第88話 猫の助VSアルマ1

「両者とても熱い戦いでした!」


最後がなんとも悲しい感じに終わってしまったがそれ以外は良い戦いだっただろう。


「……気に入らない負け方だわー」


街中に戻されたと思ったら復活してきたベルテがブスッとした不機嫌な顔で私のことを見てきた。


「だから回復アイテムじゃないって言ったじゃん」

「包帯が爆発するなんて思うわけないでしょ!なんなのよあれは!」

「私もよく分からないんだけど原因不明の大爆発が起きる不思議な包帯なんだよ、それもめっちゃ痛い」

「私のHPほとんど満タンだったのに全て吹き飛んだからね!仲間吸収して相当な防御があったにも関わらずだよ?!」


私も初めて爆発を受けた時はド根性発動したからね。


「ベルテは根性系のスキル持ってなかったの?」

「サソリ?に後ろからブッ刺されてHPがほとんど無くなった所をラビリルの攻撃で根性なくなったよ……あの時は防御があまり無かったとはいえサソリの筋力高すぎじゃない?」


背後からのダメージ2倍と元々の筋力が高いからね。


「続きまして第三回戦、猫の助VSアルマです!お二人を専用マップに転送します」


次の試合が始まろうとしていた。


モニターには大きなハンマーを持った猫の助さんと大きなローブを纏って顔しか見えないアルマさんが見えた。


「プレイヤーの紹介をします!第一回イベント堂々たる1位にして生産職でここまで勝ち残りました!猫の助選手です!」


ワーッと歓声でいっぱいになる。


「猫の助さん、頑張ってー!」

「応援してるぞ!」

「この前ポーションくれてありがとー!」


猫の助さんはみんなから好かれてるしみんな応援してるんだろうね。


「そしてなんともう1人のプレイヤーも生産職です!第一回イベント10位のアルマ選手です!アルマ選手は武器を持っていないようですがどのような戦いをするのでしょうか?」


アルマさんはやれやれという感じで何かの準備をしていた。


アルマさん、戦いがあまり得意じゃないみたいなこと言ってたけど大丈夫なのかな?見たことない格好してるしなにかあるんだろうね。


「アルマさん頑張ってねー!」


アルマさんを誰も知らないのか応援の言葉が誰もなかったので私が大声で叫びながら手を振る。


まあ、叫んだところで声は届かないんだけどね。


アルマさんにも少しお金を賭けとけば良かったかな?どうやら賭けたプレイヤーに少しだけお金が贈られるみたいだし普段からお世話になってるからね。


「おい、ラビリルが応援してるぞ」

「それほどのプレイヤーなのか!」


なんかちょっとざわついちゃったね。


「それでは第三回戦……開始!」


・・・

・・


「初めましてかな?僕はアルマ、ほとんどラビリルの専属生産職だよ」


試合が始まるが両者すぐに戦わず名乗っていた。


「ハッハッハッ!アルマの事はラビリルから良く聞いておるぞ!アルマのポーションをラビリルから1本貰ったのだが私のポーションよりも高性能で更に味にもこだわっているという素晴らしいポーションだった!」

「いやいや、1位に褒めてもらえるなんて光栄だね」


ガシャガシャとローブの中で何かをしているアルマ、猫の助はそれに気づいていながら話を続ける。


「今日の為に念入りに筋トレを重ねてきたおかげですこぶる筋肉の調子が良いのだ!まあ、ゲームには関係無いがな!」


大笑いする猫の助は背中に背負っているハンマーを手に持ち始めた。


「……さて、準備は終わったかな?」

「罠を張っているのに気づいていながら待ってくれるなんて噂通りのお人好しだね」


アルマは準備が完了したのかバッとローブを脱ぎ捨てる。


ローブの中には腰に色とりどりな大量のポーションをかけてあった。


「なに、それがアルマの戦いなのだろう?人には人それぞれの戦い方がある……それがルールに違反していなければだが」


アルマはポーションを持って構え始める。


「待ってくれたお礼に生産職らしい戦いを見せてあげるよ」

「私も生産職だがとても楽しみだ!」


生産職の戦いが今始まる。

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