第79話 試作品アイテム
「いや〜スッキリした」
カカシをボコしたあと隣の部屋に大事そうに飾ってあったアイテムを問答無用でぶっ壊した。
「お、俺が集めた貴重なアイテム達が……」
壊れて消え去ったアイテムがあった場所を見つめてうなだれているおじさん。
「弁償するなら壊していいとか言うから壊しちゃった!」
「そんな事言ってねぇ!壊したら弁償って言っただけで壊しても良いとは言ってねぇぞ!」
「まあ、大体同じじゃない?ほら、お金」
いくらいるか分からないのでとりあえず私の全財産を机の上に置いてみた。
装備品とかで減っちゃってたけどそれでも多いはず。
「はぁ、こんだけあれば時間をかければ集め直せるが大変なんだぞ……」
まさか本当に壊すとは……って呟きながらおじさんは置いたお金をかき集めていた。
「そうそう、ちょっとこっちに来てくれ」
「ん?何?」
お金をかき集め終わって何処かにしまった後におじさんが私のことを呼んできた。
「ついさっき俺が開発したアイテムが完成してな、まだ試作品の段階だが少し使ってみてくれ」
別の部屋に連れて行かれて椅子に座って待っているとおじさんがなんか緑色の包帯をもってきた。
「何これ?ミイラの包帯……にしては色が変な感じだけどこれが開発したアイテムなの?」
「ああ、ミイラの包帯は怪我に巻くと微量だが体力が回復するんだ。その回復力を高めてさらにドラゴンの素材を合成させて耐久力も高めた」
ふーん、ミイラの包帯ってそんな効果があったんだ。
「ミイラの包帯って元々結構な耐久力あるんじゃない?私、引きちぎるの大変だったんだけど」
「ああ、その通りでかなり耐久力はある。しかし所詮はただの布だ。刃物には弱いし打撃も特に軽減してくれるわけではない……そこでドラゴンの素材を使って刃物に強く、打撃を吸収するように合成してみたんだ」
確かに包帯を巻くだけであのドラゴンの硬さを再現出来てるなら強いけど……触ってみた感じ普通に包帯だよ?
「本当にこんな包帯で刃物とか防げるの?」
「ああ、ただ巻ける場所は怪我のところだけだ。そして巻いている間しかドラゴンの耐久力を再現出来ない」
「じゃあ試してみよっと」
私は短剣を取り出して自分の腕をブスッと刺した。
すごく痛い……。
「お、おい!流石にやりすぎじゃないか?!試しなんだから少し切り傷をつけるくらいでいいだろ!」
「それだと回復力がどれくらいか分からないじゃん」
「確かにそうだが……痛くないのか?平気そうな顔してるが」
「え?普通にめっちゃ痛いけど?」
「そ、そうか……」
とにかく痛いから早く包帯を巻いてみよう。
短剣で刺して穴が空いた腕に包帯をぐるぐる巻いてみる。
……そういえばよく考えてみたらなんで街中でダメージが入ったの?
魔法研究所は街中判定じゃないってことかな?
「どうだ?HPは回復してるか?」
「え、あ、うん……毎秒1づつ回復してるよ」
HPをみるとちゃんと回復していた。
「そうか、良かった」
「ちなみに回復の上限はどれくらい?」
私が持ってる回復ポーションは1つ使用で200HP回復なんだけどこの包帯はどれくらいなんだろう。
「全回復するまで永遠に回復し続けるぞ」
「へ?」
なにそれ、めっちゃ強いじゃん!
「耐久力も試してみてくれ、恐らくドラゴンの鱗と同じ強度になっているはずだ」
「おっけー」
私は腕に巻いている包帯に短剣を突き立てる。
そして力を入れるとそのままブスッと刺さっていった。
「普通に刺さったけど……痛い」
「おかしいな……」
おじさんが巻いている包帯を叩いてみるとコンコンと包帯らしからぬ音がした。
確かに音は硬そうなかんじだ、普通に包帯貫通したけど
「俺が試した時はちゃんと剣を弾いてくれたんだが……」
「あ、この包帯の耐久力ってドラゴンの鱗くらいなんだよね?」
「ああ、そうだが」
「私の短剣、そもそもドラゴンの鱗を貫いていたから試しようがないじゃん」
私の短剣ってすごい切れ味してるの忘れてたよ。
「なんだよ、そんなレア武器持ってるのズルいぞ!くれ!」
「絶対にやだ!」
ユニークウェポンは譲渡出来ないもんねー。
「ん?なんか包帯が赤くなってきてないか?」
「本当だ」
腕に巻いてる包帯が赤く輝き始めてきた、そして心なしか熱い気がする。
「これ、なんか見たことある輝きのような――」
「いかん!逃げ――」
赤い輝きはどんどん強くなっていって急に包帯が大爆発を起こした。
『スキル《ド根性》が発動しました』
「げほっ……いた、い」
私は爆発をモロに食らって壁に叩きつけられる。
包帯が爆発したんだけど……。
「……大丈夫か?」
「な、なんとか」
腕は爆発で弾け飛んで無くなったしHPは1だけど一応、生きてる。
おじさんはなんとか物陰に隠れて爆発の衝撃を弱めたっぽくてほとんど無傷だった。
「恐らくドラゴンのスキル《粉塵爆発》だな……なぜ包帯が爆発したのかは謎だが」
「見たことあると思ったらそれね、何回も受けたことあるよ」
「まだまだ改良が必要だな……また改良したら頼む」
そう言いながらおじさんは私に回復ポーションをくれた。
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