第89話 猫の助VSアルマ2
「では行かせてもらうぞ!」
ついに猫の助が動き出した。
「そんな真っ直ぐ突っ込んできていいのかな?」
「ハッハッハッ!罠だろうがなんだろうが受けてたとう!」
猫の助がアルマに向かって突き進んでいく。
途中で猫の助が罠を踏んで小さな爆発が起きるが猫の助は構わずアルマに向かって走る。
「私は生産職だがステータスは全体的に振っているのでな、そんな小規模な爆発では倒せんぞ!」
「だろうね、でも爆発がメインの罠じゃ無いんだ」
アルマの目の前まで近づいた猫の助がハンマーを振りかざすがアルマはゆっくりと後ろにバックステップして避けてしまった。
「どうして当たらん、それほど俊敏が高いのか……いや、私が遅くなっているのだな」
「その通り、あの罠には爆発の他に俊敏低下の効果があるんだ。僕はそこまでレベルが高くないけどステータスポイントは賢さと運に振っている、デバフを弾くのは無理だね」
そう言いながらアルマは自分の真下にポーションを叩きつけた。
ポーションの瓶が割れて煙が現れ、アルマの姿が見えなくなった。
「何も見えん!アルマはどこに――」
「ここだよ」
いつのまにか猫の助の後ろへ回ったアルマは猫の助の背中にポーションを投げつける。
「ぐぬ!」
猫の助はアルマの声がした方向にハンマーを振るが当たらない。
猫の助の背中はポーションが当たりジュウジュウと焼けるような音がしていた。
「先程の罠や煙を出すポーションもだが毒……?酸のようなポーションも初めて見たぞ」
「全て僕の自作ポーションだよ、売り物では無いけどね」
アルマがポイッと猫の助にポーションを投げる。
猫の助はそれを見てハンマーで投げられたポーションを叩き割った。
「そんな簡単には当たらんぞ!」
「まあ、そうだよね」
アルマはチラッと猫の助が持っているハンマーを見る。
「次は僕から行かせてもらおうかな……」
アルマはそういうとポーションをごくごくと飲み始める。
「んなっ!バフ系のアイテムは使えないはずでは!」
「そうだよ、このポーションも攻撃系のアイテム」
ポーションを飲み干して瓶をポイッと捨てる。
意味が分からないという顔をしている猫の助、捨てられた瓶がパリンと割れるとアルマが動き出した。
「速っ……ぐはっ!」
動き出したアルマはとんでもない速度で猫の助に近づくと猫の助の顔にポーションを直接叩きつけた。
ポーションの瓶が割れた瞬間に先程の罠の爆発とは桁違いの爆発が起きる。
ポーションを叩きつけられた猫の助はもちろんのこと叩きつけた本人であるアルマも爆発に巻き込まれて両者とも吹き飛ばされた。
「相打ち覚悟の攻撃か……?私はレイドボスの反省を踏まえてしっかりと根性のスキルを取ったぞ」
「これでお互い根性を使い切りHPも1だね」
両者とも立ち上がりお互いを睨み合う。
アルマはまたも猫の助が持っているハンマーを見るが猫の助は気づいていない。
「そろそろ……かな」
そう言ってまたもアルマはポーションを飲み始めた。
「そのポーションは回復ポーションか?!なぜ持っているんだ!」
「そうだね、教えてあげるよ……ポーションには回復系、バフ系、デバフ系、攻撃系があるのは知っているでしょ?」
「ああ」
アルマは話を続ける。
「実はある方法を使うとポーションの効果を重ねられるんだよね、そして重ねた時に攻撃系が1番優先度が高いんだ。ちなみに回復系は1番優先度が低いから回復系と攻撃系を重ねると回復するにも関わらず攻撃系ポーションと認識されるんだ」
「……凄いな、同じ生産職だが格が違う」
猫の助は素直にとても感心している。
「ちなみに爆発前に飲んだポーションはHPが1になる代わりに5秒だけ俊敏が5倍だよ」
「5倍……だからあれほどまでに速かったのか!」
「そして今飲んだのが1分間、毒状態になる代わりにHPが少し回復だね。要するにデメリット効果のあるポーションってわけ」
デメリット効果のある装備品なら作ったことあるでしょ、とアルマは続けて言った。
「確かに作った事はあるがそれをポーションで試そうとは思ってもいなかった!」
「じゃあ、時間も少なくなってきたし話はこれくらいにして続きを始めようか」
「ああ!生産職としては負けたが戦いは負けるつもりはないぞ!」
両者が動き出した。
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