第85話 ラビリルVSベルテ1

「両者素晴らしい戦いでした!」


エスクードさんの大盾が長剣に変形するやつめっちゃカッコよかった。


また今度目の前で見せてもらおう。


「続きまして第二回戦ラビリルVSベルテです!お二人を専用マップに転送します」


由佳さんがそう言うと私の視点が切り替わってさっきまでモニター越しに見ていた場所に転移した。


目の前にはベルテがいる。


「プレイヤーの紹介をします!第一回イベント2位にしてティニット公式の公認プレイヤーでもあります。ラビリル選手です!」


専用マップにいるから歓声とかは聞こえない。


「そしてもう1人は無名ではありますが予選では仲間モンスターであるマジックキャットと共に数々のプレイヤーをリタイアさせてきました!ベルテ選手です!」


多分、サフィも進化して強くなってるんだろうなぁ。


注意しないとね。


「それでは第二回戦……開始!」


試合開始の合図と共にベルテは少し私から離れた。


「絶対に勝つから」

「負けないよ」


ベルテは早速サフィを召喚して私にさまざまな魔法を放ってくる。


「《攻撃予測》《風龍の加護》」


私は俊敏を上げつつ魔法の軌道を見て避ける。


「うわ、やっぱラビリルだなぁ」

「なにその言い方……」


私は勢いに乗ってベルテのそばまで近づき攻撃しようとした。


しかし私の拳をベルテが杖で抑えてくる。


「いらっしゃーい、私とサフィのトラップ地獄へ」

「へ……?」


私の足元に魔法陣が広がり炎の柱が現れる。


いつのまにかベルテの周辺が魔法トラップで埋められていた。


「熱っ!」


バックステップをして一度元の位置に戻る。


「スコーン召喚」

「見たことないモンスターだね……砂漠にいるデザートスコーピオンに似てるかな?」


ベルテはスコーンを見て更に警戒する。


「スコーン……なんとかしてあのトラップ地帯からベルテを移動させたい、協力お願い」


私が小声でそう言うとスコーンは了解と言うように少しだけ頷き私の横から消えた。


「え、何処に行った――」


ベルテのお腹からスコーンの尻尾の先が見える、どうやら後ろから尻尾で刺したようだ。


ただベルテの後ろから炎の柱も見えるから多分スコーンはトラップに引っかかりながら影移動でベルテに奇襲をかけたね。


「な、に……いつ後ろに――」

「スコーンないすだよ」


私はスコーンと同じくトラップに引っかかりながらベルテに向かって突撃、スコーンが尻尾を引っこ抜いた瞬間にベルテを殴って吹き飛ばした。


「あちち……」


HPが半分くらい持ってかれた。


『スコーンが倒されました』

『24時間の休眠状態に入ります』


流石に紙耐久のスコーンは耐えられず死んでしまった。


「ゲホッ……お仲間、死んじゃったようだけど」

「ベルテこそ、お腹に穴が空いてるよ」


あの様子からしてベルテのHPはほとんど無いはず。


しかし私はサフィのことをすっかり忘れていた。


「サフィ《ヒール》」

「あー!ずるい!」


いつのまにかベルテの横にまで移動していたサフィがベルテに回復魔法をかける。


すぐにお腹の穴は塞がりベルテが元気になった。


「しかし思った通りに勝てないね、ラビリルはまだ本気じゃないし」

「なるべくスキルを隠して戦いたいからね」


ベルテの言う通り私はユニークスキルはともかく悪魔転生やパラの異常な強さはなるべく隠して勝ち進んでいきたい。


特にパラのスロースタートは初見だと絶対に分からないはずだ。


「じゃあ、その隠してるスキルとやらを出させてもらうから……本気でいくよ!"魔王降臨"」


ベルテは私のことを強く睨み叫んだ。


「えぇ?うっそぉ」


そして次の瞬間、ベルテの目が赤黒く光り輝き始める。


あれ、どう見てもユニークスキルじゃん!


「来て、私の仲間たち」


そう言うとベルテの後ろに大量のモンスターが出現した。


「仲間モンスターを召喚出来るのは1体まででしょ!ずるいってー!」

「これでラビリルも本気、出すでしょ?」


ベルテは私のことをずっと見てくる。


多分、私のユニークスキルを待っているね。モンスターがいればいるほど私が強くなることを知っているのにあれだけのモンスターを召喚したんだもん。


「ご希望通り……使うよ!"破壊開始"」


私もユニークスキルを使う。


大量のモンスターがいるからその分グンと身体が軽くなる。


「良いね、最高」

「アハハ、続きを始めようか!」

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