第75話 予選バトルロイヤル2
ピコンッ
「なんの音?」
あー確か10分おきに専用マップに全プレイヤーの位置が分かるって言ってたね。
さっきのピコンはそれの音かぁ。
私は早速専用マップを見てみることにした。
「あれ?この青い点が私だよね……?」
専用マップを見てみると真ん中の方に私と思われる青い点があるのが分かるのだが他のプレイヤーらしき赤い点がどこもめっちゃ遠いところにあった。
「他の赤い点同士はあんまり離れてないのに私の周辺にいるプレイヤーが誰もいない……」
さてはみんな私から逃げたね?
スコーンの俊敏を舐めない方がいいよ、すぐに追いついちゃうんだから!
「さーて、どっちの方向に行こうかな!」
全部遠いけど他と比べて比較的近いところに……ん?なんか森に赤い点が集まってる?
森に十数人のプレイヤーが集まっていることが確認できた。
あれは戦ってるの?でもそれにしては人多くない?
「ま、とにかくあそこに行けば沢山人いるんだね!スコーン〜森に向かって出発!」
私はスコーンに乗ってプレイヤーが集まっている森に向かっていった。
「確かここらへんだったはず……」
森にはスコーンが大きさ的に入れないので送還して1人で歩く。
移動までに何回かスキャンで様子が見えたんだけどずっと森に固まっていたはず。
「うーん、いないなぁ……もうみんなどこかに行ったの――え」
キョロキョロと周辺を見渡していたら足元が崩れ始めた。
「わあああ!!いたた……なにこれ?!」
結構深めな落とし穴に引っかかってしまった。
「よし!引っかかったぞ!」
「今だ!やっちまえ!」
上から声が聞こえてきて見上げているとゾロゾロとプレイヤーが覗き込んできた。
しまった、待ち伏せされていたみたい。
「どうにかして抜け出さないと……」
とりあえず短剣を手に持って覗き込んでいた1人のプレイヤーに向かって投げる。
「グハッ!」
見事に頭に刺さって上から落ちてきた。
私は落ちてきたプレイヤーを踏み潰して倒す。
「不用意に近づくな!魔法を使え!」
誰かが指示をして落とし穴の中にいる私に大量の魔法が放たれる。
「《風龍の加護》《攻撃予測》パラ召喚」
俊敏を上げてから大量に向かってくる魔法の軌道を全て見る。
そして召喚は目線の先であればどこでも出来るので落とし穴の上にパラを召喚しておいた。
「なぜだ!なぜ当たらない!」
「いや、少しは当たっているぞ!」
「もっと魔法を……」
「なんだこのモンスターは!」
流石に起動が見えるからってあれだけの数の魔法は避けられないけど《風龍の加護》で一度だけ無効化するしHPも削れてはいるけどまだ余裕がある。
パラが上からどんどんプレイヤーを倒している?食べている?から魔法の勢いはすぐに収まった。
「……とりあえず魔法はなんとかなったしまだ死んでないプレイヤーもパラで精一杯みたいで私に攻撃はしてきていないけど――これ、どうやって上がるの?」
ジャンプじゃ届かなそうだし……短剣を壁に刺しながら登るかぁ。
グサグサと刺しながら私はゆっくり登っていった。
「よーし!登りきったぞ……ってプレイヤーは?」
登りきって周囲を見てみるがプレイヤーがいない。
誰かの腕をもぐもぐしているパラがいるだけだった。
「パラ、ありがとう!助かったよ!」
食事が終わったパラは私の前まで転がってくる。
そしてパラが頭を私に向けてきていた。
「何?撫でてほしいの?いやー甘えん坊だなぁ」
ポンポンとパラの頭を撫でる。
相変わらず凄いぷにぷにしてて撫でている私も気持ちいいね。
そして一応、手を食べられないか警戒はしていたけど特にそんな素振りもなくパラは私に撫でられ続けている。
「良い子、良い子」
本当に可愛いなぁ。
「あ、そうだ!パラ、HP減っちゃったから回復お願いしていい?」
私がそういうとパラが頭を上げて私を見てくる。
「パラ?」
そしてガブっと撫でていた私の手を食べてきた。
「ああああ!パラ!HP減ってる!ゴリゴリ減ってるって!」
私は腕をぶんぶん振り回してパラを離そうとするが私の手を咥えたまま離さない。
「やばいってHP半分切ったから!」
そんな私の叫びをものともせずパラは私の手から腕に向かって食べ始めている。
「死ぬ!こんな終わり方は流石に嫌だー!」
どんどんHPが減っていく。
「あれ?止まった」
HPの減りは止まり一桁になっていた。
なんと本当にギリギリのところでパラが食べるのをやめていた。
「でもこのままだと欠損ダメージで死ぬんだけど……」
そう思っているとパラが《回復粉》を使って食べた腕もろとも回復させた。
「あ、戻った――良かった……」
いや良くないけどね?もしかしてどうせ回復するからって私を食べたの?!酷くない?!
パラは満足そうに勝手に送還されて帰っていった。
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