第87話 ラビリルVSベルテ3
「あー……せっかく集めた仲間モンスター達が半分くらいいなくなっちゃったよ」
また集め直さないとなぁ……と呟くベルテ。
「随分と目の色が禍々しくなったね、凄い悪者みたいな顔になってるよ」
「ラビリルは相変わらず笑顔だよね、それが不気味で怖いんだけど……!」
ベルテが正面から凄い勢いで迫ってくる。
私もベルテに向かって突撃していき拳と拳がぶつかる。
「ベルテも拳なのね」
「杖で殴りかかってもへし折ってくるでしょ」
確かにその通りだ。
右左と拳を繰り出すが若干私の方が押されている気がする。
「ラビリルの弱点は1対1でしょ」
「ぐぬぬ」
私は敵対しているモンスターがいなくなって弱体化、ベルテは吸収?して強化されたから筋力が負けている。
「下、気をつけた方がいいよ」
「え――」
ベルテがそう言うと私の足元が少しだけ崩れた。
私は足元が崩れてバランスを崩し、ベルテから強烈な拳を受けて吹っ飛ばされる。
「い……た、い、なんで足元が?ベルテのモンスターは吸収されたはずじゃ――まさか吸収せずに残していたの?!」
「残念、はずれ。吸収される前に崩れやすいように穴を掘ってくれたの」
そういうことかー。
それにしてもHPが残り2割ちょいしかない、どうにか回復する方法はないか……。
パラはギリギリまで隠すことにしてるからまだ召喚しない。
パラにも私が本当に死にそうになった時にしか勝手に出ないようにお願いしたから多分大丈夫なはず、お願いした時に腕食われたけど満足そうだったし大丈夫でしょ!
ベルテに飛ばされてちょっと距離が空いたので少しだけアイテム欄をチラ見する。
回復アイテムはやっぱり無くなっている……そして攻撃系のアイテムもそもそも持っていな――持ってるじゃん!
試作品の包帯
唯一アイテム欄にあったアイテムがこれ。
「これ、回復アイテムじゃないんだ……」
爆発するもんね、攻撃系のアイテムだね。
流石にこれは爆発する可能性があるしやめておきたいところなんだけど……爆発する前に外せばいいかー。
私はとりあえず腕に試作品の包帯を巻いてみる。
「ちょっと回復はさせないよ!」
私が包帯を腕に巻いているところを攻撃してこようとする。
ベルテは包帯を巻いた部分に拳を繰り出して何故か弾かれる。
「え!その包帯、硬っ!」
そういえばドラゴンの鱗なみの強度があるんだっけ。
私のHPは徐々に少しづつ回復しているがいつ爆発するのかとハラハラドキドキだ。
ベルテは私の回復をなんとか阻止しようと包帯に攻撃してくるがこの包帯はビクともしないしなんならダメージも入っていない。
「こうなったら引っぺがしてやる!」
「あ、ちょっと!まだ半分くらいしか回復してな――」
ベルテの方が筋力が高いので私が抑えられるわけなく逆に腕を掴まれて包帯を取られてしまった。
「これで回復は出来ないね……よく考えたらそもそもなんで回復アイテム持ってるの?!」
自慢げに取られた包帯を手に持ってわたしに見せてくる、ちなみに手に持っている包帯が少しだけ赤くなっていることに私は気づいてしまった。
「それ、回復アイテムだけど回復アイテムじゃないから」
私は気づかれないようにゆっくーり少しづつ後ろに下がっていく。
「ふーん、そうなの?……性能見ちゃおって回復無制限でドラゴンの鱗の耐久性って凄すぎじゃん!でもやっぱり回復アイテムじゃないの?これ」
ベルテは包帯の性能を見ているのか包帯の変化に気づいていない。
私も性能の説明を見たことあるけど爆発するとは書いてないんだよね。
「ほ、ほら、ドラゴンの鱗の耐久性があるから回復アイテム判定じゃないんだよ」
「ふーん、そんなもんなの――ってなんか包帯が赤い!」
いまだ!逃げろ!
爆発する寸前に全力で走って包帯から離れる。
「ぎゃああああ!」
大きな爆発の音と共にベルテの悲鳴が聞こえた。
そして爆発の煙が無くなった後にはベルテの姿は見えなかった。
「そこまで!第二回戦の勝者は……ラビリル選手です!」
なんともあっけない最後だった。
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