第71話 逆襲のパラ

女の子から黒い煙が出始める。


そして大爆発を起こした。


「お、もう俺を呼んだ奴がいるのか」


そして爆発のあとに現れるのは見覚えのある悪魔。


「げっ!お前はあの時の魂のない人間!」

「あれ?記憶あるの?ぶっ殺したはずなんだけど同じ個体なんだ」


どうやらあの悪魔は私と戦った悪魔そのもののようだ、どうせ記憶無くなってるか別個体だと思ったよ


「ケッ!当たり前だ、人間が本当に悪魔を殺せるかよ!地上で殺されても魔界に送還されるだけだ」


ふーん、魔界なんて場所があるんだ。


なら天使さんは天界かな?


私とかプレイヤーも行けるのだろうか。


「しかし俺を降臨させるのに相当な数の人間を生贄にしないといけないはずだが短期間に2度も降臨させるとはお前も相当な悪だな」

「失礼な、私は悪党と遊んでただけだよ!」


頭グチャッと潰したり腕とか足をもぎ取って動けなくしたところをパラに食べさせたりだね。


「グハハハ!理由はともかく降臨させてくれて助かったぜ、次こそはお前をぶっ殺して人間の魂を食い尽くしてやる」


名もなき悪魔 Lv60


『*警告 現在のレベルを大幅に超える敵です。逃げることをオススメします』


「ふっふっふ!残念だったね、今回の私にはこれがあるんだよ!」


私はアイテム欄から天使の雫を取り出して悪魔に見せる。


「なっ!それは天使の雫!なんでお前みたいなやつが持っているんだよ!どちらかと言うと悪魔側だろ!」

「悪魔側って何?!」


私も悪魔になれるっちゃなれるけど清き心を持った普通の女の子だよ?


「とぼけんなよ!どう見ても俺の魂……悪魔の魂がお前の中にあるのが分かるぞ!俺を殺した時に少し吸収しただろ!」

「な、なんのことかなー」


吸収とかは分からないけど私が悪魔になれることは知っているらしい。


「お、おい!マジでそれを投げるのやめろよ!」

「投げちゃうよ?そのために降臨させたんだから!」


私が投げようとすると悪魔が近づいて私の腕を掴んできた。


筋力が悪魔の方が強く振り解けないが悪魔も私に攻撃が出来ていないようだ。


「チッ!近づいただけで力が抜けてく……厄介な代物だぜ」

「ぐぬぬ……離してよ!」


力いっぱい込めて腕を動かそうとするがやっぱり悪魔が掴んでいて動けない。


力が抜けてこの強さだもん、ほんと良く私勝てたよね。


「オラ!そんなアイテム離しちまえよ!」

「がふっ!げほっ!や、だね!」


悪魔に余裕が出てきて私のお腹を蹴ってきた。


この前と違って防御も上がってるし力が弱まっているからダメージはそこまでないけどお腹を蹴られ続けて腕に込めている力が入らなくなってきた。


「だんだん抗えなくなってきたな!」


やばい、このままだと天使の雫を落としちゃう……。


風龍の加護で俊敏を上げても意味がない、何か……筋力が上がるスキルはないか――


破壊者はまだクールタイムがあって無理、その他に筋力を上げるスキルと言えば……。


「《悪魔転生》」


『専用のステータスに変化します』


「うお!お前、その姿……」

「へへ、これで力比べは勝て――熱っ!」


グンと筋力が上がった私は悪魔を押しのけようとした瞬間、天使の雫がめっちゃ熱くて手から離してしまった。


「……」

「……」


私と悪魔の目が合ってからお互いが地面に落ちた天使の雫を見る。


え?なんでこんなに天使の雫が熱くなったの?!


「お前……馬鹿だろ、悪魔になっちまったらそんなもの持つことすら許されねぇよ」

「ええー!これ私にも効くのー!」


確かに今の私は悪魔になっちゃった訳だけど元は人間だし天使の雫ってこの悪魔専用だと思うじゃん。


「クッアッハッハ!これは笑いもんだわ、悪魔の魂がお前の中にあるとは言ったがまさか悪魔になれるほど吸収してるとはな!」


もしかして悪魔の魂?を集めないと本来は悪魔転生出来ないのかな?私はそんなことなかったけど。


「おいおい、そんな目で見るなよ。悪魔になっちまったらもう仲間だ、仲間には攻撃しねぇよ」

「へえ、良いこと聞いた」


悪魔になっていれば攻撃しないんだね!


私は悪魔を押し倒して腕や脚を押さえつける。


「おい!俺に攻撃はやめといた方がいいぞ?攻撃しねぇと言ったが正確には攻撃できねぇだ」

「どういうこと?」

「悪魔同士で攻撃をするとお互いに同じだけダメージが入る」


なるほどね、それじゃあ攻撃できない理由も分かる。


「ふーん、とりゃ!」

「グハッ!」


私はお構いなしに悪魔に殴りつける。


すると私も衝撃がきてめっちゃ痛かった。


「ほら見ろ、分かったら押さえつけているのをやめ――」


私はとにかく殴って殴って殴りまくった。


私のHPがゴリゴリ削れていくが悪魔も相当なダメージが入っているはずだ。


「マジ!やめろって!」

「げほっ!」


悪魔が私を蹴飛ばして離される。


殴るのに夢中になりすぎて拘束が解けてしまったようだ。


「はぁはぁ……悪魔の中の悪魔だわ、お前」

「褒めているつもりなのそれ」


悪魔に悪魔らしいって言われるの嫌だなぁ。


「このままだとお前も死ぬぞ?まあ記憶もそのままに復活出来るんだろうが」


悪魔だって魔界って場所に送還されるだけじゃん。


「残念、私は死なないよ?後ろ見たら?」

「何?!」


悪魔の足元には……パラがいた。


悪魔が降臨してからずーっと隠れて潜んでいたもんね、パラだってこいつにやられた訳だし倒せる瞬間を狙っていたんだよね!


「こいつ、あの時の!いつのまに!」


今のパラはしっかりスロースタートで強化済み、多分悪魔よりステータス高くなってるよ。


パラは悪魔の足に齧り付く。


「ぐああ!なんだ、この速さと威力は!」

「良いぞ!パラ、そのまま食べ尽くしちゃえ!」


足から胴、そしてどんどん悪魔を食べていくパラ。


「ちくしょう、よりにもよってこんなモンスター如きに負けるとは……」


『"名もなき悪魔"を討伐しました』

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