞬間に急にベルテが赤く光り大爆発を起こした。
「ぎゃああああ!何これええええ!」
「やっぱり爆発したああああ!」
「近づかなきゃ良かったよ……」
ベルテは私とアルマさん、そして離れていなかった周りの人達をまとめて吹き飛ばした。
「げほっ、げほっ!いきなりなんなの!」
「うぅ、普通に痛いよ……」
「時間差は予想外だったね、実験して良かったよ」
なんでアルマさんはそんなピンピンしてるの?ダメージは無いけど衝撃はきたでしょ?
「おい!何があったんだ!」
猫の助さんも心配してこっちに向かってきていた。
「今日は爆発に巻き込まれてばっかりなんだけど!ラビリル〜これはどういうことかな?」
いや、これは私のせいじゃない!
「あれはアルマさんのポーションだから!私は関係ない!」
「アルマさん!初対面な気がするけど殴ってもいい?!」
私がアルマさんのせいにするとベルテが拳を握りしめてアルマさんに向かって行った。
「いや、僕のせいじゃないね。ベルテの運が悪いからだね、そもそも勝手に飲むのが悪いでしょ?」
「ぐぬぬ……」
それはそうなんだけどなんかベルテが可哀想な気がしてきた。
「今日は爆発に巻き込まれてばっかりだよ……そうだ!あの爆発する包帯もアルマさんのアイテムでしょ?!あんなタチの悪いアイテム」
「違う違う、あんなアイテムは作ってないよ?僕もラビリルに聞きたいくらいなんだよね」
急に2人が私の方を向いてジロリと見てくる。
「私、爆発する包帯なんてしーらない!」
魔法研究所は誰にも教えなーい、あの場所は私の秘密基地的な存在なんだから!自分のマイホーム的な?
「ちょっと!逃げるなー!」
「あれはちょっと……いやかなり気になるアイテムだから作り方を知りたいかな?」
2人が追いかけてくるが2人の俊敏では追いつけるわけなく逃げ切ることに成功した。
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