破壊衝動が抑えられない少女はVRMMOの世界で破壊の限りを尽くすようです

第72話 魂食い

「結局、せっかく苦労して手に入れた天使の雫……使わなかったね」

私は地面に転がっている天使の雫を回収する。

まあ、また戦えばいいか。今度は降臨した瞬間に投げてしまおう。

パラとかスコーンのレベルも爆上がりだしめっちゃレベル上げ出来るね。

いや弱体化したら取得経験値とかも少なくなるのかな？

「ん？どうしたの、パラ？」

パラがなんか私のことを見てきている（目はないけど雰囲気）

はっ！また私の腕を狙って……今はまだスロースタート状態、絶対に避けれないよ！

「パラ？まさか私の事を狙っているわけじゃないよね？今、HPがほとんど無いから腕食べられたら死んじゃうよ？」

私はパラに訴えるが全く気にせずにジリジリとこちらに向かってきていた。

くっ！逃げても俊敏が負けてるからってゆっくり近づいてきてくる、舐めプされてるって！

「そうだ！送還！パラを送還すれば……」

パラを送還させようとするが何故かできない。

あれ？そもそも悪魔の時って魔物使いのスキル持ってなくない？！

「って事は……」

命令出来るわけがなくそもそも味方なのかも不明だ、これ。

そんなこと思っていたらパラが私に向かって飛んできた。

「パラ？！私の手を齧らないでー！」

私の左手に飛びついてもぐもぐと私の手を齧り始めた。

「ぎゃあああ！痛い痛い！」

左手の感覚が無くなってきた……そしてただでさえ少なかった残りのHPがさらに無くなっていく。

「パラ〜！離れてー！本当に死ぬ！」

無事な方の手でなんとかパラを引き剥がすことに成功したが見事に左手が食べられて無くなった。

パラのスロースタートも終わったようで私に掴まれて足をぷらぷらさせて抵抗しようとしていた。

「あ、危なかった……せっかく生き残ったのに死ぬところだった」

HPは一桁台になっていた。

「《悪魔転生》……解除」

このままではパラを送還出来ないので悪魔転生を解除してからパラを送還した。

「ふぅ……助かった」

なんか解除したら食べられた手も復活したしHPも全回復したよ、もしかして悪魔状態で死んでも人間に戻るだけなのかな？

説明的には死んだら解除されるってなってたけどどうなんだろう。

「ひとまず落ち着ける場所まで移動しながら悪魔倒した時に何かスキルとか手に入れていないか確かめよう」

なになに……。

『レベルが上がりました』

『悪魔転生時限定でスキル《簡易結界》を取得しました』

『悪魔転生時のステータスが少し上昇しました』

『パラのレベルが上がりました』

『パラがスキル《魂食い》を取得しました』

『パラがスキル《狂化》を取得しました』

『スコーンのレベルが上がりました』

『スコーンのレベルが上がりました』

『スコーンのレベルが上がりました』

「なんかパラがよく分からないスキルを取得してる……」

《狂化》は悪魔状態の時にあるやつだよね？

そしてこの《魂食い》って何？！悪魔食べたせいでなんかヤバそうなスキル手に入れてるじゃん！

《魂食い》……食べた相手のスキルを1つ選んで奪い1度だけ使用することが出来る。使用すると相手に戻る。相手は奪われたスキルが使用されて戻ってくるまで使えなくなる。奪ったスキルをストックして貯める事は出来ない。（ユニークスキルは奪えない）

「……いや、強っ！」

スキル奪うの強すぎでしょ？！魔法使いが魔法スキルを奪われたら何にも出来なくなるよ？

複数の魔法スキル持っていたら大丈夫だけど1つに特化してたら終わりじゃん！

まあ、食べるために接近しないといけないからスロースタートで強化していない限りは俊敏が無いに等しいパラが近づくのは厳しいと思うけどさぁ。

パラってずる賢いからめっちゃ不意打ちとか得意だしいつのまにか近くにいるんだよね。

「あれ？私、さっき食べられたような……」

嫌な予感がしてステータスを確認してみたけど特に何かスキルが消えているとかはなかった。

「いや、さっきは悪魔状態だったから多分悪魔状態の時のスキルが何かに取られてるね、多分」

クールタイムがあるからすぐに確認出来ないけど何を取られたんだろうか……。

「このスキル、私も欲しいんだけど自分が取得しないと取得条件分からないんだよね」

どうやったら手に入るかな？悪魔を食べれば手に入ったりする？

「でも悪魔とか美味しくなさそう……そもそも奪うためには私も人の手とか食べないといけないのかー」

やっぱりスキルいーらない。

「あとは全体的にみんなレベルが上がったのとなんか悪魔状態の時のステータスが上がって新しいスキルが手に入ったね」

《簡易結界》って悪魔が使ってたやつだよね、なんか半透明な壁を作るやつ。

スキルの説明はどんな感じかなー。

《簡易結界》……任意の場所に半透明な壁を出現させる。壁の耐久力は使用者の防御、HPと同じ。1〜3mまで任意で大きさを変えられるが大きいほどMPの消費量も増える。

「なるほどね、悪魔状態はMPを沢山使うスキルが多いからあんまり使わないかもだけど逃げようとしている敵とかに良いかもね」

また今度試してみよっと。

ステータスとかスキルを見ていたらそろそろ遅い時間だったので私は寝ることにしてログアウトした。